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『モダンファミリー』シーズン10第11話では、ジェイがグロリアに頼まれ、マニーとその交際相手シェリーの間に口を出す役目を引き受けます。ところが話をしに行った先で、誰の差し金なのかをすぐに見抜かれてしまいます。
人に頼まれて言いにくいことを伝える場面は、身近な人間関係でもよく起こります。頼まれごとを渋る言い方から、自分のせいだと引き受ける言い方、見抜かれたときの返し方まで、ジェイのやりとりを順に追っていきます。
頼まれごとを渋る「Why me?」と「Just let it go.」
話の始まりは、ジェイとグロリアの会話です。グロリアは、マニーがシェリーの言うことにばかり従っていると心配しています。
Gloria: Anyways, we have a problem.
(それはそうと、問題があるのよ。)
Gloria: Sherry is bossing Manny around.
(シェリーがマニーを好きなように仕切ってるのよ。)
Jay: Oof, that’s a lot to take in.
(うわ、そいつは一度に受け止めるには重い話だな。)
Jay: Can you cook these up with that special sauce you do?
(これ、例の特製ソースで料理してくれないか?)
Gloria: You have to go and tell him that he needs to stand up for himself.
(あなたが行って、自分の意見をちゃんと言いなさいってあの子に言ってちょうだい。)
Modern Family Season10 Episode11 (A Moving Day)
that’s a lot to take in は本来「一度に理解するには多すぎる」という意味です。ジェイはこれを口にしたあと、すぐ料理の話に移っています。深刻な相談を軽く受け流すときの言い方として働いていることが分かります。グロリアの You have to go and tell him that ~ は「あなたが行って〜と伝えて」と、伝える役目そのものを相手に託しています。
Jay: Why me? I-I don’t think we should get involved at all, but, I mean, if it’s a problem for you, then you do it, ‘cause I don’t care.
(なんで俺なんだ? 俺たちは首を突っ込むべきじゃないと思うがな。まあ、お前が気になるなら、お前がやればいい。俺はどうでもいいから。)
Gloria: I can’t.
(無理よ。)
Gloria: If I say something bad about Manny’s girlfriend, he’s not gonna listen, because I am the mother who thinks that nobody’s good enough for her little boy.
(私がマニーの彼女を悪く言っても、あの子は聞かないわ。だって私は、自分の息子にふさわしい人なんて誰もいないと思ってる母親だもの。)
Jay: Just let it go.
(ほっとけよ。)
Gloria: I can’t because she’s not good enough for my little boy.
(無理よ。だってあの子、うちの坊やにふさわしくないんだもの。)
Modern Family Season10 Episode11 (A Moving Day)
Why me? は「なぜ自分が」と役目を押し返す短い疑問文です。get involved は「関わる、首を突っ込む」で、否定文にすると他人の問題に立ち入らない姿勢を示せます。let it go は「気にするのをやめて手放す」という意味で、命令文にすると「ほっておけ」という助言になります。グロリアが自分では言えない理由を説明する部分も、頼みごとに筋を通す言い方として読めます。
遠回しに切り出す「Is it possible ~?」
やりとりの末、ジェイはマニーと話すことになります。話の流れを受けて、ジェイはこう切り出します。
Jay: Actually, that’s what I don’t want to talk to you about.
(実はな、その話はしたくないんだ。)
Jay: Is it possible Sherry pushes you around?
(ひょっとして、シェリーにいいように振り回されてないか?)
Manny: What are you saying?
(何が言いたいの?)
Jay: I don’t know.
