「flatter oneself」の意味と使い方|『ビッグバン★セオリー』S03E20で学ぶ英会話

「flatter oneself」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

相手のちょっとした言葉に「もしかして自分のこと?」と一瞬色めき立ったら、「自惚れないで」とぴしゃりと返された——そんな気まずい瞬間が、誰にでも一度はあるのではないでしょうか。

その「自惚れないで」にあたる「flatter oneself」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン3第20話の中盤、退屈を持て余したラジがレナードを誘うシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「flatter oneself」の意味とニュアンス

flatter oneself
意味:うぬぼれる、いい気になる(Don’t flatter yourself で「自惚れないで」)

flatter はもともと「お世辞を言う、おだてる」という意味の動詞です。その矛先を oneself(自分自身)に向けると、「自分を実際以上に良く思い込む」、つまり「うぬぼれる」になります。とくに Don’t flatter yourself は、相手が「自分が狙われている」「自分は特別扱いされている」と勘違いしかけたときに、それを冗談半分にぴしゃりと否定する決まり文句です。一方で、I flatter myself that 〜 と一人称で使うと「〜だと自負している」という控えめな自慢になり、主語によって表情が変わるのも特徴です。

【ここがポイント!】

  • 核は「自分で自分をおだてて、いい気になる」イメージ
  • Don’t flatter yourself は勘違いを軽くたしなめる定番のツッコミ
  • 一人称の I flatter myself なら「自負している」と柔らかい自慢にもなる一言

『ビッグバン★セオリー』S03E20のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

ペニーと別れたレナードと、暇を持て余すラジの二人きりのアパート。ラジが唐突に「一年セックスしていない」と切り出し、レナードは「その話、どこに向かうんだ」と身構えます。その一瞬の警戒を、ラジがすかさずこのフレーズで茶化します。

Raj: I haven’t had sex in a year.
(俺、一年セックスしてないんだ。)

Leonard: Where you going with this, Raj?
(その話、どこに向かってんだ、ラジ?)

Raj: Don’t flatter yourself, dude. I want to go out and meet a woman.
(自惚れんなって。女の子に会いに行きたいって話だよ。)

Leonard: So, go.
(なら行けば。)

The Big Bang Theory Season3 Episode20(The Spaghetti Catalyst)

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シーン解説と心理考察

レナードの一瞬の身構えと、それを見逃さないラジの切り返しに、二人の気の置けない関係がにじむ場面です。「一年していない」という重めの告白に対し、レナードが「自分が誘われるのか?」と警戒した——その心の動きを、ラジは “Don’t flatter yourself”(あんたを口説いてるわけじゃない)とからかって、すぐに本題へ引き戻します。

Don’t flatter yourself は、相手の自意識過剰をやんわり否定する、親しい間柄ならではの軽口です。きつい言葉に聞こえて、気心の知れた友人同士では笑いを生むジャブとして機能しています。相手の勘違いを一言でほどく、この表現の使いどころがよく表れています。

『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ

flatter には「平らにする(flat)」が隠れていて、もとは「手で平らに撫でて機嫌を取る」イメージだったとされます。flatter yourself は、自分で自分の頭を「よしよし」と撫でて、すっかりいい気になっている——そんな姿を思い描くと覚えやすくなります。

劇中のレナードが一瞬「自分が誘われた?」と頭を撫でかけたところを、ラジが “Don’t flatter yourself” とその手をぴしゃりと払いのける。そんな手の動きとセットで記憶すると、「自惚れないで」という否定のニュアンスまで、まるごと頭に残ります。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「flatter oneself」

勘違いをいなすときにも、控えめに自負を語るときにも使える、表情豊かなフレーズです。3つの例文で幅をつかみましょう。

Don’t flatter yourself — I’m not staring at you, I’m looking at the clock behind you.
(自惚れないで。あなたを見てるんじゃなくて、後ろの時計を見てるの。)
相手の勘違いを軽くいなす場面です。劇中と同じ、最も典型的な「勘違い否定」のパターンになります。

I flatter myself that I know this city pretty well.
(この街のことはかなり詳しいと、自分では思っているんだ。)
控えめな自慢の前置きとして使う場面です。一人称にすると「自負している」という柔らかいニュアンスになり、ぐっと角が取れます。

A: I think she keeps smiling at me. She must like me.
B: She’s just being polite. Don’t flatter yourself.
(A:彼女、ずっと俺に微笑みかけてる気がする。きっと俺のこと好きなんだ。)
(B:ただ愛想がいいだけだよ。自惚れないの。)
友人同士の恋愛トークの場面です。相手の思い込みをからかって現実に引き戻す、このフレーズの王道の使い方になります。

あわせて覚えたい関連表現

get ahead of oneself
(先走る、調子に乗る)
flatter oneself が「自己評価が高すぎる」状態を指すのに対し、get ahead of oneself は「結論や期待を急ぎすぎる」ことに焦点があります。重なる場面もありますが、見ているポイントが違う表現です。

think highly of oneself
(自分を高く評価する)
より中立的で直接的な言い回しです。flatter oneself が持つ「事実以上に思い込んでいる」という否定的な含みが薄く、淡々と「自己評価が高い」と述べたいときに使えます。

full of oneself
(うぬぼれている、自分のことで頭がいっぱい)
状態を表す形容表現で、He’s so full of himself のように使います。flatter oneself が「思い込む」という心の動きを指すのに対し、こちらは「うぬぼれている状態そのもの」を描く表現です。

Note|flatter と「平らに撫でる」の関係

なぜ「お世辞を言う」flatter が、自分に向けると「うぬぼれる」になるのか。その流れは、語の成り立ちをたどると見えてきます。

flatter は、古フランス語の flater(撫でる、なでつける)に由来するとされています。手のひらで平らに撫でて相手をなだめる、機嫌を取る——そんな身体的な動作のイメージが出発点だったと考えられています。そこから「人をなでるように持ち上げる=おだてる」という意味へ広がり、さらに再帰代名詞 oneself をとって矛先を自分に向けると、「自分で自分をなでて持ち上げる=うぬぼれる」へとたどり着きます。撫でる相手が他人なら「おだてる」、自分自身なら「うぬぼれる」。同じ一つの動作イメージから、向ける方向しだいで二つの意味が枝分かれしているわけです。

この「撫でる」という原義を知っておくと、Don’t flatter yourself が「自分で自分をなでてご機嫌になるのはやめなよ」という、どこか可笑しみのある一言だと感じられるようになります。

言葉の奥には、こんな手のひらの動きが残っているのですね。

まとめ|勘違いをほどく軽やかな一言

flatter oneself は、自分を実際以上に良く思い込む「うぬぼれ」を表す表現です。とりわけ Don’t flatter yourself は、相手の勘違いを冗談まじりにほどく、親しい間柄ならではのツッコミとして活躍します。一方で一人称にすれば控えめな自負にもなり、主語ひとつで表情が変わるのも面白いところです。

このニュアンスを知っていると、相手の思い込みを角を立てずにいなしたいときや、さりげなく自信をのぞかせたいときに、会話の引き出しがぐっと増えます。

ラジの軽口に込められた、気心の知れた友人同士のじゃれ合い。その後ろに、つい「自分のこと?」と早合点してしまう、私たちの小さな自意識が透けて見える場面でした。

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