海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ホワイトカラー』シーズン5 第8話から、相手に「降りてもかまわない」と伝えるやり取りを取り上げます。ニールとレベッカの食事の席では本心からの気づかいとして、潜入中の取引の場では駆け引きの一手として、よく似た条件の文が使われます。
同じ形の言葉が、場面によってまったく違う働きをする点に注目しながら、二つのやり取りを順番に読んでいきます。
食事の席で差し出される「a way out」
ニールは、コーデックスの研究をしているレベッカと二人で食事の席にいます。その途中、レベッカが切り出します。
Rebecca: You know, you… you don’t have to do all this just to get my help on the case.
(ねえ、あなた……事件で私の協力を得るためだけに、ここまでしなくていいのよ。)
Neal: Do you really think I would do that?
(僕が本当にそんなことをすると思う?)White Collar Season5 Episode8 (Digging Deeper)
don’t have to do all this は「ここまでしなくていい」の意味です。just to ~(〜のためだけに)が付き、協力目当てなのではという疑いがやわらかく示されます。
ニールが自分をどんな男だと思うかと尋ねると、レベッカは「わからない、あなたはFBI捜査官だから」と答え、会話はこう続きます。
Rebecca: If it’s too complicated, I’ll understand.
(込み入りすぎているなら、わかるから。)
Neal: Are you trying to give me a way out?
(僕に逃げ道をくれようとしてる?)
Rebecca: Apparently without much subtlety.
(あまりさりげなくはできなかったみたい。)
Neal: No. I don’t want one. Do you?
(いや、いらないよ。君は?)
Rebecca: No.
(いらない。)White Collar Season5 Episode8 (Digging Deeper)
If it’s too complicated, I’ll understand. は、条件節で状況を仮定し、I’ll understand で「(身を引いても)理解する」と先に伝える形です。断る側の負担を前もって軽くする気づかいと言えます。
a way out は「出口」から転じて「逃げ道」を指す名詞で、give someone a way out は「相手に逃げ道を与える」です。ニールは差し出された余地をそのまま言葉にして確かめています。
レベッカの Apparently without much subtlety. は、主語と動詞が省かれた形で、「どうやらあまりさりげなくはなかった」と自分の言い方を認める返しです。最後の one は a way out を受ける代名詞で、Do you? で同じ問いを相手に返しています。
取引の場で見せる「if you don’t want ~」の駆け引き
物語の後半、ニールはホルトの仲間を名乗って、発信機を仕込んだ偽の恐竜の卵をフォーサイスのもとへ届けます。FBIがホルトを調べていることを気にするフォーサイスに、ニールは自分がホルトの代わりに来たと説明し、さらにこう続けます。
Neal: Hey, if you don’t want the egg anymore, I’m sure I can unload it somewhere else.
(なあ、もう卵がいらないなら、よそで売りさばけるさ。)
Forsythe: No, no, no, no. It’s fine. I wanna see it.
(いや、いや、いや、いや。かまわない。見たいんだ。)White Collar Season5 Episode8 (Digging Deeper)
形は食事の席の文とよく似ています。if で「いらないなら」と条件を置き、後半で引き下がった場合の行き先を示す組み立てです。ただし、こちらの目的は相手を楽にすることではありません。降りてもいいと見せることで、買い手のほうに引き止めさせる駆け引きになっています。unload は「荷を降ろす」が原義で、くだけた会話では「(品物を)売り払う」の意味でも使われます。I’m sure I can ~ と自信を添えると、ほかに買い手がいるという含みが強まります。
フォーサイスは No を4回重ねて打ち消し、It’s fine. で話を収めてから、I wanna see it. と本題に戻ります。降りてもいいと言われた側が、自分から取引を続けたいと示す形になっています。
| 言い方 | 場面 | 働き |
|---|---|---|
| If it’s too complicated, I’ll understand. | 食事の席 | 身を引いても責めないと先に伝える |
| Are you trying to give me a way out? | 食事の席 | 差し出された余地を言い当てる |
| If you don’t want ~, I can ~ somewhere else. | 取引の場 | 降りてもいいと見せて引き止めさせる |
同じ「if+引き下がる余地」でも、気づかいにも圧力にもなるのが英語の条件文の幅広さです。
まとめ|逃げ道を差し出す if と a way out
If it’s too complicated, I’ll understand. の気づかい、give me a way out での確かめ、Do you? で問いを返す流れ、駆け引きの if you don’t want ~ を見てきました。似た形でも、場面で働きが変わることが分かります。
次回も『ホワイトカラー』の会話から、英語の使い分けを見ていきましょう。
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