(さあな。)
Modern Family Season10 Episode11 (A Moving Day)
Is it possible (that) ~? は「ひょっとして〜ということはないか」と、可能性の形にして相手に問いかける形です。断定を避けるため、言いにくい指摘をやわらかく切り出すときに向いています。ここでのジェイは、グロリアに頼まれたことを口にせず、自分の疑問という形で話を持ち出しています。
push ~ around は「〜をいいように扱う、こき使う」という句動詞です。グロリアが使った boss ~ around も「〜にあれこれ指図する」という近い意味で、どちらも誰かが相手を思いどおりに動かしている状態を表します。boss は指図や命令の側面、push は押しのけるように扱う側面が前に出ます。
マニーの What are you saying? は「何が言いたいの?」と、相手の真意を問い返す定番の形です。ジェイの I don’t know. はここでは本当に分からないという意味ではなく、追及をかわすはぐらかしとして働いています。この会話のあと、マニーは Thanks a lot という言葉でジェイを責めます。Thanks a lot は皮肉として使われることも多く、「よくもやってくれたな」という含みになります。
「put ~ up to」と見抜かれたら「It’s complicated.」
マニーの件を受けて、グロリアは今度はシェリーに話してほしいとジェイに求めます。ジェイは一度は断るものの、シェリーのもとへ向かいます。
Jay: I know you’re upset with Manny.
(マニーのことで怒ってるのは分かってる。)
Jay: That’s on me.
(それは俺のせいだ。)
Jay: I put some ideas in his head.
(俺があいつに余計なことを吹き込んだんだ。)
Jay: You know, I’m kind of a hero to him.
(ほら、俺はあいつにとってちょっとしたヒーローだからな。)
Jay: I didn’t mean to cause any trouble.
(面倒を起こすつもりはなかったんだ。)
Jay: You know, I’m crazy about the kid, and I just want to make sure he’s in a healthy relationship.
(あいつのことがかわいくてしょうがなくてな、うまくやってるか確かめたかっただけなんだ。)
Sherry: Gloria put you up to this, didn’t she?
(グロリアに言われて来たんでしょ?)
Jay: It’s complicated.
(話せば長いんだ。)
Modern Family Season10 Episode11 (A Moving Day)
That’s on me. は「それは自分の責任だ」と、問題を自分で引き受ける口語表現です。put ideas in someone’s head は「人に考えを吹き込む」で、相手が自分で思いついたわけではないと示します。シェリーの put ~ up to … は「〜をけしかけて…させる」という句動詞で、付加疑問の didn’t she? を添えると「そうでしょ?」と確認しながら見抜く形になります。ジェイの It’s complicated. は「事情が込み入っている」と、正面から認めずに答えを濁すときの言い方です。
Sherry: You do see the irony of this, right? She’s so worried about Manny getting bossed around, yet she has no problem bossing you around?
(これって皮肉だって分かってるわよね? マニーが言いなりにされるのをあんなに心配してるのに、あなたのことは平気で言いなりにしてるじゃない?)
Jay: No, no, that’s crazy.
(いやいや、そんなバカな。)
Sherry: Really? Is this how you wanted to spend your afternoon?
(そう? 今日の午後、こんなふうに過ごしたかったの?)
Jay: No, I hate this.
(いや、まっぴらだ。)
Jay: Man, I had a whole day planned.
(まったく、一日の予定がびっしりあったのにな。)
Modern Family Season10 Episode11 (A Moving Day)
You do see the irony of this, right? の do は動詞を強める働きで、「さすがに分かってるでしょ?」と念を押す響きになります。続く問いかけで、シェリーは頼まれ役のジェイの側に話の矛先を向けます。このあとシェリーは、ジェイにも自分の意見を言うよう勧めています。
まとめ|頼まれ役の英語は「渋る・引き受ける・濁す」
Why me? と get involved で頼まれごとを渋り、Is it possible ~? で遠回しに切り出し、That’s on me. で引き受け、put ~ up to と見抜かれたら It’s complicated. で濁す流れを見てきました。間に立つ役目の言い回しがそろっています。
頼まれた側と頼んだ側の思惑が交差する『モダンファミリー』の会話を、次回も追っていきましょう。
同じ回のほかのコラムでは、引っ越しを心配する親の英語や、アメリカの引っ越し祝いの習慣も取り上げています。


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