海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン2第3話では、フィービーが進化論に納得できないと言い出し、ロスとの言い合いがエピソードを通して繰り返されます。二人の会話には、「納得できない」と「信じない」を言い分ける表現が並んでいます。
相手の説明にうなずけないとき、英語では buy と believe in のどちらを使うかで伝わり方が変わります。食い違う意見をどう言い、どう収めるかを、3つの場面から見ていきます。
「I just don’t buy it」は相手の説明を受け入れない言い方
モニカとレイチェルの部屋で仲間が食事をしている場面で、フィービーは自分が信じていないものの例として進化論を挙げます。ロスが聞き返すと、フィービーは「よくできた話だけど、簡単すぎる気がする」と答えます。ロスはさらに言葉を重ねます。
Ross: Too easy? Too..?
(簡単すぎる?簡単……?)
Ross: The process of every living thing on this planet
(この星に生きるすべてのものが)
Ross: Evolving over millions of years from single-celled organisms is, is too easy?
(単細胞生物から何百万年もかけて進化してきた過程が、か、簡単すぎるって?)
Phoebe: Yeah. I just don’t buy it.
(うん。どうも納得できないのよね。)
Ross: Uh, excuse me. Evolution is not for you to buy, Phoebe.
(あの、ちょっといいかな。進化は君が納得するかどうかの話じゃないんだよ、フィービー。)
Ross: Evolution is scientific fact like, like, like the air we breathe, like gravity.
(進化は科学的な事実なんだ。ほら、俺たちが吸ってる空気とか、重力みたいに。)
Friends Season2 Episode3(The One Where Heckles Dies)
ここでの buy は「買う」ではなく、「(話や説明を)本当だと受け入れる」という意味です。I don’t buy it. は「その話には乗れない」「納得できない」と、相手の説明そのものを受け入れないときに使う、くだけた言い方です。just が加わると、理屈より「どうしても」という気持ちが前に出ます。
ロスはこの buy を拾って、not for you to buy と返しています。「受け入れるかどうかを君が選ぶものではない」という意味で、相手の言葉をそのまま使って言い返す組み立てです。
buy のこの使い方は、言い訳や説明にも向けられます。たとえば I don’t buy that excuse. と言えば「その言い訳は信じられない」という意味で、Do you buy it? と聞けば「その話、信じる?」と相手の受け止め方を確かめる一言として使えます。
「believe in」と「Don’t get me started on ~」
ロスが重力を例に出すと、フィービーは話を重力にまで広げます。
Phoebe: Oh. Okay, don’t get me started on gravity.
(あら。じゃあ、重力の話はさせないでね。)
Ross: You, uh..? You don’t believe in gravity?
(君、その……重力を信じてないの?)
Friends Season2 Episode3(The One Where Heckles Dies)
Don’t get me started on ~. は「〜の話を始めさせないで」が直訳で、「その話になったら止まらなくなる」と、言いたいことが山ほどあると示す前置きです。フィービーは続けて、最近は下に引っ張られているというより押されている気がする、と言います。
ロスの believe in ~ は、ものごとの存在や正しさを信じるときの形です。buy との違いを表に整理しておきます。
| 表現 | 作中の使われ方 | ニュアンス |
|---|---|---|
| I don’t buy it. | フィービーがロスの説明に対して | 相手の話・説明を受け入れない |
| believe in ~ | ロスが「重力を信じてないの?」と聞く | ものごとの存在や正しさを信じる |
なお、in を付けずに believe +人 とすると「その人の言うことを本当だと思う」という意味です。I believe you. は「あなたの言うことを信じる」、I believe in you. は「あなたならできると信じている」と、in の有無で中身が変わる点も押さえておきたいところです。
階下の住人の部屋で、ロスが世界中で集められた化石の話をすると、フィービーは一度こう応じます。
Phoebe: You can actually see it?
(本当に見えるの?)
Ross: You bet. In… uh, in the U.S., China, Africa, all over.
(もちろん。ええと、アメリカ、中国、アフリカ、世界中でね。)
Phoebe: See, I didn’t know that.
(ほら、それは知らなかった。)
Ross: Well, there you go.
(ほら、そういうことだよ。)
Friends Season2 Episode3(The One Where Heckles Dies)
I didn’t know that. は新しい情報を受け取ったときの素直な返事で、There you go. は「ほらね」「そういうこと」と、話が通じたときに締める一言です。もっとも、フィービーはすぐに別の疑問を持ち出し、言い合いは続きます。
「Can’t we just say ~?」と「cave」で対立を収める
意見がかみ合わないまま、フィービーはこう持ちかけます。
Phoebe: Look, can’t we just say that you believe in something and I don’t?
(ねえ、あなたは信じてて、私は信じてない、ってことでいいじゃない?)
Ross: No, Pheebs, we can’t.
(だめだよ、フィーブス、それはできない。)
Friends Season2 Episode3(The One Where Heckles Dies)
Can’t we just say that ~? は「〜ということにしておけない?」と、話を一区切りにしようと持ちかける言い方です。意見の違いをそのまま認め合おうとする提案で、日常会話でも言い合いを切り上げたいときに使えます。ロスはこれを断り、話は平行線のままです。
その後、ロスは化石を入れたかばんを持ってモニカとレイチェルの部屋に来ます。フィービーは「自分が間違っている可能性がほんの少しでもあると認められないの?」と迫り、ロスは「ほんの少しの可能性はあるかもしれない」と認めます。するとフィービーはこう返します。
Phoebe: I can’t believe you caved.
(あなたが折れるなんて信じられない。)
Ross: What?
(え?)
Phoebe: You just abandoned your whole belief system.
(自分の信念をまるごと捨てちゃったのよ。)
Phoebe: Before I didn’t agree with you, but at least I respected you.
(前は賛成じゃなかったけど、少なくとも尊敬はしてたのに。)
Friends Season2 Episode3(The One Where Heckles Dies)
cave は名詞では「洞穴」ですが、動詞では「(圧力に負けて)折れる、屈する」という意味で、cave in の形で使われることもあり、give in(降参する)に近い表現です。
この場面では、認めるよう迫っていた本人が、認めた途端にそれを「折れた」と切り返します。ロスが部屋を出たあと、フィービーは「楽しかった」と口にします。
まとめ|「納得できない」と「信じない」を言い分ける
説明を受け入れない I don’t buy it、存在や正しさを信じる believe in、話が止まらない前置きの Don’t get me started on ~、話を収める Can’t we just say ~?、折れる意味の cave を見てきました。食い違う意見も、言い方を選べば角を立てずに伝えられます。
二人のやりとりを思い出しつつ、次回も『フレンズ』で英語を学んでいきましょう。
この回のほかの場面の英語は、同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事でも取り上げています。


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