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『モダンファミリー』シーズン5第6話では、グロリアがジョーの世話をするナニーとしてアンディを雇います。張り切って家の仕事を引き受けるアンディに、ジェイは断りを伝えることにします。
そのやり取りの前後には、「出過ぎたまね」を表す2つの英語が出てきます。どちらも日本語にすると似た意味になりますが、何が行き過ぎているのかが違います。場面の順に、使い分けを見ていきます。
「Nice and toasty」に表れた世話焼きぶり
ジェイがグロリアを呼ぶと、応じたのはアンディでした。
Jay: Gloria, I forgot my towel!
(グロリア、タオルを忘れた!)Andy: Here it is.
(はい、どうぞ。)Andy: Nice and toasty from the dryer.
(乾燥機から出したて、ほかほかですよ。)Jay: Gloria!
(グロリア!)Andy: She ran to the store.
(お店に出かけましたよ。)Andy: Breakfast in 5.
(朝ごはんはあと5分です。)Andy: Your underpants are pressed and on your bed.
(下着はアイロンをかけてベッドに置いてあります。)Modern Family Season5 Episode6 (The Help)
nice and ~ は形容詞の前に置いて「ほどよく〜」と心地よさを強める形で、nice and toasty は「ほかほかに温まった」という意味になります。Breakfast in 5. は動詞を省いた短い言い方で、「あと5分で朝ごはん」と予定を手短に知らせます。日常で使うなら、Coffee’s ready, nice and hot. のように差し出すものの状態を添えると、気づかいの伝わる一言になります。
アンディの言葉は、どれも相手の世話を先回りして整えたことを伝えています。ただ、ジェイが呼んでいるのは一貫してグロリアです。頼まれる前に下着の準備まで済ませているという点に、世話の行き届きすぎた様子がうかがえます。
この場面だけを見ると、アンディは親切そのものです。それでも、相手が望んでいる距離より近くまで踏み込むと、親切がかえって負担に感じられることがあります。この感覚を表す言葉が、後の場面でアンディ自身の口から出てきます。その前に、まずジェイの側がどんな言葉で断りを切り出すのかを見ておきます。
「overstep one’s bounds」で断りを切り出す
別の場面で、アンディは張り切って朝食とその後の予定を話し始めます。ジェイはそれを途中で止めます。
Andy: Good morning, boss, junior boss.
(おはようございます、ボス、ジュニアボス。)Andy: Grab a seat and check it out.
(座って見てください。)Andy: Egg-white omelet, high-protein smoothies, then I thought we could put on our running shoes and go
(卵白のオムレツに、高たんぱくのスムージー。そのあとランニングシューズを履いて——)Jay: I need to cut you off right there, chief.
(話の途中で悪いが、そこまでだ、大将。)Jay: Seems my wife overstepped her bounds.
(どうやら妻が出過ぎたまねをしたらしい。)Jay: Now, you seem like a nice guy.
(なあ、君はいいやつみたいだ。)Modern Family Season5 Episode6 (The Help)
cut someone off は「人の話をさえぎる」で、I need to ~ を前に置くと「悪いが〜しなければならない」と、さえぎる理由がこちらにあることを示せます。chief は男性への気さくな呼びかけです。目上の相手の話をさえぎるときは、Sorry to interrupt, but ~ と前置きするほうが柔らかく響きます。
overstep one’s bounds は「自分の領分・権限を越える」という意味で、bounds は「範囲・限界」を指します。ジェイはアンディではなく、アンディを雇ったグロリアの判断を指してこの言葉を使っています。つまり、行き過ぎたのは本人の態度ではなく、決めてよい範囲だと言っているわけです。Seems ~ と主語を省いた形で、断定を少し和らげているのも見逃せません。
続く Now, you seem like a nice guy. の Now は、話を本題に向ける前置きです。まず相手を認める一言を置き、本題の断りへつなげる順序が、ここから分かります。
「come on too strong」は態度の行き過ぎ
ジェイは本題に入ります。
Andy: Thanks.
(どうも。)Jay: But I don’t think you’re the best fit for this house.
(だが、この家には君は合わないと思う。)Andy: Are are you serious?
(ほ、本気ですか?)Jay: I’m afraid so.
(残念ながらな。)Andy: Okay.
(分かりました。)Andy: It was the underpants, wasn’t it?
(下着のせいですよね?)Jay: That didn’t help.
(あれは逆効果だったな。)Modern Family Season5 Episode6 (The Help)
the best fit for ~ は「〜に最もふさわしい」で、人と場所の相性を理由にして断る言い方です。この表現は同じ回のフレーズ記事でも詳しく取り上げています。I’m afraid so. は「残念ながらそうだ」と、相手にとって悪い知らせを認めるときの決まった返し方です。That didn’t help. は「それも助けにはならなかった」という含みで、下着の件が理由だったかどうかは明言せず、少なくともプラスには働かなかったと伝えています。
断りを受けたアンディは、こう振り返ります。
Andy: Man, I came on too strong.
(ああ、押しが強すぎたんだ。)Andy: Gosh dang it!
(しまった!)Modern Family Season5 Episode6 (The Help)
come on too strong は「押しが強すぎる・グイグイ行きすぎる」で、行き過ぎているのは接し方の勢いです。
| 表現 | 行き過ぎているもの | この回での使われ方 |
|---|---|---|
| overstep one’s bounds | 権限・領分 | ジェイがグロリアの判断を指して |
| come on too strong | 態度・押しの強さ | アンディが自分の接し方を振り返って |
人の振る舞いをやんわり指摘したいとき、決める立場にない人が決めた場合は前者、熱心すぎて相手が引いている場合は後者が合います。
また、どちらも相手に向けると指摘の言葉になりますが、自分に向けると反省の言葉になります。アンディの I came on too strong. のように主語を I にすると、「張り切りすぎた」と自分の非を認める一言になり、相手を責める言い方より角が立ちません。
まとめ|何が行き過ぎたのかで言葉を選ぶ
権限の線を越えたなら overstep one’s bounds、勢いが強すぎたなら come on too strong。ジェイとアンディの言葉を並べると、「出過ぎたまね」の中身によって表現が分かれることが見えてきます。
次回も『モダンファミリー』の会話から、言葉の使い分けを拾っていきましょう。
アンディがグロリアをなだめる場面やペッパーとの打ち合わせは、同じ回のほかのコラムで取り上げています。


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