海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ホワイトカラー』シーズン4第14話から、ロンドン支社を任される話が持ち上がったサラと、ニールの会話を取り上げます。お互いに話が重くなりすぎないよう、冗談や比喩を挟みながら言葉を選んでいる点が、この二人の会話に共通する特徴です。
応援の気持ちに本心を添える言い方と、楽しかった時間を比喩で締めくくる言い方を、二つの場面から順に見ていきます。
「I hope you get the job.」に「Not because ~」を添える
物語の中盤、サラはニールに、勤め先のロンドン支社を率いる新しい仕事の候補になっていると打ち明けます。もっと早く言うべきだったと話すサラに、ニールは言う必要はなかったと返し、それを受けたサラの一言がこちらです。
Sara: Well, it’s not like I’m running away To an island or something.
(まあ、島に逃げるとかいうわけじゃないし。)
Neal: Well, technically, Britain is an island.
(まあ、厳密に言えばイギリスも島だけどね。)White Collar Season4 Episode14 (Shoot the Moon)
it’s not like ~ は「別に〜というわけじゃない」と、相手が抱きそうな大げさな受け取り方を先に打ち消す決まり文句です。島へ逃げたことのあるニールに向けた一言で、ニールは technically(厳密に言えば)で揚げ足を取って返します。打ち明け話を冗談で軽くする往復と言えます。
後半、手紙を読み返していたモジーが犬を連れて出たあと、ニールはロンドンの話題を持ち出します。サラが若いころの夏の思い出を語ったあとで、ニールはこう伝えます。
Neal: I hope you get the job. Not because I want you to leave… Because I want you to be happy.
(仕事、決まるといいね。君にいなくなってほしいからじゃない…。君に幸せでいてほしいからだ。)White Collar Season4 Episode14 (Shoot the Moon)
I hope you get the job. の get は現在形ですが、hope の後ろでは、これから先のことも現在形で表すことがよくあります。続く Not because ~ … Because ~ は、本来なら Not because A, but because B となる形から but を落とし、二つに区切った言い方です。応援の言葉は「遠くへ行ってほしい」とも聞こえかねないため、その受け取り方を先に否定してから本当の理由を添えています。
「up in the clouds」から「the ground beckons」へ、比喩を受け継ぐ
ニールの言葉を受けて、サラは二人で過ごした時間をこう振り返ります。
Sara: I have to admit… it has been a lot of fun Spending time with you up in the clouds.
(正直に言うと…雲の上であなたと過ごすのは、すごく楽しかった。)
Neal: But the ground beckons.
(でも、地上が呼んでる。)White Collar Season4 Episode14 (Shoot the Moon)
I have to admit は「認めざるを得ない」が直訳で、言いにくい本音を口にする前置きとしてよく使われます。it has been a lot of fun は現在完了で、これまで続いてきた時間を、今の時点からまとめて振り返る時制です。up in the clouds は「雲の上」から転じて、現実から少し離れた夢見心地の状態を指します。
ニールの But the ground beckons. は、その「雲の上」を受けて「地上=現実」で返した一言です。beckon は「手招きする」という動詞で、地上がこちらを手招きしているように描いています。相手の比喩を引き取って続けると、楽しかった時間に区切りをつける言葉が角を立てずに伝わります。
短いやり取りを挟んで、ニールは別れ際らしい頼みを口にします。
Neal: Send me a postcard?
(絵はがき、送ってくれる?)
Sara: Yeah. More than one. Less than 700.
(ええ。1枚より多く。700通よりは少なく。)White Collar Season4 Episode14 (Shoot the Moon)
Send me a postcard? は命令文の形に疑問符を付け、頼みを軽い問いかけにした形です。旅先から届く絵はがきを頼むことで、離れても連絡を取り合おうという気持ちを重くならずに伝えています。サラの Less than 700. は、捜査で読み込んでいた約700通の獄中の手紙を下敷きにした冗談で、別れの話を笑いで包む返しです。
まとめ|応援と名残を伝える言葉
先回りして打ち消す it’s not like ~、誤解を防ぐ Not because ~ … Because ~、比喩を引き取る But the ground beckons.、数で冗談を添える Less than 700. を見てきました。別れ際ほど言葉選びの工夫が光ります。
二人の会話からは、言いにくい本音を軽やかに包む英語の手ざわりが伝わってきます。
第14話のほかのコラムやフレーズ記事では、同じ回の別の会話も扱っています。


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