海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン10第8話では、ヘイリーが職場で思いがけず昇進を告げられ、そのことを母のクレアに報告します。同じ「昇進」でも、告げる側と報告する側で英語の形が変わるのが見どころです。
get a promotion と get promoted は、どちらも辞書では「昇進する」です。上司との会話と母への報告を順に追いながら、2つの形の違いと、話の切り出し方や引き抜きの言い回しなど、その周りの表現もあわせて見ていきます。
「Can I have a minute?」で話を切り出す
妊娠が分かったばかりのヘイリーは、職場で上司のニコールに声をかけます。
Haley: Uh, Nicole, can I have a minute?
(あの、ニコール、ちょっといいですか?)
Nicole: Of course.
(もちろん。)
Haley: Uh Look, a situation has come up and it’s pretty confusing.
(えっと、実はちょっと事情ができて、すごくややこしいんです。)
Haley: I’m still trying to process it, but I
(まだ気持ちの整理がついてないんですけど、でも……)
Modern Family Season10 Episode8 (Kids These Days)
Can I have a minute? は「少し時間をもらえますか」と話を切り出す定番の形で、Do you have a minute? と並んで職場でよく使われます。答えの Of course. は、快く応じるときの短い返事です。
続く a situation has come up は「ある事情が持ち上がった」という言い方で、中身をすぐには言わずに、相談ごとがあると伝える前置きになります。come up は「(問題や用事が)生じる」という句動詞で、Something came up.(急用ができた)の形でもおなじみです。process は「(情報や出来事を)受け止めて整理する」という意味で、I’m still trying to process it は「まだ頭の中で整理しきれていない」という状態を表します。
ヘイリーの言葉は途中で途切れ、言い終えないうちにニコールの側から話が進みます。言いにくい話ほど、本題の前に「事情がある」「まだ整理できていない」と段階を踏む切り出し方になることが分かります。
「you are getting a promotion」で昇進を告げる
ニコールは、ヘイリーが何を言おうとしたのかとは別の方向へ話を進めます。
Nicole: Someone told me that they’re trying to poach one of my employees, and I am not having it.
(誰かがうちの社員を引き抜こうとしてるって聞いたの。そんなの許さないわ。)
Nicole: So, what do you need?
(で、何が欲しいの?)
Haley: I, uh, well
(私、えっと、その……)
Nicole: Title bump, money bump you are getting a promotion.
(肩書きアップ、給料アップ。あなたは昇進よ。)
Nicole: You are gonna be the new Head of Activewear and Zeitgeist.
(あなたが新しいアクティブウェア&ツァイトガイスト部門の責任者になるの。)
Haley: Oh, my God, this is my dream job.
(うそでしょ、これって私の夢の仕事!)
Haley: I told my guidance counselor that I wanted to do this and she laughed in my face.
(進路指導の先生にこれがやりたいって言ったら、目の前で笑われたのに。)
Modern Family Season10 Episode8 (Kids These Days)
poach はもともと「密猟する」という動詞で、ビジネスでは「(他社の人材を)引き抜く」の意味で使われます。I am not having it は「そんなことは認めない」と強く拒む口語です。ニコールは引き抜きの話を耳にしたと言い、ヘイリーが言いよどむうちに、引き止めの条件として昇進を差し出します。
bump は「(地位や金額の)引き上げ」を表すくだけた名詞で、Title bump, money bump は「肩書きも給料も上げる」を短く並べた言い方です。そして you are getting a promotion では、promotion を名詞として get で受けています。「昇進というものがあなたのところに来る」という形なので、決める側が相手に告げるときに自然に収まります。役職名は the new Head of ~(新しい〜の責任者)で示されています。
告げられたヘイリーは this is my dream job と喜びます。dream job は「夢だった仕事、理想の職」を表す決まった組み合わせです。続く laughed in my face は「面と向かって笑われた」という言い方で、かつて相手にされなかった夢がかなったことを、昔の出来事と並べて伝えています。
「gotten myself promoted」で昇進を報告する
後の場面で、ヘイリーはクレアに昇進を報告します。
Claire: What brings you to the floor?
(どうして床にいるの?)
Haley: Well it seems I’ve gone and gotten myself promoted.
(まあ、なんか私、昇進しちゃったみたい。)
Claire: Haley, that’s fantastic!
(ヘイリー、すごいじゃない!)
Haley: Yeah.
(うん。)
Modern Family Season10 Episode8 (Kids These Days)
ここでは promote(昇進させる)を受け身にした get promoted の形が使われています。主語の身に起きた変化を表す言い方で、報告するときは I got promoted. が基本形です。
| 形 | 文の組み立て | 使われ方の例 |
|---|---|---|
| get a promotion | 名詞 promotion を受け取る | You’re getting a promotion.(告げる側) |
| get promoted | 動詞 promote の受け身 | I got promoted.(報告する側) |
どちらも意味は「昇進する」で、立場によって必ず使い分けるわけではありません。ただ、名詞の形は「昇進そのもの」に焦点が当たり、受け身の形は「自分がどうなったか」に焦点が当たる、と整理すると選びやすくなります。
ヘイリーの I’ve gone and gotten myself ~ には、go and do という口語の形が入っています。思いがけないことをしてしまったと言うときに使われることが多く、it seems と合わせて、自分から胸を張るのではない控えめな報告になっています。このあとヘイリーは、自分の駐車スペースと IRA(アメリカの個人向け退職積立口座の略)がもらえると話し、IRA をアシスタントの名前だと思っている口ぶりを見せます。
まとめ|昇進を告げる英語と報告する英語
告げる側の you are getting a promotion と Title bump, money bump、報告する側の I’ve gone and gotten myself promoted、そして poach や a situation has come up を見てきました。
同じ出来事でも、上司が告げる言葉と家族に報告する言葉では、英語の形が変わることが見えてきます。
同じ回のほかのコラムでは、指導のしかたを改めるよう言われたときの返し方や、思い込みをくつがえす昔話の切り出し方も取り上げています。


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