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『モダンファミリー』のシーズン1、第9話では、ルークの誕生日パーティーでロッククライミングウォールを終えて懸垂下降するルークを励ましたフィルが、その直後に自分の”怖いもの知らず”ぶりを語りだす場面があります。今回は、怖くない例を畳みかけてから断定をふっと和らげ、最後に本当の弱点を明かす、フィルらしい話し方を取り上げます。
強気な言葉の裏にどんな仕掛けが隠れているのか、実際のやり取りとともに見ていきましょう。
“Roller coasters? Love ‘em.” ― 怖くない例を畳みかけるリズム
ロッククライミングウォールを終えたルークに、フィルは「Great job, buddy.」「Now comes the fun part.」「Rappel down.」と声をかけます。高さに怖がるルークに「You have nothing to fear but fear itself and the concrete.」「But I’m right here, buddy.」と声をかけると、ルークは「Okay, just catch me.」と応じます。この流れを受けて、フィルは自分自身の勇敢さについて語り始めます。
Phil: I am brave. Roller coasters? Love ‘em. Scary movies? I’ve seen Ghostbusters, like, seven times.
(俺は勇敢だからな。ジェットコースター? 大好物。ホラー映画? 『ゴーストバスターズ』はもう7回くらい観てるし。)Modern Family Season1 Episode9 (Fizbo)
Roller coasters? Love ‘em. も続く一文も、まず怖がられそうな対象を疑問形で自分に投げかけ、間を置かずに平気だという答えを重ねる作りになっています。こうした例をいくつも並べたあと、フィルは自分の勇敢さを一言でまとめます。
Phil: So yeah, I’m pretty much not afraid of anything.
(だから、俺はほとんど何も怖くないってわけさ。)Modern Family Season1 Episode9 (Fizbo)
pretty much は「ほとんど」「だいたい」を意味する口語の副詞で、not afraid of anything という強い断定の直前に置かれることで、言い切りの角をわずかに丸める働きをしています。ジェットコースターやホラー映画の例を畳みかけたあとの結論としては強気な一言ですが、pretty much が挟まることで、100%の断言までは踏み込まない余地が残る言い方になっています。
例をいくつも重ねてから一言でまとめる構成は、日常会話でも自分をアピールしたい場面でよく使われる型です。相手に反論の隙を与えにくい一方、pretty much のような控えめな副詞を添えることで、言い過ぎた印象を和らげる調整も同時に行われています。
A: Are you okay with heights?
(高いところは平気なの?)
B: Pretty much. I climbed a mountain last year.
(まあほとんど平気かな。去年、山にも登ったし。)
このように pretty much は、Yes とまで言い切らずに強い自信をにじませたいときに便利な言葉です。フィルの場合も、怖くない例を並べたうえで pretty much を添えることで、断定を避けながらも十分に自信家らしい印象を残す言い方になっています。
“Do have an image to maintain.” ― 強がりのあとに明かす本当の弱点
フィルがそう言い切った直後、道化姿のキャメロンが割り込んできます。それを受けて、フィルは自分の言葉を訂正するように話を続けます。
Phil: Except clowns. Never shared that with the fam, so shh. Do have an image to maintain. I am not really sure where the fear comes from.
(クラウンだけは別だけどな。家族には内緒にしてたんだ、しーっ。イメージってものがあるからな。どこから来た恐怖症かは、自分でもよくわからないんだよな。)Modern Family Season1 Episode9 (Fizbo)
Except clowns. の一言で、先ほどの「何も怖くない」という宣言に例外があったことが明かされます。Never shared that with the fam, so shh. の so shh は、口止めを軽いノリで済ませる口語表現です。深刻な告白というより、いたずらっぽく秘密を打ち明けるトーンが伝わってきます。
Do have an image to maintain. は、本来なら I have an image to maintain. となるところの主語 I が省略され、代わりに do が助動詞として文頭に置かれた形です。肯定文にわざわざ do を挿入するこの語順は、「守るべきイメージが(本当に)あるんだ」という念押しのニュアンスを加える働きをしています。
A: You don’t seem like the type to worry about what people think.
(人の目を気にするタイプには見えないけど。)
B: Do have an image to maintain, though.
(いや、これでも守るべきイメージってものがあるんだよ。)
このように do を文頭に添える言い方は、相手の見立てをやんわり訂正しつつ、自分の言い分を強調したいときに使われます。強がりを並べたあとに弱点を明かしつつ、それでもなお体裁を気にする、フィルらしい二重構造の面白さが見どころです。
続く I am not really sure where the fear comes from. も、not really という部分否定を挟むことで、「全くわからない」とまでは言い切らない歯切れの言い方になっています。
冒頭の断定口調から一転して、この一文では歯切れの悪さがそのまま滲み出ており、フィル自身も自分の弱点をうまく説明できずにいる様子が伝わってきます。強気な自己紹介から始まった語りが、最後には自分でも整理しきれない弱点の告白で締めくくられる、その落差も見どころの一つです。
まとめ|強がりと本音を行き来する話し方
Roller coasters? Love ‘em. の畳みかけと、pretty much による断定の和らげ、Do have an image to maintain. の do の強調用法を見てきました。強気な言葉を重ねたあとに例外を明かす構成に、フィルらしい人間味が表れています。
次回も『モダンファミリー』と一緒に英語表現を見ていきましょう。
このエピソードの英語表現は、フレーズ記事やエピソードまとめでも扱っています。


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