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『モダンファミリー』シーズン2の第1話では、勉強のためにマニーの家へやって来たケリーをめぐって、食べ物や飲み物の好みを伝え合う小さなやり取りが何度か描かれます。勧める側と断る側で、選ぶ言い回しにそれぞれの持ち味が出ているのが面白いところです。
今回はこのうち3つの場面を順に追いながら、勧められたものを角を立てずに断る言い方と、相手の好みを先回りして決めてしまう言い方を見ていきます。
理由を添えて断る言い方と、もう一押しする言い方
ケリーは、マニーと一緒に蚕の一生を勉強するために家へやって来ます。グロリアはマニーに、ケリーにエンパナーダを出すよう促します。
Gloria: Manny, why don’t you give your friend Kelly an empanada?
(マニー、お友だちのケリーにエンパナーダを出してあげたら?)Kelly: Oh, no, thank you.
(あ、いいえ、結構です。)Kelly: I try to stay away from trans fats.
(トランス脂肪酸は控えるようにしているんです。)Gloria: I’m sure one won’t make a difference.
(1個くらい、どうってことないわよ。)Gloria: They’re Manny’s favorite.
(マニーの大好物なのよ。)Manny: I think I’m going to stop eating trans fats too.
(僕もトランス脂肪酸はやめようかな。)Modern Family Season2 Episode1 (The Old Wagon)
ケリーの断り方は、No, thank you. の直後に理由を1つだけ添える形です。I try to stay away from ~ は「〜は控えるようにしている」という習慣を伝える言い方で、「食べない」と言い切るよりも柔らかく響きます。相手の料理を否定せず、自分の方針として断っている点がポイントです。
対するグロリアの I’m sure one won’t make a difference. は、断られた後にもう一押しするときの定番の言い回しです。one は「1個だけ」、make a difference は「違いが出る」なので、「1個くらいなら何も変わらない」という意味になります。さらに「マニーの大好物なのよ」と、勧める理由を重ねています。こうして言葉を足していくと、断る側はもう一度断りにくくなります。英語でも日本語でも、勧め合いの駆け引きは似た形になることが分かります。
このやり取りの締めくくりは、マニーの I think I’m going to stop eating trans fats too. です。勧めたグロリアではなく、断ったケリーの側に話がまとまっていく流れが読み取れます。
好みを先回りして決める言い方と、本人に委ねる言い方
別の場面で、グロリアがチョコレートミルクを持ってくると、今度はケリーのほうから提案が出ます。
Kelly: Oh, you know what you should do? Put a pinch of salt in the chocolate milk.
(あ、いいこと教えてあげましょうか。チョコレートミルクに塩をひとつまみ入れるといいんですよ。)Kelly: It really brings out the flavor.
(味がぐっと引き立つんです。)Gloria: Salt is for the popcorn.
(塩はポップコーンに使うものよ。)Manny: That sounds good.
(おいしそうだね。)Gloria: You wouldn’t like it.
(あなたの口には合わないわよ。)Kelly: Maybe we should let Manny decide.
(マニーに決めてもらったらどうでしょう。)Modern Family Season2 Episode1 (The Old Wagon)
You know what you should do? は、相手に何かを勧めるときの前置きです。bring out the flavor は「味を引き立てる」で、料理の話でよく使われます。これに対するグロリアの Salt is for the popcorn. は、「塩は〇〇に使うもの」と用途を言い切ることで、提案をやんわり退ける返し方です。
グロリアの You wouldn’t like it. は、仮定の would を使って「(試したとしても)あなたは気に入らないと思う」と、相手の好みを先回りして言い切る言い方です。本人がまだ口にしていないものについて結論を出しているため、言われた側には少し押しつけがましく聞こえることもあります。
そこでケリーが返すのが「マニーに決めてもらったらどうでしょう」という一言です。let ~ decide は「〜に決めさせる」。Maybe we should で始めることで、提案の形を保ちつつ、決める権利を本人に戻しています。好みの話で意見が分かれたときに、角を立てずに場を収める言い方として応用できます。
「I don’t care for it.」と、分かってくれない相手への一言
グロリアはこの後、塩を出します。
Gloria: Okay.
(いいわ。)Gloria: Here’s the salt.
(はい、お塩。)Gloria: We’ll see what he likes.
(この子が何を好きか、見てみましょう。)Manny: Wow! That’s really good.
(わあ!すごくおいしい。)Manny: Try it, Mom.
(ママも飲んでみてよ。)Gloria: I don’t care for it.
(私の好みじゃないわ。)Gloria: It was delicious.
(おいしかったわ。)Modern Family Season2 Episode1 (The Old Wagon)
I don’t care for it. は「あまり好きではない」を控えめに伝える言い方で、I don’t like it. よりも角が立ちにくいとされます。I don’t care.(どうでもいい)とは意味がまったく違うので、for の有無に注意が必要です。この一言の後に続く It was delicious. との食い違いが、この場面の笑いどころになっています。
終盤、予定より早く帰ってきたマニーは、映画はやめたとグロリアに話し、その理由を打ち明けます。
Manny: Kelly didn’t like my jacket.
(ケリーは僕のジャケットが気に入らなかったんだ。)Manny: Plus, she ordered for me.
(それに、僕の分まで注文しちゃったんだ。)Gloria: Mmm.
(うーん。)Gloria: Did she let you hear the specials at least?
(せめて今日のおすすめは聞かせてくれたの?)Manny: No.
(ううん。)Manny: I don’t wanna be with someone who doesn’t get me.
(僕のことを分かってくれない人とは一緒にいたくないよ。)Manny: Do we have any trans fats left?
(トランス脂肪酸、まだ残ってる?)Modern Family Season2 Episode1 (The Old Wagon)
order for ~ は「〜の分を代わりに注文する」、get は understand と同じく「(人を)理解する」という意味です。グロリアの Did she let you hear the specials at least? は、at least で「せめて〜くらいは」と最低限の線を確かめる聞き方になっています。最後の Do we have any trans fats left? は、最初の場面を受けた一言として響きます。
まとめ|好みを伝える言い方の温度差
I try to stay away from ~ で理由を添えて断り、I’m sure one won’t make a difference. で一押しし、You wouldn’t like it. と let ~ decide で好みの主導権を取り合う。そして I don’t care for it. で控えめに断る。同じ「好み」の話でも、言い方ひとつで温度が変わることが分かります。
次回も『モダンファミリー』と一緒に、家族の会話から英語を拾っていきましょう。
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