海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
いきなり本格的に始めるのは不安だから、まずは小さく試してみて様子を見たい、と思ったこと、ありませんか。
その「まず試してみる」を表す「a trial run」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン5第3話、同居を決めかねるバーナデットに、ハワードが「まず週末だけ試そう」と提案するシーンから、一緒に見ていきましょう。
「a trial run」の意味とニュアンス
a trial run
意味:お試し / 試験的な実施 / 予行
本格的に始める前に、小規模・限定的に試して様子を見ることを表す名詞句です。trial(試し)と run(実施・稼働)が組み合わさり、「一度試しに動かしてみる」というイメージを持ちます。
新しい制度、関係、製品、手順などを正式に導入する前に、「とりあえず一回やってみて、うまくいくか見極める」という場面で使われます。give it a trial run(お試しでやってみる)や do a trial run(予行をやる)のように、give や do と組み合わせる形がよく見られます。本番のリハーサルという意味でも、新しい関係や仕組みの試験期間という意味でも使え、ビジネスから日常まで幅広く活躍する表現です。
【ここがポイント!】
- 本番前に小さく試して様子を見る「お試し」の表現
- trial(試し)+ run(実施)で「一度動かしてみる」イメージ
- give it a trial run の形で「お試しでやってみる」と言える
『ビッグバン★セオリー』S05E03のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
母親との同居をめぐって対立したハワードとバーナデット。真っ向から決めようとすると話がこじれるため、ハワードは折衷案を持ちかけます。「いきなり結論を出すのではなく、まず週末だけ試してみよう」という提案です。
Howard: Before we make any kind of decision about where we live, we have a trial run. Stay here for a weekend, see what it’s like.
(どこに住むか決める前に、お試しをやってみようよ。週末ここに泊まって、どんな感じか見てみるんだ。)Bernadette: And your mom would be okay with that?
(それで、お母さんはそれでいいの?)The Big Bang Theory Season5 Episode3(The Pulled Groin Extrapolation)
シーン解説と心理考察
ハワードの「we have a trial run」という提案には、彼なりの計算が隠れています。真っ向から「同居しよう」と迫ればバーナデットは拒むに決まっている。そこで「お試しだから」と言えば断りにくく、実際に体験させれば説得できる、という思惑が透けて見える場面です。
trial run という言葉のやわらかさが、対立をいったん棚上げにする緩衝材として働いています。「決める前のお試し」という枠組みなら、どちらも面子を保ったまま一歩を踏み出せるからです。もっとも、この計算が母親の強烈なキャラクターによって裏目に出ていく、という展開への伏線にもなっていて、提案の周到さと結末の予感が同時ににじむ場面と言えます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
run を「(機械を)試しに動かしてみる」動作でイメージするのがコツです。買ったばかりの車を、いきなり高速道路に出すのではなく、まず空いた駐車場で少しだけ走らせて(trial run)、調子を確かめる、そんな光景を思い描いてみてください。
ハワードが「いきなり同居を決めず、週末だけ試運転してみよう」と持ちかけた場面と重ねれば、「本番の前に、まず小さく一回動かしてみる」という trial run の核がつかめます。エンジンをいきなり全開にするのではなく、軽く回して様子を見る、その慎重な一歩のイメージです。
例文で覚える「a trial run」
本番前のお試しを表す表現なので、新しいことを始める前の「試験的な一歩」を語る場面でよく使われます。三つの例文で使い方を見ていきましょう。
Let’s do a trial run before the actual presentation.
(本番のプレゼンの前に、一度予行をやっておこう。)
本番前にリハーサルを提案する場面です。「予行」「練習」の意味で使う、もっともシンプルな形です。
They moved in together as a trial run before getting engaged.
(彼らは婚約前に、お試しで一緒に暮らし始めた。)
同棲を試験期間として捉える場面です。劇中のハワードの提案に最も近い、「関係を試す」という使い方です。
A: Should we adopt this rule permanently? B: Let’s give it a trial run first.
(A:このルール、正式に採用する? B:まずはお試しでやってみようよ。)
本格導入の前に試験期間を置く場面です。give it a trial run の形で、「いきなり決めずに試す」という慎重さを示せます。
あわせて覚えたい関連表現
test run
(テスト走行 / 試運転)
ほぼ同義の表現です。test run が機械やシステムの動作確認に寄るのに対し、trial run は「正式に採用するか見極める」という判断目的のニュアンスがやや強くなります。
dry run
(予行演習 / リハーサル)
本番と同じ手順を、実害が出ない形でリハーサルする意味です。trial run が「実際に試して様子を見る」のに対し、こちらは「本番を想定した練習」に重点があります。
trial period
(試用期間 / お試し期間)
run が「一回の実施」を指すのに対し、period は「期間」を指します。同居の「お試し週末」のように、一定の期間を試す場合には trial period も使えます。
Note|run が持つ「実施・稼働」の意味の広がり
trial run の run を見て、「走る」のことかな、と思った方もいるかもしれません。けれど、この run は「走る」よりもっと広い意味を担っています。
run の中心には「動く・動かす」という働きがあり、そこから驚くほど多くの使い方が枝分かれしているとされています。機械を「動かす」のも run a machine、会社を「運営する」のも run a company、コンピューターでプログラムを「実行する」のも run a program です。いずれも「何かを稼働させて、走らせる」という共通の感覚でつながっています。trial run の run も、まさにこの「稼働させる」系統に属していて、「本番に向けて、試しに一度動かしてみる」というニュアンスを生んでいます。だからこそ trial run は、機械の試運転にも、新しい制度の試験運用にも、人間関係のお試しにも、同じ言葉で使えるわけです。「走る」という訳語だけにとらわれず、「動かす・稼働させる」という幅で run を捉えると、応用がぐっと利くようになります。
ハワードの提案も、いわば二人の同居生活を「試しに一度、稼働させてみる」という発想。trial run の run には、エンジンを軽く回して様子を見るような、慎重な一歩のニュアンスが宿っています。
run の「動かす」という幅広さを知ると、英語の景色が少し変わります。
まとめ|本番の前に小さく試す一歩を表す言葉
a trial run は、本格的に始める前に、まず小さく試して様子を見ることを表す表現です。リハーサルにも、製品のお試しにも、新しい関係や仕組みの試験運用にも使える、応用範囲の広い一言です。
いきなり大きな決断をするのは不安でも、「まずお試しで」と言えれば、最初の一歩は踏み出しやすくなります。trial run を知っておくと、その慎重で前向きな姿勢を、自然な英語で表せます。
新しいことを小さく試してみたい場面を思い浮かべながら、表現の引き出しに加えてみてください。


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