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今回は『ホワイトカラー』シーズン2 第8話の終盤から、事件が片づいたあとのニールとピーターの会話を取り上げます。潜入先での待遇が恋しいはずだと冷やかすニールに、ピーターは「少しだけ付き合ってやる」と前置きし、別の道を選んでいた場合の人生を仮定で語り始めます。
冷やかしへの付き合い方から、仮定の並べ方、今の自分を肯定する締めくくりまで、順に見ていきます。
「You can’t tell me ~」で迫られ、「humor you」で付き合う
事件の最中に倒れたピーターも、この場面では回復しています。ニールは数ブロック先の店のエスプレッソを話題にし、今のもので十分うまいと返すピーターに、こう迫ります。
Neal: Oh, come on, you can’t tell me you don’t miss it.
(またまた、恋しくないなんて言わせないよ。)White Collar Season2 Episode8 (Company Man)
ニールの you can’t tell me you don’t miss it は、「恋しくない(don’t miss)」を「とは言えないはずだ(can’t tell me)」で打ち消す二重否定で、「恋しいに決まっている」と本音を迫る言い回しです。ニールはこのあと、輸入物の豆や巨大なオフィスなど、潜入中の待遇を挙げていきます。
Peter: All right, I’m gonna humor you for a second. What if I went corporate right after college? Best-case scenario, I became a millionaire.
(分かった、少しだけ付き合ってやる。もし大学を出てすぐ会社勤めを選んでいたら? うまくいけば、億万長者になっていた。)
Neal: Sounds like a pretty good scenario.
(かなりいい筋書きに聞こえるけど。)White Collar Season2 Episode8 (Company Man)
humor は動詞で「相手の気が済むように調子を合わせる」という意味です。for a second を添えて「少しの間だけ」と断ることで、本気ではなく付き合いで話すという前置きになります。
What if ~? は「もし〜だったら?」と仮定を持ち出す定番の表現です。過去の選択についての仮定なので、文法書どおりなら had gone を使うところですが、会話では過去形のまま話すことも少なくありません。go corporate は「会社勤めの世界に入る」で、go のあとに形容詞を置いて「〜になる」を表しています。Best-case scenario は In the best-case scenario の in が落ちた形で、「最高にうまくいけば」という意味です。
「flip side」を示し、「the man I am」で締める
ニールの合いの手を受けて、ピーターはその筋書きに別の面があることを示し、仮定をさらに重ねます。
Peter: One with a flip side. What if I never joined the FBI?
(裏もある筋書きだ。もし俺がFBIに入っていなかったら?)
Neal: Would have made my life easier.
(僕の人生はもっと楽だっただろうね。)
Peter: Yeah, mine too.
(ああ、俺のもな。)White Collar Season2 Episode8 (Company Man)
flip side は「裏面、別の側面」で、良い筋書きにも逆の面があることを示しています。ニールの Would have made my life easier. は主語が省かれた形で、would have + 過去分詞が「(実際にはそうならなかったが)〜だっただろう」という過去の仮定の帰結を表します。ピーターがFBIにいなければ自分は楽だった、という軽口です。
ピーターはそこから What if を12年前までさかのぼらせ、ある事件の担当にならなかったら、ある副店長に出会っていなかったら、と仮定を重ねます。そのうえで、仮定を打ち切ってこう締めます。
Peter: No, there are more important things in life than a nice view. Like having people in your life you care about. I don’t want to imagine the man I would be without those people. I like the man I am.
(いや、人生にはいい眺めより大事なものがある。大切に思える人たちがそばにいることとかな。そういう人たちがいない自分なんて、想像したくない。今の自分が気に入ってるんだ。)White Collar Season2 Episode8 (Company Man)
冒頭の No で仮定の列挙を打ち切っています。more important things in life than ~ は「人生には〜より大事なものがある」と比べる言い方で、続く Like ~ は「たとえば〜」と中身を挙げる働きです。
締めの二文は、仮定の自分を表す the man I would be と、今の自分を表す the man I am を並べています。would を入れるかどうかで「ありえた自分」と「実際の自分」を言い分けているのが印象的です。
まとめ|仮定を重ねて、今の自分を語る
humor you で冷やかしに付き合い、What if と Best-case scenario で別の人生を描き、the man I am で締める流れを見てきました。仮定を並べるほど、今の選択への思いが浮かび上がることが分かります。
二人の軽口の奥にある本音にも耳を傾けながら、次回も『ホワイトカラー』を観ていきましょう。
このエピソードのほかの場面の英語は、コラムやエピソードまとめでも扱っています。


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