海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ホワイトカラー』シーズン2 第3話から、聞き込みのために大学を訪れたピーターとニールの軽口を取り上げます。互いの学生時代をからかい合う短い往復には、条件を付けて答えをずらす返しや、貼られたレッテルを言い直して打ち返す返しが詰まっています。
からかう側とからかわれる側が途中で入れ替わる流れを、会話の順番に沿って一つずつ見ていきます。
「Not as a student.」と「And yet」、条件付きの答えと矛盾を突く返し
話を振ったのはピーターです。大学に来たことがあるかという何気ない問いから、ニールの経歴をめぐるからかいが始まります。
Peter: You ever been on a campus?
(大学のキャンパスに来たことはあるのか?)
Neal: Not as a student.
(学生としてはないね。)
Peter: And yet you have three MBAs and two doctorates.
(それなのに、MBAが3つに博士号が2つもあるわけだ。)
Neal: Clearly something wrong with the system.
(明らかに制度のほうがおかしいんだよ。)White Collar Season2 Episode3 (Copycat Caffrey)
最初の You ever been on a campus? は、Have you ever been ~? の Have が落ちた会話的な言い回しで、くだけた場面ではよく見られます。
ニールの Not as a student. は、Yes とも No とも言わずに「学生としては、ない」と条件を付けて答えています。as ~ は「〜という立場で」を表す前置詞で、裏を返せば「学生以外の立場でなら来たことがある」という含みが残ります。質問そのものは否定せず、答えの範囲だけをずらす返しと言えます。
ここにピーターが And yet を重ねます。and yet は「それなのに」「にもかかわらず」で、直前の内容と食い違う事実を突きつけるときの接続表現です。大学に通っていないのに学位だけは山ほどある、という矛盾を一言で指摘しています。
これに対するニールの Clearly something wrong with the system. は、There’s clearly something wrong with the system. の主語と動詞が省かれた形です。自分の側の問題を「制度がおかしい」と大きな話にすり替えて受け流しており、からかわれても動じない余裕が伝わってきます。
「are we」のからかいから、レッテルを打ち返す言い直しへ
ピーターは、学位が偽物だと指摘したうえで、さらにニールをからかいます。ニールはこれを、ピーターの学生時代への当てこすりで返します。
Peter: Too bad you faked it. They could have made copies of you and filled up a frat house.
(残念ながら偽造だけどな。君のコピーを作って、フラタニティの寮をいっぱいにできただろうに。)
Neal: Oh, are we bitter we weren’t invited to the party?
(おや、パーティーに呼ばれなかったのを根に持ってるのかな?)
Peter: Oh, it’s just with my father’s construction salary, I had to stick to the grindstone.
(いや、親父の建設業の稼ぎじゃ、こつこつ勉強するしかなかったんだ。)White Collar Season2 Episode3 (Copycat Caffrey)
ニールの are we bitter は、目の前の相手のことを we で尋ねるからかいの形です。「(あなたは)〜かな?」と相手を子ども扱いするような響きがあり、ピーターの皮肉を軽くいなしています。ピーターの stick to the grindstone は、砥石に向かい続けるという像から「地道に励む」を表す言い回しで、一般には keep one’s nose to the grindstone の形でも知られています。
奨学金で数学を4年、その後会計を2年学んだと話すピーターに、ニールは今度は別のレッテルを貼ります。
Neal: You’re lucky the FBI hires mathletes.
(FBIが数学オタクを雇ってくれて運がよかったね。)
Peter: I was not a mathlete. I was an athlete who was good at math.
(数学オタクじゃない。数学が得意なスポーツマンだったんだ。)White Collar Season2 Episode3 (Copycat Caffrey)
mathlete は math と athlete を組み合わせた語で、数学の競技に打ち込む生徒を少しからかい気味に呼ぶときに使われることがあります。ピーターはまず I was not a mathlete. と否定し、すぐに I was an athlete who was good at math. と言い直しました。語の成り立ちを分解し、主役を athlete の側に置き換えて自分の像を描き直しているのが面白いところです。
「〜じゃない、〜だ」と否定と言い直しを並べる形は、貼られたレッテルを穏やかに訂正したいときに応用できます。関係代名詞 who で「数学が得意な」と情報を後ろから足している点も、自分を説明し直すときに便利な組み立てです。
まとめ|条件付きの答えとレッテルの言い直し
答えをずらす Not as a student.、矛盾を突く And yet、相手を we で呼ぶからかい、否定して言い直す I was an athlete who was good at math. を見てきました。からかいを受け止めて打ち返す組み立てが分かります。
次回も『ホワイトカラー』の二人の軽口から、会話の返し方を見ていきましょう。
この回の英語表現は、ほかのコラムやフレーズ記事でも扱っています。


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