海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は大人気法医学サスペンス『BONES』シーズン10第13話から、困難な状況を乗り越える時によく使われる「get through」をピックアップします。
自分を奮い立たせる時にも、大切な誰かを支える時にも使えるフレーズを、一緒にマスターしていきましょう。
実際にそのシーンを見てみよう!
刑務所から釈放されたブース。ある朝、財布を新しいものに替えた際に、大切な写真がなくなってしまったことに気づきます。
その写真とは、収監中にブレナンからもらった、ブレナンと娘のクリスティーンが写った一枚。
車の中で焦って探し回るブースに、ブレナンが手を差し伸べます。
Booth: Well, look, I was switching out my wallets last night, okay? I took everything out. I had the picture right here. Now it’s gone.
(昨夜、財布を替えたんだ。中身を全部取り出して、写真はここに置いたのに。それなのに、消えてしまった。)Brennan: Well, we can just print out another one.
(また現像すればいいじゃない。)Booth: That’s not the point. Sorry. I just… [sighs] The picture just meant a lot to me. It got me through a lot of tough times when I was in prison.
(そういう話じゃない。ごめん、ただ俺は…[ため息] あの写真は本当に大切なものだった。刑務所でのたくさんの辛い時期を、あの写真のおかげで乗り切れたんだ。)Brennan: Let me help.
(手伝うわ。)BONES Season10 Episode13(The Baker in the Bits)
シーン解説と心理考察
ブースが無実の罪で収監されていた日々を知っていると、このセリフの重みがより一層伝わってきます。
彼が必死に探しているのは、単なる写真ではありません。
絶望的な状況の中で、ブレナンとクリスティーンの存在だけが彼の心を繋ぎ止めていた、かけがえのない証でした。
一方で、合理的なブレナンは「もう一枚プリントアウトすればいい」と物質的な解決策を提案します。
この価値観のすれ違いがいかにも『BONES』らしく、二人の関係性の深さを際立たせる場面でもあります。
ブースが「It got me through(乗り越えさせてくれた)」という表現を選んでいるのは、あの写真と過ごした時間そのものへの強い思い入れがあるから。
最終的に考古学者としての訓練を持つブレナンが写真を見つけ出し、ブースが「さすがだ、何度も見たのに」と安堵する場面が、二人の絆をそっと示しています。
「get through」の意味とニュアンス
get through
意味:(困難や試練を)乗り切る、切り抜ける、やり遂げる
「get through」は直訳すると「〜を通り抜ける」です。
そこから比喩的に広がり、困難な状況・辛い時期・大変な仕事・精神的な苦痛などを「なんとか乗り越える」という意味で、ネイティブの日常会話で非常によく使われる句動詞です。
特に注目したいのが今回のブースのセリフのような、使役的な使い方です。
主語に「物や人」、目的語に「人(meなど)」を置くことで、「(物・人・出来事が)私を支えて困難を切り抜けさせる」という意味になります。
自分の力だけでなく、誰かや何かの支えによって救われたという感謝のニュアンスを自然に表現できるのが、このフレーズの最大の特徴です。
【ここがポイント!】
「get through」が励ましの言葉として使われる場面も押さえておきましょう。
困難な状況にいる人に向かって「You can get through this.(あなたなら乗り越えられるよ)」と声をかける使い方は、ネイティブの日常会話で非常に頻繁に登場します。
「this」は今まさに直面している試練を指し、「あなたならこのトンネルを抜けられる」という力強い寄り添いの言葉として機能します。
シンプルな一言ですが、相手への深い信頼と共感が込められており、英語でのコミュニケーションをぐっと豊かにしてくれます。
実際に使ってみよう!
It’s been a tough week for you, hasn’t it? Let me know if there’s anything I can do to help you get through it.
(今週は大変な一週間でしたね。乗り切るために何か手伝えることがあれば言ってください。)
困難を抱える同僚や友人へ優しくサポートを申し出る大人の表現です。「終わらせる(finish)」ではなく、「一緒に通り抜ける(get through)」という寄り添いのニュアンスが出せます。
Thank you all for your hard work. I couldn’t have got through this complex project without your support.
(みなさん、お疲れ様でした。皆さんのサポートなしには、この複雑なプロジェクトをやり遂げることはできませんでした。)
困難なプロジェクトを終えた際にチームへ感謝を伝える定番フレーズです。苦労を分かち合ったという深い安堵感と感謝が自然に伝わります。
I know the transition to the new system is frustrating, but we will get through this together.
(新システムへの移行でフラストレーションが溜まるのは分かりますが、みんなで一緒に乗り切りましょう。)
逆境に立たされたチームを鼓舞する時の言葉です。「together(一緒に)」を加えることで、連帯感がさらに強まります。
『BONES』流・覚え方のコツ
このフレーズは構造がそのままイメージになります。
「get(進む)+through(トンネルを通り抜ける)」——長く暗い困難の時間を、歩みを止めずに進み続けて、やっと出口の光が見えた瞬間。
ブースが独房の中で写真を取り出し、そこに写るブレナンとクリスティーンを見つめながら「もう少し耐えよう」と心を保つ姿を思い浮かべてください。
その写真が「get(進む)」力を与え、「through(辛い時期というトンネル)」を抜けさせてくれた——このシーンとセットにすると、フレーズの持つ安堵感と感謝のニュアンスが体感として記憶に残ります。
似た表現・関連表現
overcome
(克服する、打ち勝つ)
get throughよりもフォーマルな表現で、立ちはだかる障害を「乗り越えて勝つ」という力強いニュアンスがあります。ビジネス文書や公式な場でよく使われます。
survive
(生き残る、なんとか切り抜ける)
命の危機に限らず、とんでもなく忙しい一日や過酷な状況を「なんとか生き延びた!」と少し大げさにユーモアを交えて表現する時にも使えます。
pull through
(病気や危機を切り抜ける、回復する)
get throughと似ていますが、特に命に関わるような重病や深刻な危機的状況から「引っ張り上げられて助かる」というニュアンスが強い表現です。
深掘り知識:人間関係で使う「get through to〜」の奥深さ
「get through」には、後ろに「to(人)」をつなげることで、もう一つ重要な意味が生まれます。
それは「(人)の心に届く、(人)に理解させる」というニュアンスです。
例えば、何度アドバイスしても聞く耳を持たない相手に対して「I don’t know how to get through to him.(どうすれば彼に分かってもらえるのか分からない)」のように使います。
ブレナンとブースの関係でも、論理派のブレナンが感情的なブースに「写真一枚をそこまで大切にする気持ち」を受け取ろうとする場面は、まさにお互いの心に「get through to」しようとする瞬間とも言えます。
物理的な困難を乗り越えることも、相手の心の壁を乗り越えることも、ネイティブの感覚では地続きのイメージでつながっています。
「通り抜ける」という核心的なイメージを意識すると、このフレーズの様々な使い方が自然と頭に入ってきますよ。
まとめ|誰かの支えで乗り越えた経験を「got me through」で語ろう
今回は『BONES』シーズン10第13話から、困難を乗り切る「get through」をご紹介しました。
このフレーズで特に味わい深いのは、「It got me through」という使い方です。
自分の意志や努力だけでなく、写真であれ人であれ、何かが自分を支えてくれたという感謝と安堵が自然に込められます。
英語で誰かへの感謝を伝える時、「あなたが私を支えてくれた(You got me through)」と言えると、言葉の重みが格段に増します。
辛い経験を振り返る時にも、誰かを励ます時にも、このフレーズを思い出してみてください。


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