海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
新しい職場や集まりで、「まずはあの人に気に入られておくと何かと有利だな」と考えたことはありませんか。誰かと良い関係を築いて自分の立場をよくする、その少し打算的な動きを、英語ではひとつの言い回しで表せます。
今回の「get in good with」は、誰かに気に入られて有利な関係を築くことを指す表現です。『ビッグバン★セオリー』シーズン3第7話、ラジの両親がビデオ通話で、見合い相手への戦略を打算まじりにアドバイスするシーンから、一緒に見ていきましょう。
「get in good with」の意味とニュアンス
get in good with
意味:〜に取り入る、〜に気に入られる、覚えをよくする
この表現は、get in good(好ましい立場に入る)に with(誰と)を組み合わせた形です。誰かに気に入られて、自分にとって有利な関係を築くことを指します。
ビジネスの場で上司や有力者の覚えをよくする場面から、新しいコミュニティで人間関係を作る場面まで、幅広く使われます。多くの場合、「ただ仲良くなる」より一歩進んで、「有利な立場を得るために関係を築く」という戦略的・打算的なニュアンスを伴います。露骨にへつらうほどではないものの、「狙いがある」という含みが感じられる表現です。
【ここがポイント!】
- get in(中に入る)+ good(良い立場)で「有利な関係に入り込む」イメージ
- ただ仲良くなるより一歩進んだ、戦略的に取り入る一言
- 打算が透けると角が立つので、狙いを出しすぎないのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S03E07のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ラジの両親が、ビデオ通話で見合い相手のラクシュミとの結婚を勧めてきます。父親は、彼女が痩せて自信をつける前に取り入っておけ、という、かなり打算的で失礼なアドバイスを口にします。
Dr Koothrappali: Yes, Lakshmi just got her stomach stapled. You have an opportunity to get in good with her before she loses weight, and her self-esteem goes up.
(そうだ、ラクシュミは胃を縛る手術をしたばかりだ。彼女が痩せて自尊心が上がる前に、取り入るチャンスだぞ。)Raj: I don’t care! And why don’t you think I can find a woman for myself?
(どうでもいい! どうして自分で女性を見つけられないと思うんだ?)The Big Bang Theory Season3 Episode7(The Guitarist Amplification)
シーン解説と心理考察
get in good with という、本来は人間関係の処世術を表す表現が、結婚相手選びという文脈に持ち込まれているところに、この場面のおかしみが表れています。父親は息子の結婚を、まるで取引のように「有利なうちに取り入れ」と語っており、その打算的な発想と恋愛・結婚のロマンとのズレが際立ちます。
戦略的に関係を築くという get in good with のニュアンスが、ここでは極端に増幅されています。タイミングまで計算して勧める父親の言葉には、文化や世代によって異なる結婚観の温度差がにじみます。ラジが即座に反発するのは、自分で相手を見つける力を信じてもらえないことに加え、結婚を損得勘定で語られること自体に我慢ならなかったからだと言えます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
誰かの心の中に「good(お気に入り)」と書かれた特別な部屋があると想像してみてください。get in good with は、その部屋にうまく滑り込むこと。ドアの前でただ待つのではなく、相手に気に入られる何かをして、するりと中へ入り込むイメージです。
ラジの父親が「相手の自尊心が上がる前に get in good with しろ」と、タイミングまで計算して勧める場面を思い浮かべると、この表現の「戦略的に有利な立場へ入り込む」という打算的なニュアンスが、くっきりと記憶に残ります。
例文で覚える「get in good with」
職場の処世術から日常の人間関係まで、幅広く使えます。3つの場面で見てみましょう。
He’s trying to get in good with the new manager by staying late every day.
(彼は毎日遅くまで残って、新しいマネージャーに取り入ろうとしている。)
職場での処世術を語る場面です。「気に入られて有利になろうとしている」という、ややシニカルな観察のニュアンスがあります。
She baked cookies for the neighbors to get in good with them.
(彼女は近所の人に取り入るために、クッキーを焼いた。)
新しい環境で人間関係を築く場面です。具体的な行動(クッキー作り)とセットで、「良い関係を作るための手段」として使われています。
A: Why is he suddenly being so nice to the boss?
B: He’s just trying to get in good with her before the promotions.
(A:彼、どうして急に上司にあんなに愛想がいいの?)
(B:昇進の前に、上司に取り入ろうとしてるだけだよ。)
同僚の様子を観察する会話です。before the promotions(昇進の前に)という狙いを添えることで、打算的な動機がはっきりと伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
get on someone’s good side
(〜の機嫌をとる、好意的な側に立つ)
get in good with とほぼ同義の表現です。相手の good side(良い面・好意)に立つイメージで、get in good with よりやや口語的でカジュアルな響きがあります。
butter someone up
(〜にお世辞を言って機嫌をとる)
お世辞やおべっかという「手段」が前面に出る表現です。get in good with が「良い関係を築く結果」に焦点があるのに対し、こちらは具体的にこびへつらう行為を指します。
curry favor with
(〜の歓心を買う、ご機嫌をとる)
よりフォーマルで否定的な響きの強い表現です。媚びへつらうニュアンスがはっきりしており、中立〜やや打算的な get in good with よりも、批判的なトーンで使われます。
Note|get in good with / get on someone’s good side / butter up の使い分け
「取り入る」「気に入られる」を表す英語表現は数多くありますが、どれを選ぶかで、フォーマル度や「どれくらい打算的に聞こえるか」が変わります。get in good with を中心に、仲間の表現を整理してみましょう。
まず get in good with は、「有利な関係を築く」という結果に焦点がある表現です。手段がお世辞なのか誠実な努力なのかは問わず、「気に入られて有利な立場を得る」こと全体を指します。打算のニュアンスはありますが、露骨な軽蔑までは含まず、比較的ニュートラルに使えます。get on someone’s good side もこれに近く、相手の「良い面」の側に立つというイメージで、より口語的でカジュアルです。一方 butter someone up は、「手段」がはっきり前に出ます。butter(バター)を塗るように、お世辞やおべっかで相手を持ち上げる行為そのものを指すため、結果ではなく「こびる動作」に光が当たります。そして curry favor with は、3つの中で最もフォーマルかつ否定的です。たとえば政治家が有権者の歓心を買おうとする様子を批判的に報じる記事など、相手のずるさを非難する文脈で使われます。同じ「取り入る」でも、結果重視か手段重視か、ニュートラルか批判的かで、選ぶ表現が変わってきます。
ラジの父親が get in good with を使ったのは、「相手に気に入られて有利な立場を得る」という結果志向の発想そのものでした。しかも「自尊心が上がる前に」という打算的な条件まで付けたことで、この表現が持つ戦略性が際立つ場面になっています。
良い関係づくりと打算のあいだの、微妙な線を映す表現です。
まとめ|ラジの父の打算から学ぶ「取り入る」の言葉
get in good with は、get in good(有利な立場に入る)に with を組み合わせ、誰かに気に入られて有利な関係を築くことを指す表現でした。職場の処世術から日常の人間関係まで幅広く使え、「狙いがある」という戦略的なニュアンスをほんのり伴います。
この表現を知っていると、「仲良くなる」とは少し違う、「有利な立場を得るために関係を築く」という機微を言葉にできます。get on someone’s good side や butter up といった仲間の表現とあわせて押さえておくと、人間関係の駆け引きを描く幅が広がります。
ラジの父のように打算が露骨すぎると角が立ちますが——新しい環境で良い関係を築きたいとき、この表現は使いどころを選んで活躍します。会話のレパートリーに加えてみてください。


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