「get over it」の意味と使い方|『ビッグバン★セオリー』S02E15で学ぶ英会話

「get over it」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

過去のわだかまりを、誰かに「もう気にしないで、前に進もう」と言ってほしかった——そんな思いが胸をよぎる瞬間が、ドラマには時々あります。

そんな気持ちに重なる「get over it」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン2第15話の終盤、ペニーが父親への複雑な思いを語るシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「get over it」の意味とニュアンス

get over it
意味:(つらいこと・失望を)乗り越える、忘れて前に進む、割り切る

get over は「get(行く)+ over(〜の上を越えて)」が原義で、目の前の障害物を越えていくイメージを持っています。そこから比喩的に、「つらい経験・失恋・失敗・病気を乗り越える」という意味で広く使われます。

it の部分を具体的な名詞に変えれば、get over the breakup(失恋を乗り越える)、get over the flu(インフルエンザから回復する)のように応用できます。

注意したいのは、命令形の Get over it. の響きです。文脈や相手によっては「いいかげん忘れろ、くよくよするな」とやや突き放した印象になり、冷たく聞こえることもあります。優しい励ましにも、苛立ち混じりの一言にもなる、トーン次第で表情が変わる表現です。

【ここがポイント!】

  • get over は「障害物を越える」イメージ、そこから「乗り越える・割り切る」へ
  • it を名詞に替えれば、失恋から病気まで幅広く応用できる表現
  • 命令形 Get over it. は突き放した響きにもなる、トーンに気をつけたい一言

『ビッグバン★セオリー』S02E15のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

エピソードの終盤、ペニーが、男の子を欲しがっていた父親への積年の思いを打ち明けます。母親にこう言ってほしかった、という仮定の言葉の中で、フレーズが登場します。

Penny: I mean, my mom could’ve just said, “Bob, get over it, she’s a girl, move on.” But she didn’t. Not one word.
(つまり、母さんはただ「ボブ、いいかげん受け入れて、娘なんだから、前に進みなさい」って言えばよかったの。でも言わなかった。一言も。)

Beverley: Interesting. Would you be willing to fly to New Jersey and discuss your relationship with your parents during a brain scan?
(興味深いわね。ニュージャージーまで来て、脳スキャンを受けながらご両親との関係について話す気はある?)

The Big Bang Theory Season2 Episode15(The Maternal Capacitance)

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シーン解説と心理考察

ペニーは、母が父に「Bob, get over it(ボブ、いいかげん割り切って)」と言ってくれさえすれば、という仮定の言葉で長年の寂しさを語ります。ここでの get over it は突き放した命令ではなく、「父に自分を受け入れてほしかった」という願いを託した、救いの言葉として響いています。

すぐ後ろに move on(前に進む)が並んでいる点も見どころです。「乗り越えて、その先へ進む」という二つの動きが連なり、ペニーが本当に求めていた言葉の形がくっきりと表れています。直後にビバリーが共感ではなく「脳スキャンの被験者にならない?」と研究者の目線で返すことで、ペニーの感情とビバリーの冷徹さの落差がエピソードを静かに締めくくっています。

『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ

get over は、目の前に立ちはだかる壁(over=越える対象)をよじ登って向こう側へ降りる動作をイメージすると覚えやすい表現です。つらい経験という壁を乗り越えて、反対側の「前を向いた自分」へ進む絵が核になります。

劇中のペニーは、「父が私という壁を越えて(get over)受け入れてくれたら」と願っています。本人が越えてほしかった壁が自分自身だった、という切なさを思い浮かべると、get over it の「割り切って前に進む」というニュアンスが心に残ります。

例文で覚える「get over it」

乗り越える対象を変えながら、3つの場面で見ていきましょう。

It took me a while to get over the breakup.
(失恋から立ち直るのに、少し時間がかかった。)
つらい経験を振り返る場面です。get over のあとに名詞を続けると、「〜を乗り越える」という基本の形になります。

It took her months to get over the flu.
(彼女がインフルエンザから回復するのに、数か月かかった。)
体調の回復について話す場面です。get over は病気にも使え、「(病気から)立ち直る・治る」という意味になります。

A: He’s still upset about losing the game.
B: Come on, it was weeks ago. He needs to get over it.
(A:あいつ、まだ試合に負けたこと引きずってるんだ。)
(B:まあまあ、もう何週間も前だろ。いいかげん前を向かないと。)
立ち直れない相手について話す会話です。命令形に近い get over it は、ここでは「もう前を向こう」と促すやや突き放したニュアンスを帯びます。

あわせて覚えたい関連表現

move on
(過去を区切って前に進む)
劇中でも get over it のすぐ隣で使われています。get over it が「乗り越える行為」に重心を置くのに対し、move on は「その先へ進む」ことに焦点があり、二つで「割り切って前進する」流れを作ります。

let it go
(こだわりを手放す、忘れる)
get over it が「乗り越える」のに対し、let it go は「執着を手放す」ことを指します。立ち直るというより「もう気にしないことにする」というニュアンスです。

come to terms with
(つらい事実を受け入れる、折り合いをつける)
時間をかけて「受容に至る」過程を表すフォーマルな表現です。get over it の口語的な「もう忘れよう」より、内面で和解していくプロセスに重きがあります。

Note|get over / move on / let it go、前に進む三つの言い方

劇中のペニーのセリフには、get over it と move on が並んで登場します。似たように見える「前に進む」表現を整理してみましょう。

この三つは、いずれも「つらいことを乗り越えて前へ」という方向を向いていますが、力点が少しずつ違います。get over it は、目の前の障害を「越える」イメージで、痛みや失望そのものを乗り越える行為に重心があります。move on は、その後ろにある「先へ進む」動きを表し、過去に区切りをつけて次へ向かう前進の感覚が前面に出ます。劇中で get over it, move on と続けて使われるのは、「乗り越えて、その先へ進む」という二段階の流れを一息に言い表しているからです。一方 let it go は、握りしめていたものを「手放す」イメージで、乗り越えるというより「もうこだわらない」と力を抜く方向を指します。同じ前進でも、越えるのか、進むのか、手放すのか——この違いを意識すると、状況に合った一言を選べるようになります。

ペニーが母に言ってほしかったのが get over it と move on の組み合わせだったことには、「乗り越えて、その先へ進んでほしかった」という願いがそのまま重なっています。

三つの違いが見えると、「前に進む」の表現がぐっと豊かになりますね。

まとめ|ペニーの願いに重なる「乗り越える」一言

get over it は、つらい経験や失望を乗り越えて、割り切って前に進むことを表す表現です。命令形では突き放した響きにもなりますが、トーン次第で、相手をそっと前向きにする優しい言葉にもなります。

この一言を知っておくと、立ち直ろうとする自分や、引きずっている誰かに、状況に合わせて寄り添う言葉をかけられるようになります。

ペニーが母に言ってほしかった一言の重みを思い返しながら、表現の引き出しに加えてみてくださいね。

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