海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
しばらく席を外していた会議に戻ったとき、隣の同僚に「ここまでの話、教えて」と小声で頼むような場面があります。
そんなときにぴったりの「catch someone up」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン2第3話の前半、ペニーをオンラインゲームに引き込んでしまった状況を、帰宅したレナードがまったく飲み込めずにいるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「catch someone up」の意味とニュアンス
catch someone up
意味:(その場にいなかった人)に最新の状況や経緯を伝える
catch up はもともと「追いつく」という意味です。離れていた相手やわからないことに「追いつく」イメージから、catch someone up の形になると「人を(今の状況に)追いつかせる」、つまり「経緯や最新情報を教えて、相手を現在地まで引き上げる」という他動詞の使い方になります。
目的語を間に挟んで catch me up、catch you up のように使うのが基本で、「何について」を示したいときは on を添えて catch me up on the meeting のようにつなげます。自分が情報を渡す側なら Let me catch you up、もらう側なら Can you catch me up と、立場で言い回しが変わるのも特徴です。ビジネスでもプライベートでも使える、汎用性の高い表現と言えます。
【ここがポイント!】
- 核は「相手を今の状況に追いつかせる」、つまり経緯をまるごと渡すイメージ
- catch me up(教えてもらう)/ Let me catch you up(教えてあげる)と立場で向きが変わる一言
- 「何について」を足したいときは on を添えるのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S02E03のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。ペニーはシェルドンに教わったオンラインゲームに夢中になり、操作を質問し続けています。そこへ何も知らないレナードが帰宅し、目の前の異様な光景の経緯をシェルドンに尋ねます。
Leonard: Want to catch me up?
(どういうことか教えてくれる?)Sheldon: Well let’s see, she attempted to open her apartment with her car key, she hasn’t had sex in six months, and she ate a fly.
(ええと、彼女は車のキーで自分の部屋を開けようとして、半年間ご無沙汰で、ハエを食べた。)The Big Bang Theory Season2 Episode3(The Barbarian Sublimation)
シーン解説と心理考察
帰宅したレナードが状況を把握できないまま放った Want to catch me up? の一言には、目の前の混乱を手早く整理したいという気持ちがにじむ場面です。それに対してシェルドンが、脈絡のない事実を淡々と三つ並べて返すギャップが、このやり取りの面白いところです。
catch me up は本来「要点を順序立てて教えて」という依頼ですが、シェルドンの答えはおよそ要点になっておらず、彼が物事の重要度を測れないキャラクターであることが一言で表れています。後半のシーンでもレナードは同じ you want to catch me up again? を口にしており、状況が一向に改善しないことが繰り返しのギャグとして響きます。短いフレーズひとつが、キャラクターの関係性と話のテンポを支えていると読み取れます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
マラソンで先頭集団から遅れたランナーを思い浮かべてみてください。catch up は自分の足で追いつくこと。一方 catch someone up は、コーチが横に並んで「ここまでの展開はこうだよ」と教えながら、その人を集団に追いつかせるイメージです。
レナードは、自分の留守中に進んでしまったゲーム狂騒劇という「レース」に出遅れた立場です。その遅れを取り戻すために、シェルドンに「自分を追いつかせてくれ」と頼んでいる。誰かを今の地点まで引き上げる動きとして捉えると、目的語を間に挟む形が自然に頭へ入ってきます。
例文で覚える「catch someone up」
ビジネスからプライベートまで、状況を共有したい場面で活躍します。立場による向きの違いを意識しながら、三つの例文で感覚をつかんでいきましょう。
Can you catch me up on what I missed in the meeting?
(会議で聞き逃したところ、教えてもらえる?)
遅れて参加した会議で、同僚に経緯を尋ねる場面です。on を添えて「何について」を具体的に示すと、ぐっと自然になります。
Let me catch you up — a lot happened while you were away.
(状況を教えるね。あなたがいない間にいろいろあったんだ。)
出張から戻った同僚に、自分から話を切り出す場面です。Let me catch you up は会話のきっかけとして使いやすい表現です。
A: Sorry I’m late! What did I miss?
B: No worries, I’ll catch you up real quick.
(A:遅れてごめん!何か見逃した?)
(B:大丈夫、すぐに状況を教えるよ。)
友人同士のカジュアルなやり取りです。catch you up が「会話の中で相手を引き上げる」動きとして自然に機能しています。
あわせて覚えたい関連表現
fill someone in
(人に詳しい情報を教える)
catch up が「経緯や流れ」に追いつかせる感覚なのに対し、fill in は「知らない情報という空白を埋める」感覚です。ほぼ同じ場面で使えますが、fill in はやや具体的な情報共有に寄ります。
bring someone up to speed
(人に最新状況を把握させる)
「必要な水準まで知識を引き上げる」というニュアンスで、ビジネス色がやや強めです。catch up より少しかための言い回しになります。
get someone up to date
(人を最新の状態にする)
情報を「最新化する」点に焦点があります。catch up が会話的なのに対し、こちらは状態の更新を強調する表現です。
Note|catch up が「追いつく」から「状況を伝える」へ広がるまで
catch up と聞くと、まず「追いつく」という動きが浮かびます。ところが今回の catch someone up は「人に状況を教える」という別の顔を持っています。この二つはどうつながっているのでしょうか。
catch up の中心にあるのは、先を行くものに「追いつく」という空間的なイメージです。これが時間や情報の世界に持ち込まれると、「遅れている知識・状況に追いつく」という意味に広がります。たとえば I need to catch up on my emails(溜まったメールに追いつかなければ)のように、自分が遅れを取り戻す自動詞の使い方が生まれました。さらにそこから一歩進み、「相手を追いつかせる」という他動詞用法が定着します。これが catch someone up です。主語が、遅れている誰かの手を引いて現在地まで連れてくる、という構図です。久しぶりに会った友人と Let’s catch up. と言えば「お互いの近況に追いつき合おう」、つまり「近況報告し合おう」という社交の誘い文句にもなります。同じ語が、自分が追いつく・相手を追いつかせる・互いに追いつき合う、と立場を変えて広がっているわけです。
レナードの catch me up も、この「自分を遅れた状態から引き上げてくれ」という一点で筋が通っています。動きのイメージを押さえておくと、どの立場で使う形なのかを取り違えずに済みます。
追いつくという一語の中に、これだけの広がりが畳み込まれています。
まとめ|レナードの戸惑いから学ぶ「状況を渡す」一言
catch someone up は、その場にいなかった人を「今の地点まで引き上げる」表現です。単に情報を伝えるというより、相手を現在地に追いつかせるという動きとして捉えると、使い方が定まります。
この一言が使えると、遅れて加わった会話や会議で「ここまでの流れを教えて」とスマートに頼めますし、逆に誰かを迎える側として「状況を共有するね」と切り出すこともできます。立場によって catch me up と catch you up を切り替えられると、会話の小回りがぐっと利くようになります。
席を外していた場面に戻るたびに役立つ実用フレーズとして、会話のレパートリーに加えてみてくださいね。


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