海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン2第2話で、ジョーイは百貨店で男性用香水の試供品を客にすすめる仕事をしています。そこに、名前を誰も知らない新人の販売員が現れ、ジョーイの売り場で客に声をかけ始めます。
職場で自分の持ち場を守りたいときの言い方と、自信をなくした友達を立て直す言葉は、どちらも遠回しな表現が多く使われます。ジョーイと新人、そしてチャンドラーのやり取りから順に見ていきます。
「It’s kind of understood that ~」と暗黙の決まりを伝える
売り場で顔を合わせるアナベルから新人のうわさを聞いたジョーイは、新人が自分の売り場にいることに気づきます。
Joey: What’s he doing in my section?
(あいつ、俺の売り場で何してんだ?)
Annabelle: I guess he doesn’t know.
(たぶん知らないのよ。)
Joey: Well, he’s going to. I’ll see you a little later, okay? Hey, how you doing?
(じゃあ、これから知ることになるな。また後でな。よう、調子どう?)
Hombre Man: Morning.
(おはよう。)
Joey: Listen, uh, I know you’re new but, uh, it’s kind of understood that everything from “Young Men’s” to the escalator is, uh, my territory.
(なあ、えっと、新人なのは分かってるけど、えっと、「ヤングメンズ」からエスカレーターまでは全部、えっと、俺の縄張りってことになってるんだよ。)
Hombre Man: Your territory, huh?
(お前の縄張り、ねえ?)
Friends Season2 Episode2(The One With the Breast Milk)
section は売り場の中の区画を指す語で、my section で「自分の担当の売り場」になります。アナベルの「知らないんじゃない」を受けた Well, he’s going to. は、後ろに know が省略された形で、「なら、これから知ることになる」と返しています。
it’s kind of understood that ~ は「〜ということになっている」と、明文化されていない決まりを伝える前置きです。kind of を入れることで、命令ではなく「みんなの了解」として伝える響きになります。territory はもともと「領土、縄張り」の意味で、ここでは担当範囲のことを指しています。
新人の Your territory, huh? は、相手の言葉をそのまま繰り返し、文末の huh で「へえ、そうかい」と受け流す返しです。このあと、ジョーイが声をかけた客は断り、新人が声をかけると試供品を受け取ります。新人はジョーイにこう言います。
Hombre Man: You were saying?
(で、何の話だったっけ?)
Friends Season2 Episode2(The One With the Breast Milk)
You were saying? は、話が途中で途切れたときに「何を言いかけていたの?」と続きをうながす言い方です。ここでは、たった今の結果を見せたうえで、ジョーイの主張を軽くあしらう皮肉として使われています。
「Maybe I should just get out of the game」と弱音を吐く
その後、ジョーイは新人と同じ香水の担当に回され、アパートでチャンドラーに新人の売れ行きを話します。チャンドラーが返し、ジョーイが本音をこぼします。
Chandler: You’re an actor. This is your day job. This isn’t supposed to mean anything to you.
(お前は役者だろ。これは生活のための仕事だ。お前にとって大した意味はないはずだろ。)
Joey: I know, but I was the best, you know? I liked being the best.
(分かってるよ。でも俺が一番だったんだって。一番でいるのが好きだったんだよ。)
Joey: I don’t know. Maybe I should just get out of the game. They need guys up in housewares to serve cheese.
(どうかな。もう勝負から降りた方がいいのかもな。家庭用品売り場で、チーズを配る人手が要るんだ。)
Friends Season2 Episode2(The One With the Breast Milk)
day job は、本命の仕事とは別に、生活のために就いている仕事を指します。役者であるジョーイにとって、香水の販売は day job にあたります。be supposed to ~ は「〜のはず」という意味で、否定の形にすると「本来なら気にする必要のないものだ」と伝えられます。
ジョーイの I liked being the best. は、仕事の中身よりも「一番であること」が気に入っていた、という本音です。続く get out of the game は「勝負から身を引く」という意味で、仕事や競争から降りることを言うときに使われます。Maybe I should just ~ の just が入ることで、「いっそ〜した方がいいのかも」と投げやりな響きが出ています。後半のチーズの話は、ほかの売り場に移るという案です。
「Show this guy what you’re made of」と背中を押す
チャンドラーは、ジョーイの言葉をそのまま受けて返します。
Chandler: All right, say you do that. Sooner or later, somebody’s going to come along that slices a better cheddar. And then where are you going to run?
(よし、そうしたとしよう。遅かれ早かれ、もっとうまくチェダーを切るやつが現れる。そしたら次はどこへ逃げるんだ?)
Friends Season2 Episode2(The One With the Breast Milk)
say you do that は「仮にそうしたとして」と、相手の案をいったん受け入れて話を進める切り出しです。Sooner or later, somebody’s going to come along that ~ は「遅かれ早かれ〜するやつが現れる」という言い方で、that 以下が somebody を説明しています。where are you going to run? は答えを求める質問ではなく、「逃げてもきりがない」と伝える問いかけです。ジョーイの案に乗ったまま、移った先でもまた上手な人が現れると返しています。
そのうえで、チャンドラーはこう励まします。
Chandler: I say you show this guy what you’re made of.
(あいつにお前の実力を見せてやれって。)
Friends Season2 Episode2(The One With the Breast Milk)
show someone what you’re made of は「自分の実力や根性を相手に見せる」という意味です。what you’re made of は直訳すると「何でできているか」で、その人の中身を指します。文頭の I say ~ は「俺に言わせれば〜すべきだ」と、自分の意見を強く勧めるときに文頭に置かれます。このあと、ジョーイと新人は開店前の売り場で向き合い、勝負は新人の思わぬ失敗で決着します。
まとめ|持ち場を伝え、弱音に答える
it’s kind of understood that ~ と my territory の伝え方、You were saying? の返し、get out of the game の弱音、show this guy what you’re made of の励まし方を見てきました。言い分と返しを組で覚えると、使う場面が見えてきます。
ジョーイとチャンドラーのやり取りを思い出しながら、『フレンズ』の英語をこれからも楽しんでいきましょう。
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