海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン1第23話では、仲間たちが病院の待合室に集まります。その待合室でチャンドラーがモニカに持ちかけた軽い提案は、思いもよらない方向へ転がっていきます。
自分の一言を相手が別の意味で受け取ったとき、英語ではどう言い直し、相手はどう食い下がるのか。持ちかけ方から話の切り上げ方まで、待合室での二人の短いやりとりを順に追っていきます。
「I’ll tell you what.」で条件つきの提案を持ちかける
双子の赤ちゃんを連れた人が前を通ったあと、モニカが声を上げ、チャンドラーが応じます。
Monica: No fair! I don’t even have one. How come they get two?
(ずるい! 私なんて一人もいないのに。どうしてあの人たちは二人なの?)
Chandler: You’ll get one.
(君にもできるさ。)
Monica: Oh, yeah? When?
(へえ、そう? いつ?)
Chandler: Alright, I’ll tell you what.
(よし、こうしよう。)
Chandler: When we’re 40, if neither of us are married what do you say you and I get together and have one?
(40歳になって、二人とも結婚してなかったら、俺と君で一緒になって子どもを持つってのはどうだ?)
Friends Season1 Episode23(The One with the Birth)
No fair! は「ずるい」「不公平だ」と、うらやましさや不満をひと言で出す表現です。続く How come ~? は「どうして〜なの?」と理由を尋ねる形で、why と違って後ろの語順が平叙文のまま(they get two)になる点が特徴です。ここでの one と two は、通りかかった双子の赤ちゃんを受けた言葉です。
チャンドラーの I’ll tell you what. は、「じゃあ、こうしよう」と提案を切り出す前置きとして使われることの多い言い方です。そのあとの What do you say ~? は「〜するのはどう?」と相手の意向を聞く形で、you and I を主語に置くことで「二人で」という提案になっています。
if neither of us are married は「二人とも結婚していなければ」という条件です。書き言葉では neither of us is とする形がよく示されますが、話し言葉では are も耳にすることがあると言われます。
友達と予定を決めるときなら、I’ll tell you what. If it rains, what do you say we just stay in?(じゃあこうしよう。雨だったら、家にいるのはどう?)のように組み立てられます。
「I just meant hypothetically.」と言い直しても食い下がられる
提案の中身よりも先に、モニカは条件の部分に引っかかります。
Monica: Why won’t I be married when I’m 40?
(どうして私が40歳で結婚してないことになるの?)
Chandler: Oh, oh, no. I just meant hypothetically.
(いや、いや、違うって。仮の話のつもりだっただけだよ。)
Monica: Okay, hypothetically why won’t I be married when I’m 40?
(じゃあ、仮の話として、どうして私は40歳で結婚してないの?)
Chandler: No. No, no.
(いや、違う、違う。)
Friends Season1 Episode23(The One with the Birth)
モニカの Why won’t I be ~? は、「どうして私が〜しないことになるの?」と、相手の言葉に含まれていた前提を問い返す形です。チャンドラーは「40歳で独身なら」と条件を置いただけですが、モニカはそれを「結婚できないと思われている」と受け取ったことが、この問いから読み取れます。
チャンドラーの I just meant ~. は、「〜のつもりで言っただけ」と自分の発言の意図を言い直す型です。meant は mean の過去形で、just を入れることで「それ以上の意味はない」という含みが加わります。hypothetically は「仮定として」「仮の話で」という副詞です。
面白いのは、モニカがその hypothetically をそのまま拾って、もう一度同じ問いを繰り返すところです。相手が使った言い訳の言葉を自分の文に入れ直すことで、「仮の話でもいいから答えて」と逃げ道をふさぐ形になっています。
自分の言い方がまずかったと感じたときは、Sorry, I just meant it as a joke.(ごめん、冗談のつもりだっただけなんだ)のように使えます。
「This parachute is a knapsack.」答えに詰まって話を切り上げる
モニカの問いは、さらに一歩踏み込んだものになります。
Monica: Is there something fundamentally unmarriable about me?
(私には、根本的に結婚に向かない何かがあるってこと?)
Friends Season1 Episode23(The One with the Birth)
チャンドラーが言葉に詰まると、モニカは短く返事を促し、チャンドラーは思わぬひと言を口にします。
Monica: Well?
(で?)
Chandler: Dear God! This parachute is a knapsack.
(なんてこった! このパラシュート、ただのリュックだ。)
Friends Season1 Episode23(The One with the Birth)
Is there something ~ about me? は、「私に何か〜なところがあるの?」と、自分のどこかに問題があるのかを相手に問う形です。unmarriable は、marry に「〜できる」の -able と否定の un- を付けた語で、ここでは「結婚相手として向かない」という意味で使われています。fundamentally は「根本的に」で、問いの重さを強めています。
モニカの Well? は、ひと言で返事を促す言い方として働いています。上がり調子の Well? は「それで?」「どうなの?」と、相手が話し出すのを待つときに使われることがあります。
チャンドラーの最後の一言は、飛び降りる手段だと思っていたパラシュートが、実はただのリュックだったというたとえです。助かる道がないことを冗談にして、それ以上の答えを出さずに話を打ち切る働きをしています。一般的な成句ではなく、この場面ならではの言い回しとして読むのが自然です。
返事を待つ側なら、So? Well? I’m waiting.(で? どうなの? 待ってるんだけど)のように重ねることもできます。
まとめ|言い直しと食い下がりの英語
I’ll tell you what と What do you say ~? で提案を持ちかけ、I just meant ~ で言い直し、相手は hypothetically を拾って食い下がる。短いやりとりの中に、提案から行き違いまでの英語がそろっています。
チャンドラーとモニカの言葉の応酬を思い出しながら、次回も『フレンズ』と一緒に英語を学んでいきましょう。
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