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『モダンファミリー』シーズン3第2話では、スーパーで転んだのは誰のせいかをめぐって、クレアが一歩も引かない姿が何度も描かれます。そのたびに子どもたちは、同意しているようにも聞こえる短いひと言で、母の「正しさ」に茶々を入れます。
今回は、認めるふりをして皮肉る相づちと、言われた側の切り返し、そして「正しさ」を証明するまでの流れを、場面の順に追っていきます。
「You’re right.」に続く「As usual.」と「Like always.」
フィルが子どもたちに、スーパーでクレアが転んだときの話をしています。クレアはその話に割って入り、原因はフィルにあると言い出します。
Claire: You might wanna tell them that it was you who pushed me into the peaches in the first place.
(そもそも私を桃の缶に押し込んだのはあなただって、ちゃんと言ったら?)Phil: This again? I wasn’t even near you.
(またその話?俺、近くにもいなかったじゃん。)Claire: Yes, you were! You knocked me with the cart.
(いたわよ!カートでぶつかってきたでしょ。)Claire: It was completely your fault.
(完全にあなたのせいよ。)Modern Family Season3 Episode2 (When Good Kids Go Bad)
この後フィルは「意見が違うことを認め合おう」という趣旨の提案をしますが、クレアはそれも受け入れません。その後、フィルは引く側に回ります。
Phil: Okay, Claire.
(わかったよ、クレア。)Phil: You’re right.
(君が正しい。)Haley: As usual.
(いつもどおりね。)Claire: No, I am right.
(違う、本当に正しいの。)Haley: Like always.
(いつだってね。)Claire: Stop it.
(やめなさい。)Claire: When I am wrong, I admit it.
(間違ってるときは、ちゃんと認めるわよ。)Luke: Which is never.
(一度もないけどね。)Modern Family Season3 Episode2 (When Good Kids Go Bad)
You’re right. は本来「あなたが正しい」と認める言葉ですが、ここでは言い合いを切り上げるための譲歩として働きます。そこへヘイリーが As usual.「いつもどおり」、Like always.「いつだって」と足すことで、「この人はいつも自分が正しいことにする」という皮肉に変わります。
単語自体は中立でも、相手の発言に後から付け足すと当てこすりになるのが面白いところです。ルークの Which is never. は、直前の文全体を which で受けて「それは一度もない」と否定する形で、クレアの言葉をそのままひっくり返す一言です。
こうした相づちは、言い方や相手との距離によっては、からかいを通り越して失礼に響くこともあります。この場面が成り立っているのは、家族どうしの気安いやり取りだからだと読み取れます。
「I would love to be wrong.」で返す側の言い方
ルークが屋根裏へ移ると聞いたクレアは、すぐに元の部屋へ戻ってくると予想し、「Trust me on this.」と言い切ります。ここでもヘイリーが口を挟みます。
Haley: Oh, yes, because you’re always right.
(はいはい、ママはいつも正しいもんね。)Claire: Sweetheart, I would love to be wrong.
(あのね、私だって間違えてみたいのよ。)Claire: I just don’t live with the right people for that.
(ただ、そうさせてくれる人たちと暮らしてないだけ。)Phil: Let it go, kids.
(放っておきな、みんな。)Phil: She’s not gonna budge.
(ママは一歩も引かないから。)Modern Family Season3 Episode2 (When Good Kids Go Bad)
I would love to be wrong. は「間違えられるものなら間違えたい」という仮定の言い方で、皮肉をそのまま受け流しつつ、周りのほうが間違っていると返す切り返しです。続く the right people の right は「ふさわしい」の意味で、ヘイリーの always right の right(正しい)と同じ語が別の意味で返ってくる形です。
フィルの not gonna budge の budge は「少し動く」の意味で、否定形では「一歩も譲らない」という意味です。子どもたちに向けた Let it go. は「もう放っておけ」と、言い合いから手を引くよう促す言い方です。
同じ場面で、クレアは転んだ件を蒸し返します。
Claire: Phil, you did push me!
(フィル、あなた押したわよね!)Phil: Your word against mine.
(君の証言対俺の証言だね。)Modern Family Season3 Episode2 (When Good Kids Go Bad)
Your word against mine. は、証拠がなくお互いの言い分しかない状態を指す言い方です。この後、クレアが別の話題でもきっぱり言い切り、フィルが「君が正しいよ」と引くと、ヘイリーが「Again.」、ルークが「Surprise, surprise.」と重ねます。Surprise, surprise. は驚いてみせる形で「予想どおりだ」と言う決まった皮肉で、Again. と並ぶと家族の呼吸がそろっていることが伝わってきます。
「just to prove you were right」と指摘される場面
家族が集まった席で、クレアはスーパーの防犯カメラの映像を見せ、自分の言い分を確かめさせます。
Claire: It’s all his fault, just like I said! I was right!
(全部この人のせいよ、私が言ったとおり!私が正しかった!)Phil: When did you get this–
(いつの間にこれを……)Alex: Oh, my God.
(うそでしょ。)Alex: That’s why you wanted to come separately.
(だから別々に来たがったのね。)Haley: You went to all that trouble just to prove you were right?
(自分が正しいって証明するためだけに、そんな手間をかけたの?)Claire: It really wasn’t that much trouble.
(別にそんなに手間じゃなかったわよ。)Modern Family Season3 Episode2 (When Good Kids Go Bad)
go to all that trouble は「わざわざそんな手間をかける」、just to は「〜するためだけに」です。組み合わせると、目的に対して労力が大きすぎると指摘する形です。
アレックスの That’s why ~ は「だから〜だったのか」と、相手の行動の理由に後から気づいたときの言い方として使えます。クレアの It really wasn’t that much trouble. の not that much は「それほど〜ではない」で、相手の大げさな受け止め方を打ち消す返事です。
この後クレアは、店長に警備事務所の連絡先を聞いて書類の手続きを済ませ、映像を手に入れた経緯を並べ、最後に「Cake.」(楽勝)と締めくくります。皮肉な問いかけに、手間ではなかったと正面から返すのがクレアらしい場面です。なお、この回の終盤でクレアは、ルークの屋根裏の件について「I was wrong.」と口にします。
まとめ|皮肉な相づちと切り返し
As usual.、Like always.、Which is never. は、相手の言葉に付け足すだけで皮肉になる短い相づちです。言われた側の I would love to be wrong. や Your word against mine. とあわせると、家族の軽い言い合いが聞き取りやすくなります。
『モダンファミリー』の掛け合いを観ながら、短いひと言の働きを味わってみてはいかがでしょうか。
同じ回のほかのコラムやフレーズ記事では、マニーの一件や屋根裏をめぐる別の場面の英語も扱いました。


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