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『モダンファミリー』シーズン3第14話では、ほめ言葉がいくつもの場面で行き交います。フィルは顧客になってほしいタッドを食事に迎えて何かと持ち上げ、ジェイはミッチェルの打ち合わせの席で、かつてよく聴いていたラジオDJのブッカーに会い、熱のこもった言葉を並べます。
今回は、相手をほめる側の言い方と、ほめられた側がそれを穏やかに受け止める返し方を、場面ごとに見ていきます。
「kiss up」と、自虐をほめ言葉に変える返し
フィルはタッドを迎える準備をしながら、自分を不動産の担当者にしてもらうために、この機会をうまく運びたいと話します。それを聞いたアレックスが問いかけます。
Alex: So you’re just kissing up to this guy for his money?
(じゃあパパは、お金目当てでその人にごまをすってるだけってこと?)Phil: Not just.
(だけじゃないさ。)Phil: I really like him.
(本当に好きなんだよ。)Modern Family Season3 Episode14 (Me? Jealous?)
kiss up to ~ は「〜にごまをする、取り入る」という意味のくだけた言い方です。for his money と続けることで、お金目当てで持ち上げているのではないかと突っ込む問いになっています。フィルの Not just. は just を打ち消して「それだけではない」と返す形で、続く I really like him. で仕事抜きの好意もあると添えています。
似た意味の butter up(おだてて機嫌をとる)は、頼みごとの前に相手を持ち上げる場面で使われることが多い言い方で、kiss up よりもやや軽い響きがあります。
食事の席では、クレアがワインをほめ、タッドがその産地について語ります。
Claire: Tad, this wine is fantastic.
(タッド、このワイン最高ね。)Tad: Spend a week in Mendoza, and you’ll find a dozen or so malbec producers that’ll give most Bordeaux a real run for their money.
(メンドーサで1週間過ごせば、たいていのボルドーといい勝負をするマルベックの生産者が十数軒は見つかるよ。)Claire: Mm.
(へえ。)Tad: I’m sorry.
(失礼。)Tad: This should come with a warning— “may cause pretentiousness.
(注意書きが要るな。「気取った話になるおそれあり」ってね。)Phil: You should come with a warning— “may be fascinating.
(君こそ注意書きが要るよ。「魅了されるおそれあり」ってね。)Modern Family Season3 Episode14 (Me? Jealous?)
come with a warning は「注意書きが付いてくる」という意味で、商品のラベルのような言い回しです。タッドは自分の話に「気取った話になるおそれあり」と注意書きを付けて茶化しています。フィルは同じ型を借りて主語を You に変え、注意書きの中身を may be fascinating に入れ替えました。相手の自虐の型をそのまま使ってほめ言葉にひっくり返す、切り返しの妙が見どころです。
「thank you so much for ~」で交わすお礼
タッドが帰るときの見送りでも、お礼の言葉が行き来します。
Phil: Hey, listen, um, thank you so much for coming.
(なあ、あの、来てくれて本当にありがとう。)Claire: Yeah, yeah.
(ええ、ほんとに。)Tad: Oh, no, thank you, Phil, so much for the salmon and the steak and the chicken and the shrimp.
(いやいや、お礼を言うのはこっちだよ、フィル。サーモンにステーキにチキンにシュリンプまで、ありがとう。)Tad: Oh I mean, it was all just delicious.
(いや、どれも本当においしかった。)Phil: Oh, great.
(ああ、よかった。)Modern Family Season3 Episode14 (Me? Jealous?)
フィルの thank you so much for coming は、来てくれたこと自体に礼を言う形です。for のあとに coming を置くと、迎えた側から客へのお礼になります。タッドは Oh, no, thank you と返し、相手のお礼をいったん打ち消して、自分からのお礼に切り替えています。この Oh, no は否定というより「礼を言うのはこちらのほう」という合図と言えます。
タッドは for のあとに料理を4つ並べ、it was all just delicious と all でひとまとめにほめています。準備の段階でフィルは、タッドがサーモンを気に入るかを気にかけ、予備にステーキも用意しておこうかと話していました。その流れを踏まえると、並んだ料理の名前がちょっとした笑いどころになっています。
- A: Thank you so much for having us.
(招いてくれて本当にありがとう。) - B: Oh, no, thank you for coming.
(いえいえ、来てくれてありがとう。)
「This is such an honor.」と「That’s kind of you to say.」
ジェイは、営業で車を走らせていたころにブッカーの番組をよく聴いていたと話します。会いに行けばいいとキャメロンに勧められると、以前ある人に会ったときには got all tongue-tied(すっかり舌がもつれた)と言ってためらいました。実際にミッチェルの打ち合わせの席に現れたジェイは、名乗るときに別の名前を口にしてから自分の名前を言い直します。
Booker: It’s nice to meet you.
(お会いできてうれしいです。)Jay: This is such an honor.
(本当に光栄です。)Jay: You are hands down my favorite radio personality of all time.
(あなたは文句なしに、俺がこれまででいちばん好きなラジオパーソナリティなんです。)Booker: That’s kind of you to say.
(そう言ってもらえるとうれしいね。)Modern Family Season3 Episode14 (Me? Jealous?)
This is such an honor. は「お会いできて光栄です」にあたる言い方で、such が気持ちの強さを表します。hands down は「文句なしに、断然」という意味の副詞句で、my favorite ~ of all time と組み合わせると「これまでで最高の〜」という最大級のほめ言葉になります。
ほめられたブッカーの That’s kind of you to say. は、相手の言葉を否定も誇張もせずに受け止め、言ってくれた親切に礼を返す形です。初対面の相手や仕事の場面でも使いやすい返し方と言えます。
| 場面 | ほめる側 | 受け止める側 |
|---|---|---|
| 初対面・憧れの人 | This is such an honor. | That’s kind of you to say. |
| もてなしへのお礼 | Thank you so much for coming. | Oh, no, thank you. |
まとめ|ほめる言葉と受け止める言葉
kiss up への Not just.、自虐を借りた You should come with a warning、お礼を返す Oh, no, thank you、そして This is such an honor. と That’s kind of you to say.。ほめる側と受ける側を対にすると、会話の往復が見えてきます。
次回も『モダンファミリー』の場面を観ながら、英語のやり取りを一緒に拾っていきましょう。
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