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『メンタリスト』シーズン3第18話には、問いかけに「まだ分からない」と答える台詞が二か所に出てきます。一方は理由を問われて、もう一方は責任の所在を問われて、それぞれ違う言い方で返しています。
「分からない」と「精いっぱいやっている」は、似ているようで伝える中身が違います。二つの言い方と、相手にどう受け止められるかを、台詞に沿って順に見ていきます。
「We don’t know yet. It’s early.」まだ分からないと伝える
遺体が持ち去られた件の聞き取りの終わりに、なぜそんなことをするのかと理由を問う Why would anyone do this? という声があり、これに次の答えが返ります。
— We don’t know yet. It’s early.
(まだ分からない。まだ早い。)
The Mentalist Season3 Episode18 (The Red Mile)
We don’t know yet. は「まだ分かっていない」という意味です。yet が添えられると、「今の時点では」という含みが出て、いずれ分かる余地が残されます。We don’t know. だけなら「分からない」と言い切る形になるため、yet 一語で響きが変わります。
続く It’s early. は「まだ早い」で、分からない理由を時期に求めています。分からないことを隠すのではなく、調べが始まったばかりだという状況を、そのまま伝える二文です。
Why would anyone do this? のような Why would ~? の質問は、理由が思い当たらないときに使われます。それに対して、yet と early を重ねる答え方は、情報が足りない状態を時間の側から説明する形です。
「Who’s responsible?」責任を問う言い方と、返し方
もう一か所は、捜査官に向かって責任の所在を問う場面です。
— Who’s responsible, agent? My son-in-law didn’t just disappear.
(誰に責任があるんです、捜査官さん。私の義理の息子は、ただ消えたわけじゃない。)
— Someone is accountable.
(誰かが責任を負うはずです。)
The Mentalist Season3 Episode18 (The Red Mile)
responsible は「責任がある」、accountable は「責任を問われる立場にある」という意味です。同じ趣旨を別の語で言い直していて、二つ並べると、責任の所在を追及する強さが増して見えます。agent は捜査官への呼びかけで、didn’t just disappear は「ただ消えたわけではない」です。
このあと、短い問いの Who? を挟んで、次のように返されます。
— Ma’am, we don’t know yet. We’re doing the best we can.
(奥様、まだ分かっておりません。できる限りのことをしています。)
— Not good enough.
(それでは不十分です。)
The Mentalist Season3 Episode18 (The Red Mile)
Ma’am は、女性に向けた丁寧な呼びかけです。we don’t know yet は、先ほどの場面と同じ言い方で、分かっていない事実を伝えています。そこに We’re doing the best we can. が加わります。the best we can は「できる限り」で、can のあとには do が省かれています。do the best ~ は「最善を尽くす」にあたります。
つまり、前半は情報の状態を、後半は努力の姿勢を伝える文です。二つを続けて言うと、「分からないが、手は尽くしている」という一続きの返答になります。
Not good enough. は、good enough(十分によい)に not を付けた切り返しで、「それでは足りない」と短く退けています。
「doing their very best」という言い方への疑い
努力の姿勢を伝える言い方は、受け取る側によっては別の響きを帯びます。少しあとの台詞は、その点に触れています。
— My dear, when they tell you they’re doing their very best, that’s exactly what they aren’t doing.
(ねえ、『最善を尽くしている』と言われるとき、まさにそれをしていないということですよ。)
The Mentalist Season3 Episode18 (The Red Mile)
when they tell you ~ は、「〜と言われるとき」という一般論の形です。very は best を強める語で、their very best は「その人たちなりの最大限」というニュアンスです。doing their very best は「精いっぱいやっている」という言い方を指しています。
that’s exactly what they aren’t doing は、直訳すると「それこそ、していないことだ」です。exactly で言い切りを強め、「精いっぱい」と述べる言葉そのものに疑いを向けています。作中のこのやりとりでは、We’re doing the best we can. が、相手に「言い訳」と受け取られうる言葉として扱われています。
整理すると、We don’t know yet. は、今分かっていることの範囲を示します。We’re doing the best we can. は、取り組んでいる姿勢を示す言い方です。後者は、結果がまだ見えない状況では、足りないと退けられる余地があります。分からないことを正直に示す部分と、努力を示す部分を分けて組み立てると、それぞれが何を伝えているのかが見えやすくなります。
まとめ|分からないことと、努力の姿勢を分けて伝える
We don’t know yet. と It’s early. で情報の状態を、We’re doing the best we can. で努力の姿勢を伝える二つの言い方と、それに向けられた Not good enough. を見てきました。
次回も『メンタリスト』と一緒に、ほかの場面の英語を見ていきましょう。
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