海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回取り上げるのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン10 第1話に登場する、たしなめる英語と、たしなめられた側の返し方です。シェルドンの母メアリーが息子を叱る場面では、短い返事ひとつでシェルドンが引き下がります。
同じ叱り文句でも、誰が言うかで効き目が変わります。その様子が台本からはっきり見えてくるので、叱る側と返す側の両方から表現を確かめていきます。
「I will not have you be ~」と「Yes ma’am」
空港へ向かうエイミーの車には、メアリーとシェルドンが乗っています。シェルドンの軽口を受けて、メアリーがたしなめます。
Mary: Hey. I will not have you be disrespectful to me.
(こら。私に失礼な態度をとるのは許しませんよ。)Sheldon: Yes ma’am.
(はい、母さん。)TBBT Season10 Episode01
I will not have you be ~ は、have+人+動詞の原形の「人に〜させておく」を will not で打ち消し、「あなたが〜でいることを許さない」と宣言する形です。disrespectfulは「敬意を欠いた、失礼な」という意味で、ここでは目上への態度をとがめる言葉として働いています。
返すシェルドンの Yes ma’am. は、女性に対する丁寧な呼びかけma’amを添えた承服の返事で、ここでは母親に向けて使われています。言い訳も反論もせず、この一言で引き下がるのが印象的です。
続いてエイミーがメアリーについて意見を口にすると、シェルドンは矛先をエイミーに向けます。
Sheldon: Well, and you need to drive the car and mind your business.
(それに、君は車の運転をして、余計な口出しはしないことだ。)Amy: I will not have you be disrespectful to me.
(私に失礼な態度をとるのは許さないわ。)Sheldon: What, you’re not my mother.
(なんだって? 君は僕の母親じゃない。)Mary: Don’t you be disrespectful to her.
(彼女に失礼な態度をとるんじゃありません。)Sheldon: Yes ma’am.
(はい、母さん。)Mary: You’ll get there. You’ve just gotta put some zing on it.
(そのうちできるようになるわ。もうちょっとピリッと効かせればいいだけよ。)TBBT Season10 Episode01
エイミーはメアリーとまったく同じ文を使っていますが、シェルドンは you’re not my mother と、言う人の立場を理由に受け流します。同じ叱り文句でも、効き目は話し手との関係で決まることが分かる流れです。
メアリーの Don’t you be ~ は、命令文にあえて主語youを入れることで語気を強める形です。最後の一言は宛先こそ台本に書かれていませんが、言い回しが通じなかったエイミーに向けたものと読めます。You’ll get there. は「そのうちできるようになる」という励まし、put some zing on it は「もう少しピリッと効かせて」という言い方の助言です。
「Stop it」と先回りの一言
別の場面では、レナードの母ビバリーが、ペニーの計画した2度目の式に出られないと言い出します。理由は、レナードの父アルフレッドが自分に恥をかかせるから、というものです。前の晩の出来事について知らないふりを続けていたシェルドンは、とぼけたまま問いかけます。
Sheldon: Oh, golly, however did he humiliate you?
(おやまあ、いったい彼はどうやってあなたに恥をかかせたんだ?)Beverley: Stop it, Sheldon.
(やめなさい、シェルドン。)Sheldon: Do I say stop what, or just throw in the towel?
(ここは「何をやめろって?」と言うべきか、それとも降参すべきか?)TBBT Season10 Episode01
シェルドンの Oh, golly, however did ~? は、golly(おやまあ)という古風な感嘆と、howeverで強めた問いを重ねた大げさな言い方です。本気で尋ねているのではなく、とぼけるための芝居がかった問いかけになっています。
ビバリーの Stop it, に名前を添えた返しは、理由を述べずに相手の言動そのものを止める短い制止です。名前を添えると、その場の誰に向けた言葉かがはっきりします。シェルドンはここで、Stop what?(何をやめろって?)ととぼけ続けるか、引き下がるかを口に出して迷っています。とぼける返しの定型をそのまま選択肢として挙げてしまうところに、シェルドンらしさが表れています。
結婚式の場面では、司式を務めるバーナデットが、レナードの誓いの言葉の後で参列者に釘を刺します。
Bernadette: Anybody have anything snarky to say about that? Didn’t think so.
(今のに何か嫌味を言いたい人はいる? いないわよね。)TBBT Season10 Episode01
snarkyは「嫌味っぽい、皮肉な」という意味の口語です。冒頭のDoesを省いた問いかけで場を見渡し、同じ発言の中で Didn’t think so.(だと思った)と自分で締めくくっています。叱る前に先回りして、口を挟む余地をあらかじめなくすたしなめ方と言えます。
まとめ|たしなめる型と受け止める型
今回は、I will not have you be ~やDon’t you be ~、Stop itなどのたしなめる型と、Yes ma’amで受け止める返事、you’re not my motherで退ける返しを見ました。叱る側と返す側を対で覚えると、場面の温度差まで読み取れます。
メアリーの一言でシェルドンが引き下がる流れは、家族の力関係も映しています。次回も『ビッグバン★セオリー』の会話から英語を拾っていきましょう。
ほかのコラムやフレーズ記事でも、この回の英語表現を取り上げています。


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