海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『BONES』シーズン4、オフィスビルで起きた事件を追う回では、現場に向かう道すがら、ブースが「The Man」という顔の見えない存在の話を持ち出し、文字どおりに受け取ろうとするブレナンとかみ合わないやり取りが描かれます。今回はこの場面を入り口に、英語圏でよく使われる「The Man」というスラングの背景を紹介します。
同じ職場を舞台にしたもう一つの一言もあわせて、劇中で使われるアメリカ英語らしい言い回しの世界をのぞいてみましょう。
かみ合わない「The Man」
現場のオフィスビルへ向かう途中、ブースは椅子の話のついでに、こんな軽口をこぼします。
Booth: No, no, that’s not how it works, Bones. When you work for The Man he buys all the office furniture.
(いや、そういうことじゃないんだ、ボーンズ。The Man(お上)のために働いてると、オフィスの家具は全部向こうが買ってくれるんだよ。)Brennan: Which man?
(どの男?)Booth: You’re kidding me, right? There’s no actual man.
(冗談だろ?実在する「男」なんていないんだよ。)Brennan: Then who buys the office furniture?
(じゃあ、オフィスの家具は誰が買ってるの?)Booth: Never mind, Bones. Just never mind.
(もういい、ボーンズ。気にしないでくれ。)BONES Season4 Episode06 (The Crank in the Shaft)
ブースの言うThe Manは、特定の誰かを指す言葉ではなく、組織や体制そのものを指す口語表現です。ブレナンは言葉どおりに「どの男?」と聞き返してしまい、二人の会話がすれ違うところがこの場面のおかしみになっています。
「The Man」という言い回しの背景
英語のThe Manは、会社や政府といった、顔の見えない権威や体制をまとめて指す口語的なスラングです。特にアメリカ英語では、上司や会社、行政機関など、自分より上の立場にある漠然とした権力構造を茶化して呼ぶときに使われます。日本語の「お上」や「会社」といった言い方に近いニュアンスを持つ表現と言えます。
この言い回しが広まった時期や経緯にはさまざまな説があり、特定の年代や出来事に断定して結びつけることは難しいとされています。劇中でブースが使ったように、今も日常会話の中でカジュアルに使われる表現の一つです。実際の労使関係やアメリカの働き方全般を論評するものではなく、あくまでこうした口語表現が存在するという紹介にとどめておきたいところです。
定時退社は「牛追い祭り」
同じオフィスの場面には、もう一つ印象的な比喩表現があります。定時になると一斉に退社しようとする社員たちの様子を、上司のギャリーはこう表現します。
Gary: Are you kidding? I mean , when that clock hits 6:00, it’s like the running of the bulls, especially on Friday.
(冗談だろ?あの時計が6時を指した瞬間、まるで牛追い祭りだよ。特に金曜はね。)BONES Season4 Episode06 (The Crank in the Shaft)
the running of the bullsは、スペイン北部パンプローナで毎年7月に行われる「サン・フェルミン祭」の名物行事で、街中を人と牛が一緒に走り抜けることで知られています。祭りそのものの正確な起源や成り立ちには諸説ありますが、この熱狂的な光景は英語圏でもよく知られており、「大勢が我先にと殺到する様子」を誇張してたとえる言い回しとして定着しています。ギャリーの一言は、定時退社に向かう社員たちの慌ただしさを、この有名な祭りの熱狂に重ねたものです。
まとめ|劇中に潜む英語圏らしい比喩表現
The Man(お上・組織)、the running of the bulls(牛追い祭り)という2つの言い回しを通して、アメリカ英語らしい比喩表現の背景を見てきました。どちらも、劇中のちょっとした軽口の中にさりげなく登場する表現です。
同じエピソードには、社内手続きや序列を蜂の巣にたとえた表現を扱ったコラムもあります。これからも『BONES』を通して、英語圏の言葉の面白さを味わっていきましょう。
場面の背景を知っておくと、同じエピソードの他の記事もより楽しく読めます。


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