海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン6第6話では、ハロウィンの家の飾り付けと雰囲気をめぐって、怖い演出が好きなクレアと、楽しさを優先したいフィルの好みが分かれます。その食い違いの先に、クレアが自分の気持ちを率直に言葉にする場面があります。
人から型にはめられたとき、その違和感を英語ではどう言い表すのか。夫婦の軽口から、クレアの本音、娘の指摘までを順に見ていきます。
好みの違いを言い合う軽口
ハロウィン当日、フィルは今年の担当について説明し、クレアがそこに言葉を添えます。
Phil: Claire’s busy with work this year, so I’m taking over the Halloween duties.
(今年はクレアが仕事で忙しいから、ハロウィンの担当は俺が引き継ぐ。)Phil: My theme is Awesomeland.
(テーマは「オーサムランド」だ。)Claire: Which includes anything Phil finds awesome.
(フィルが「最高」と思うものなら何でもありってこと。)Claire: It’s a pretty big umbrella.
(ずいぶん範囲が広いのよ。)Modern Family Season6 Episode6 (Halloween 3: AwesomeLand)
take over ~ は「〜を引き継ぐ」で、ふだん別の人が担っている役目を代わりに受け持つときに使います。I’ll take over from here.(ここからは私が引き継ぎます。)のように、仕事の引き継ぎの場面でも使われる形です。
It’s a pretty big umbrella. の umbrella は、ここでは傘そのものではなく「多くのものを含む大きな枠」というたとえです。under the umbrella of ~(〜の傘下に)という言い方とも通じる使い方で、「何でも入る」とフィルのテーマの広さを軽く茶化した一言です。
続けて、フィルはクレアの好みに触れます。
Phil: Claire loves blood and guts and gore, but who says Halloween has to be scary?
(クレアは血とか内臓とかグロいのが大好きだけど、ハロウィンが怖くなきゃいけないなんて誰が決めた?)Claire: Everybody but you.
(あなた以外の全員よ。)Phil: This is killing her.
(これがこたえてるんだよ。)Modern Family Season6 Episode6 (Halloween 3: AwesomeLand)
who says ~ has to be ~? は「〜でなければならないなんて誰が言った?」と、思い込みに疑問を投げる問いかけです。答えを求める質問ではありませんが、クレアは Everybody but you.(あなた以外の全員)と正面から返しています。この but は「〜を除いて」という意味です。This is killing her. は「これが彼女にはこたえている」という誇張で、クレアの不満を冗談めかして言い当てる一言と言えます。
「all because ~」で自分の過剰反応を振り返る
後の場面で、フィルは乗り気でないクレアにこう頼みます。クレアの返事は謝罪から始まります。
Phil: Claire, I know this isn’t the Halloween you wanted, but can you try to sell it?
(クレア、これが君の望んだハロウィンじゃないのは分かってる。でも、それらしく盛り上げてくれないかな?)Claire: I’m sorry, honey.
(ごめんね、あなた。)Claire: I got mad at you and I upset Amber, and all because Ronnie called me a soccer mom.
(あなたに腹を立てて、アンバーも怒らせて、それもこれもロニーに「サッカーママ」って呼ばれたからよ。)Claire: What is wrong with me?
(私、どうしちゃったのかしら。)Modern Family Season6 Episode6 (Halloween 3: AwesomeLand)
sell it は「売る」から転じて、「それらしく見せる」「本気でやっているように振る舞う」という意味で使われます。乗り気でない相手に、せめて楽しそうにしてほしいと頼むときの一言です。
all because ~ は「それもこれも〜のせいで」と、いくつもの出来事を一つのきっかけにまとめる形です。前半で自分のしたことを並べ、最後に原因を置くことで、小さなきっかけから話が大きくなったことが伝わります。I got mad at you and I upset Amber と、どちらも I で始まる文を重ねている点も印象的です。soccer mom は、子どもの習い事の送り迎えに忙しい母親を指すくだけた言い方です。
What is wrong with me? は文字どおりには「私の何がおかしいの?」で、自分の言動にあきれたときの決まった言い回しです。このあと、ヘイリーも決めつけられることへの不満を口にします。
「I do not like being pigeonholed.」
ヘイリーの言葉に続けて、クレアは自分の気持ちをはっきり言い表します。
Claire: I do not like being pigeonholed.
(型にはめられるのは嫌なの。)Alex: It’s obvious, mom — you use Halloween as a way to show people you have edge.
(見え見えよ、ママ。ハロウィンを使って、自分にもとがったところがあるって見せてるのよ。)Alex: It’s like accountants who buy a Harley.
(会計士がハーレーを買うのと同じ。)Claire: She’s right.
(この子の言うとおりね。)Claire: Being scary is my motorcycle.
(怖いことが、私にとってのバイクなのよ。)Modern Family Season6 Episode6 (Halloween 3: AwesomeLand)
pigeonhole はもともと書類などを仕分ける小さな仕切り棚を指す語で、動詞では「人を決まった枠に分類する」という意味で使われます。being pigeonholed と受け身にすると、「型にはめられること」への不満を表せます。くだけた場面では Don’t put me in a box.(私を枠に押し込めないで。)や、I don’t like being labeled.(レッテルを貼られるのは嫌。)と言い換えることもできます。
アレックスの use ~ as a way to ~ は「〜を…するための手段として使う」、have edge は「とがった一面がある」という意味です。edge はもともと「刃」や「ふち」を指す語です。続く It’s like ~ でたとえを持ち出し、クレアは Being scary is my motorcycle. と、そのたとえを自分の言葉で言い直します。A is my B. の形で「私にとってのB」と言うと、自分の行動の意味を短く言い表せるのが分かります。
| 表現 | 働き |
|---|---|
| who says ~ has to be ~? | 思い込みに疑問を投げる |
| all because ~ | 出来事を一つのきっかけにまとめる |
| I do not like being pigeonholed. | 型にはめられることを拒む |
| A is my B. | 自分にとっての意味をたとえる |
まとめ|型にはめられたくない気持ちの英語
who says ~ has to be ~? で思い込みに疑問を投げ、all because ~ で過剰反応を振り返り、I do not like being pigeonholed. で枠への違和感を伝える。クレアの言葉からは、決めつけへの反発と自分を見つめ直す姿勢の両方が伝わってきます。
『モダンファミリー』を観ながら、家族の本音がこぼれる瞬間の英語にも耳を傾けてみましょう。
同じ回の仮装の supposed to や衣装をめぐる夫婦の言い合いは、ほかのコラムやフレーズ記事でも取り上げています。


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