海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回取り上げるのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン10 第1話に登場する、get in a digとbickerという、口論にまつわる2つの英語表現です。レナードとペニーの2度目の結婚式には、レナードの両親ビバリーとアルフレッドもそろって顔を見せます。
二人の間で交わされる当てつけの一言と、それを外から言い表す英語の両方から、2つの表現の違いを確かめていきます。
一撃の「get in a dig」、続く「bicker」
レナードの両親とシェルドンの母メアリーが顔をそろえた部屋で、シェルドンの発言を受けたレナードが聞き返します。
Leonard: Are you saying that my dad’s not good enough for your mom?
(つまり、僕の父さんは君のお母さんにふさわしくないって言いたいの?)Sheldon: Yes, while also getting in a solid dig at you. Pretty efficient, huh?
(そうだ。ついでに君にもしっかり嫌味を入れておいた。効率的だろう?)Leonard: This is ridiculous. I’m going across the hall.
(ばかばかしい。向かいの部屋に行くよ。)Sheldon: But why should you get to go and leave me here with your bickering parents?
(でも、なぜ君だけが出ていって、言い争う君の両親と一緒に僕をここに残していくんだ?)TBBT Season10 Episode01
名詞の dig は「当てこすり、嫌味」のことで、get in a dig at ~ は「〜に嫌味をひとつ差し込む」という意味になります。get inには、会話の流れの中にすき間を見つけて言葉を入れるという感覚があります。シェルドンはsolidを添えて、自分の一撃が見事に決まったと誇っているわけです。
一方の bicker は、ささいなことで言い合いを続ける様子を表す動詞です。直前にはビバリーとアルフレッドが互いの発言に反発し合っており、シェルドンはその二人をbickering parentsとまとめています。bickerは相手を深く傷つける激しい口論というより、小さな言い合いが長引く感じを伴う語です。
| 表現 | 意味 | 特徴 |
|---|---|---|
| get in a dig (at ~) | 〜に嫌味をひとつ差し込む | 片方が放つ1回の当てこすり |
| bicker | ささいなことで言い争う | 双方が続ける応酬 |
digは誰かが放つ一言を、bickerは双方が続ける言い合いの状態を指す点が分かれ目です。1発の当てこすりが返され、それがまた返されると、やがてbickerと呼べる応酬になります。
なお、digは数えられる名詞で、take a dig at ~(〜に嫌味を言う)という形でも使われます。対するbickerは、bicker about ~(〜のことで言い争う)の形で争点を続けて言えます。
丁寧な言葉に包んだ「dig」の実例
この回には、digと呼べる一言が場面を変えて何度か登場します。ペニーの部屋では、ペニーの父ワイアットがアルフレッドに会うのが楽しみだと話すと、ビバリーがこう返します。
Beverley: Prepare to be disappointed.
(がっかりする覚悟をしておくことね。)TBBT Season10 Episode01
Prepare to be disappointed. は、相手の期待を逆手にとって、その場にいないアルフレッドを下げる一言です。命令文の形をとりながら、中身は当てこすりになっています。
結婚式の場面では、バーナデットが愛を祝う言葉を述べたところでビバリーが声を漏らし、アルフレッドが応じます。
Beverley: Urgh.
(うう。)Alfred: Sigh louder, no one heard you.
(もっと大きな声でため息をつけ、誰にも聞こえていないぞ。)TBBT Season10 Episode01
Sigh louder, no one heard you. は、相手の不満げな声をわざと「聞こえなかった」と扱い、もっと大きくと促す反語的な言い方です。言葉どおりの依頼ではなく、態度への当てつけとして働いています。
空港へ向かうレナードの車では、レナードが getting along(うまくやる)状態を喜び、アルフレッドもビバリーに謝ります。ビバリーはその謝罪を受け入れたあと、レナードにカープールレーンへ入るよう勧めます。
Alfred: Well, that’s a solid line. He can’t cross that.
(いや、そこは実線だ。越えられないぞ。)Leonard: That’s okay. I can make it over.
(大丈夫、ちゃんと入れるよ。)Beverley: No, no, let’s plod along. It’ll make your father feel more comfortable.
(いいえ、このままのろのろ進みましょう。そのほうがお父さんも安心するでしょうから。)TBBT Season10 Episode01
plod along は「重い足取りでのろのろ進む」という意味です。ビバリーはアルフレッドの慎重さを、相手を気遣う言葉の形に包んで皮肉っています。表面が丁寧なほど、digとしての切れ味が増すことが分かる場面です。
3つの例はいずれも、強い言葉を使わずに相手を刺しています。こうした一言を外から描写するなら、She got in a dig at him.のように言い表せます。
まとめ|1発の嫌味と続く言い合い
今回は、1回の当てこすりを表すget in a digと、続く言い合いを表すbickerの違いを、実際の当てつけの台詞とあわせて見てきました。2つを区別できると、口論の場面を英語で描写しやすくなります。
当てつけの一言の応酬を観察すると、両親の関係が会話の端々からにじみ出ていることが分かります。次回も『ビッグバン★セオリー』と一緒に英語を楽しんでいきましょう。
この回のほかの英語表現は、フレーズ記事やほかのコラムでも紹介しています。


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