海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン1第11話では、ロスがチャンドラーの母ノーラとキスしてしまい、その場をジョーイに見られます。ロスはこのことをチャンドラーに知られまいとしますが、隠し事は何度もばれそうになります。
見とがめられた瞬間に話を作る、答えをはぐらかす、周りに取りつくろう。ロスとジョーイが次々に繰り出す言い逃れから、とっさのごまかしの英語を順に見ていきます。
「What are you guys doing out here?」と聞かれて、その場で話を作る
翌朝、ロスはジョーイを部屋の外の廊下に連れ出し、チャンドラーには黙っていようと口止めをします。そこへチャンドラーがドアを開けて顔を出します。
Chandler: What are you guys doing out here?
(お前ら、こんなとこで何してんだ?)
Ross: Uh, well, Joey and I had discussed getting in an early-morning “Racquetball” game.
(あー、その、ジョーイと朝イチでラケットボールをやろうって話してたんだよ。)
Ross: But, um, apparently, somebody overslept.
(でも、えーと、どうやら誰かさんが寝坊したみたいでさ。)
Joey: Yeah, well, you don’t have your racquet.
(ああ、でもお前だってラケット持ってないじゃん。)
Ross: No, no, I don’t because it’s being restrung. Somebody was supposed to bring me one.
(ああ、持ってないよ、ガットの張り替え中だからな。誰かさんが1本持ってきてくれるはずだったんだ。)
Joey: Yeah. Well, you didn’t call and leave your grip size.
(ああ。でもお前、電話でグリップのサイズを伝えてこなかったろ。)
Friends Season1 Episode11(The One with Mrs. Bing)
What are you guys doing out here? は、思わぬ場所にいる相手に「こんなところで何をしているの?」と聞くときの問いかけです。out here の here に「(部屋の中ではなく)外のここで」という意味が込められています。
ロスはここで、二人でラケットボールをする約束だったことにします。apparently は「どうやら〜らしい」と、見聞きしたことから推し量るときの副詞で、somebody はジョーイを名指しせずに遠回しに責める使い方です。be supposed to ~ は「〜するはずだった」で、相手が約束を果たさなかったことを伝える形になります。日常でも Somebody was supposed to call me.(誰かさんが電話をくれるはずだったんだけど)のように、名前を出さずに相手をつつくときに使えます。
二人は互いを責め合う形で作り話をつなぎ、チャンドラーは「一緒にいすぎだ」と言って部屋に戻ります。続いてレイチェルも同じ質問をします。
Rachel: What are you guys doing out here?
(二人とも、こんなところで何してるの?)
Ross: Well, n-not playing racquetball.
(まあ、ラ、ラケットボールはやってないな。)
Joey: He forgot to leave his grip size.
(こいつがグリップのサイズを伝え忘れたんだよ。)
Ross: He didn’t get the goggles.
(こいつがゴーグルを用意しなかったんだ。)
Friends Season1 Episode11(The One with Mrs. Bing)
レイチェルは sounds like you two have issues(二人とも何か問題を抱えてるみたいね)と返し、作り話には深入りしません。
「Knowledge is a tricky thing.」と、ごまかしの終わり
その後、ロスはチャンドラーの部屋で打ち明けます。最初はパオロがキスしたかのように話しかけますが、ジョーイの前で言い直します。
Ross: I can’t do this. I did it. It was me. I’m sorry.
(やっぱり無理だ。俺がやった。俺なんだ。ごめん。)
Ross: I kissed your mom.
(お前のお袋さんにキスしたのは俺なんだ。)
Chandler: What?
(何だって?)
Friends Season1 Episode11(The One with Mrs. Bing)
I can’t do this. は「(このままごまかすのは)もう無理だ」と、続けてきたことをやめるときに口にする一言です。It was me. は「やったのは自分だ」と認める短い一言で、I did it. と重ねることで言い逃れをしない姿勢がはっきりします。身近な場面なら Okay, it was me. I ate your cake.(分かった、私だよ。ケーキを食べたのは)のように、白状するときの形として使えます。
続いてチャンドラーは、ジョーイが知っていたことに気づきます。
Chandler: You knew about this?
(お前、知ってたのか?)
Joey: Uh, you know, knowledge is a tricky thing.
(あー、ほら、知ってるってのは微妙なもんでさ。)
Chandler: I spent the entire day with you. Why didn’t you tell me?
(一日中一緒にいたんだぞ。なんで言わなかったんだ?)
Joey: Hey, hey, hey, you’re lucky I caught them when I did, or else who knows what would have happened?
(おいおいおい、俺があのとき見つけたからよかったんだぞ。じゃなきゃ、どうなってたかわからないだろ?)
Ross: Thanks, man. Big help.
(どうも。大助かりだよ。)
Friends Season1 Episode11(The One with Mrs. Bing)
knowledge is a tricky thing は「知っているというのは微妙なものだ」と、知っていたかどうかを正面から答えずにはぐらかす言い方です。tricky は「扱いにくい」「一筋縄ではいかない」という意味の形容詞です。ジョーイはさらに you’re lucky I ~(俺が〜したおかげだぞ)と自分の手柄に話をすり替え、ロスの Big help. は「大助かりだよ」と、言葉とは逆の意味をこめた皮肉です。
「We’re rehearsing a Greek play.」と、周りに取りつくろう
カフェでも、チャンドラーはまだロスを許していません。言葉に詰まったチャンドラーが声を上げると、周りの客が二人のほうを振り向きます。
Chandler: Because it’s complicated. It’s complex. It’s.. Hey, you kissed my mom!
(だって、ややこしいんだよ。複雑なんだ。それに……おい、俺のお袋とキスしただろ!)
Ross: We’re rehearsing a Greek play.
(ギリシャ劇の稽古中なんです。)
Chandler: That’s very funny. We done now?
(そりゃ面白い。もう済んだか?)
Friends Season1 Episode11(The One with Mrs. Bing)
ロスの We’re rehearsing a Greek play. は、チャンドラーではなく周りの客に向けた一言です。今の大声は芝居の稽古だった、ということにしてその場を取りつくろっています。rehearse は「稽古する」「リハーサルをする」という動詞で、進行形にすると「今まさに稽古の最中だ」という言い訳になります。
チャンドラーの That’s very funny. は「すごく面白いね」と言いながら、面白がってはいない皮肉です。続く We done now? は Are we done now? の be 動詞を落とした口語で、「もう話は終わりか?」と会話を切り上げようとする言い方です。
ごまかす側が言葉を重ねるほど、聞く側の短い皮肉が効いてくる、という構図が、どの場面にも見られます。
まとめ|その場しのぎの英語は、短い一言で決まる
apparently, somebody overslept で相手のせいにし、knowledge is a tricky thing ではぐらかし、We’re rehearsing a Greek play. で周りに取りつくろう。ごまかしにも場面ごとの言い方があります。
『フレンズ』の仲間たちの掛け合いを観ながら、言い逃れとそれを受け流す一言を追ってみるのも楽しみ方のひとつです。
同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事でも、この回の英語を別の角度から取り上げています。


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