間違いを丁寧に指摘する前置きは英語でどう言う?|『ヤングシェルドン』S01E10で学ぶ英会話

『Young Sheldon』コラム: 間違いを丁寧に指摘する前置きは英語でどう言う?|『ヤングシェルドン』S01E10で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

シットコム『ヤングシェルドン』シーズン1第10話では、9歳で高校に通うシェルドンが、授業中に先生たちへ指摘をする場面がいくつも描かれます。言葉づかいそのものは丁寧なのに、中身ははっきりとした指摘になっているところが、この回の見どころです。

今回は、相手を気づかう形の前置き、遠回しな問いかけ、提案の切り出し方を、三つの場面から見ていきます。

目次

「I don’t want to embarrass you」で気づかいの形をとる

冒頭では、校長室での話し合いの合間に、授業中の短い場面が続けて映ります。最初はイングラム先生の授業です。

Ms. Ingram: And so the square of sine plus cosine equals one. Sheldon.
(というわけで、サイン足すコサインの2乗は1になります。シェルドン。)

Sheldon: I don’t want to embarrass you, so I’m going to give you a moment to think about what you just said.
(先生に恥をかかせたくないので、今言ったことについて考える時間を少しあげます。)

Young Sheldon Season1 Episode10(An Eagle Feather, a String Bean, and an Eskimo)

I don’t want to embarrass you は「相手に恥をかかせたくない」という意味で、相手の立場を気づかう前置きとして使われます。embarrass は「人前できまり悪い思いをさせる」という動詞で、ここでは、名前を呼ばれたシェルドンがこの一言を返しています。

続く give you a moment to think about ~ は「〜について考える時間をあげる」という意味になります。a moment は「少しの間」を表し、相手に自分で気づく余地を残す形になっています。何が間違っているかを言わずに、考え直すよう促しているわけです。

ただ、この組み合わせを先生に向けると、気づかいの形をとりながら「今のは間違いだ」と告げることになります。前置きが丁寧であるほど、指摘のはっきりした中身が際立つ構造です。実際の会話で目上の相手に使うと、皮肉に聞こえる場合があります。

  • A: I don’t want to embarrass you, but your tag is showing.
    (恥をかかせたくはないんだけど、服のタグが見えてるよ。)
  • B: Oh, thanks for telling me quietly.
    (あ、こっそり教えてくれてありがとう。)

「I’m wondering if」と「don’t you think you should」で遠回しに問う

次はマッケルロイ先生の授業です。シェルドンは先生に呼びかけて、こう切り出します。

Sheldon: Ms. MacElroy.
(マッケルロイ先生。)

— What?
(何?)

Sheldon: I’m wondering if you read the book you assigned to us, because I did.
(先生は僕たちに出した課題の本を読んだのかなと思って。僕は読みましたから。)

Young Sheldon Season1 Episode10(An Eagle Feather, a String Bean, and an Eskimo)

I’m wondering if ~ は「〜かなと思って」と、疑問を直接ぶつけずに差し出す形です。過去形の I wondered if ~ もあり、進行形や過去形にするほど相手に答えを強いない響きになります。Did you read ~? と尋ねるより柔らかく聞こえるのはそのためです。ところがシェルドンは because I did を添えたため、自分は読んだという一言が、相手は読んでいないのではという含みに変わっています。

別の場面では、ウィルキンズコーチが走るよう指示します。

Coach Wilkins: 20 laps. Cooper.
(20周。クーパー。)

Sheldon: If you’re going to ask us to run, don’t you think you should lead by example?
(僕たちに走れと言うなら、コーチが手本を見せるべきだと思いませんか?)

Young Sheldon Season1 Episode10(An Eagle Feather, a String Bean, and an Eskimo)

コーチの Cooper. は名字での呼びかけで、走る指示がシェルドンにも向けられたことが分かります。don’t you think you should ~? は「〜すべきだと思いませんか?」という否定疑問で、相手に同意を求めながら行動を促す形です。lead by example は「自ら手本を示す」という意味の決まった組み合わせです。If で条件を先に示してから問いかけることで、指示そのものを相手に返す組み立てになっています。

  • A: I’m wondering if you could check these numbers again.
    (この数字をもう一度確認していただけないかと思いまして。)
  • B: Sure. Don’t you think we should ask the whole team, too?
    (もちろん。チーム全員にも聞いたほうがいいと思わない?)

「Can I offer a suggestion?」で提案として切り出す

後半にも、イングラム先生の授業でのやり取りがあります。今度のシェルドンは、提案という形で話を切り出しました。冒頭の場面とは違い、まず相手に許可を求めるところから始めています。

Sheldon: Ms. Ingram, can I offer a suggestion?
(イングラム先生、提案してもいいですか?)

— What?
(何?)

Young Sheldon Season1 Episode10(An Eagle Feather, a String Bean, and an Eskimo)

Can I offer a suggestion? は「提案してもいいですか?」と、意見を述べる前に許可を求める前置きです。offer は「差し出す」という動詞で、相手に受け取るかどうかを委ねる響きがあります。短いやり取りをはさんで、イングラム先生はこう応じます。

Ms. Ingram: You tell me. Tell me how I’m wrong.
(言ってごらんなさい。私のどこが間違ってるのか言ってみて。)

Sheldon: You assumed an extra axiom of Euclidean geometry without stating it.
(先生はユークリッド幾何学の公理をひとつ余計に、断りなく前提にしていました。)

Young Sheldon Season1 Episode10(An Eagle Feather, a String Bean, and an Eskimo)

Tell me how I’m wrong. は「どこが間違っているのか言ってみて」と、指摘を受けて立つ返しです。直前の You tell me と重ねて、相手に話すよう強く促しています。

シェルドンの You assumed ~ without stating it. は「〜を断りなく前提にした」という具体的な指摘です。assume(仮定する)と without stating it(明言せずに)を組み合わせ、どこに論理の抜けがあると考えたのかを言葉にしています。前置きの段階では遠回しだった指摘が、促されたとたんに具体的な一文になる流れが見どころです。

表現 場面での働き
I don’t want to embarrass you 気づかいの形をとった前置き
I’m wondering if ~ 疑問を遠回しに差し出す
don’t you think you should ~? 同意を求めつつ行動を促す
Can I offer a suggestion? 許可を求めて提案を切り出す
Tell me how I’m wrong. 指摘を受けて立つ

まとめ|前置きの丁寧さと指摘の中身

I don’t want to embarrass you や I’m wondering if ~、Can I offer a suggestion? は、指摘の前に相手を気づかう形を整える言い方です。前置きの丁寧さと中身のはっきりした指摘の組み合わせが、場面ごとに違った響きを生んでいます。

次回も『ヤングシェルドン』の会話を観ながら、英語表現の奥行きを味わっていきましょう。



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