「hit the head」の意味と使い方|『ビッグバン★セオリー』S07E02で学ぶ英会話

「hit the head」の意味と使い方を解説

航海から帰ってきた人が、ちょっと得意げに「ヘッドに行ってくる」と言う。head は「頭」のはずなのに、これがどうやら「トイレ」を指しているらしい。辞書通りに訳すと意味が通らない、こういう表現に出くわすとモヤッとしますね。これは hit the head という、船や海軍に由来する俗語です。『ビッグバン★セオリー』シーズン7エピソード2で、航海帰りのレナードがまさにこの言い方を使います。意味を知っておくと、海外ドラマや映画で「ん?」となる瞬間が一つ減ります。

目次

「hit the head」の意味とニュアンス

hit the head は「トイレに行く」を意味するくだけた言い方です。ここでの head は「頭」ではなく、船・海軍のスラングで「トイレ」を指します。動詞 hit は「(ある場所へ)行く・向かう」の意味で、hit the road(出発する)や hit the gym(ジムに行く)と同じ使われ方です。

ポイントは、この表現が持つ独特の色です。go to the bathroom が誰にでも使える標準形なのに対し、hit the head は男性同士のくだけた会話や、軍隊・船舶の現場、あるいはそれを気取って言うジョークの中で出てきます。日常の丁寧な場面で使うと、わざと砕けた・武骨な響きになります。名詞として the head 単体で「(船の)トイレ」を指すこともあります。

【ここがポイント!】

head=頭、と固定しないこと。船の文脈では head は「トイレ」。hit は「〜へ行く」。この二つが組み合わさって「トイレに行く」になる、と押さえておくと迷いません。

シーンで見てみよう

数か月の航海実験を終えて、予定より早く帰宅したレナード。ピザが届く前に、ペニーの部屋で船上の写真を見せながら、すっかり「海の男」気取りでこの一言を口にします。

Leonard: Yep. Here’s some money.
(うん。はい、お金。)
Leonard: And I’m gonna hit the head. That’s what us salty sea dogs say when we have to go pee-pee.
(あと、ちょっとヘッドに行ってくる。これ、俺たち海の男がおしっこするときに言う言い方なんだ。)

The Big Bang Theory Season7 Episode2 (The Deception Verification)

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シーン解説と心理考察

普段はインドア派の物理学者であるレナードが、航海帰りのテンションで船乗りらしい言い回しを選んでいるのが見どころです。しかも hit the head と言ったあとに、わざわざ「これは海の男(salty sea dog)がおしっこに行くときの言い方だ」と自分で解説を添えています。本来そんな説明は不要なのに、つい言いたくなってしまう。非日常の体験を引きずった高揚感と、ちょっとした見栄が、この一言ににじんでいます。

salty sea dog(ベテランの船乗り)という大げさな自称も効いています。たった数か月の航海で「海の古強者」を気取るレナードと、それを微笑ましく受け流すペニーの温度差が、このシーンの可笑しみと言えます。表現そのものより、それを使うキャラクターの背伸びが伝わってくる場面です。

覚え方のコツ

カギは「船の構造」です。帆船時代、用を足す場所は船首(=the head)付近に設けられていたとされます。波しぶきを浴びる船の先端に、ぽつんと置かれた用足し場。そこへ向かう船乗りの姿を思い浮かべると、head=トイレ、hit the head=トイレに向かう、という流れが映像で記憶に残ります。劇中のレナードのように「気取った船乗りがヘッドへ向かう」とセットで覚えると、忘れにくくなります。

例文で覚える

実際の会話では、出かける前や席を立つときの一言として自然に使えます。くだけた間柄でこそ生きる表現です。

I’ll be right back—I gotta hit the head real quick.
(すぐ戻る、ちょっとトイレ行ってくるだけ。)

On a navy ship, everyone quickly learns that “the head” means the bathroom.
(海軍の船では、誰もがすぐに「ヘッド」がトイレを指すと覚える。)

A: Where did Mike go?(マイクはどこ行ったの?)
B: He went to hit the head. He’ll be back in a minute.(トイレに行ったよ。すぐ戻る。)

日常会話・豆知識的な説明・友人同士のやりとりと、場面を変えても同じ表現が無理なく収まります。

あわせて覚えたい関連表現

go to the bathroom / restroom
(トイレに行く)
最も標準的で、誰に対しても使える言い方です。hit the head のような砕けた色はなく、場面を選びません。

use the facilities
(お手洗いを使う)
遠回しで丁寧な言い方です。hit the head とは逆方向の、フォーマルな婉曲表現と言えます。

powder one’s nose
(化粧を直す ―― トイレに行くの婉曲表現)
主に女性が使う婉曲表現です。武骨で男性的な hit the head と並べると、英語のトイレ表現の幅広さが分かります。

Note|なぜトイレが「head」なのか ―― 帆船時代に生まれた船乗りの言葉

head が「トイレ」を意味するのは、帆船時代の船の構造に由来するとされています。

かつての帆船では、乗組員が用を足す場所は船の先端、つまり船首(head, またはbeakhead)付近に設けられていました。なぜ船首だったのか。帆船は基本的に風を後ろから受けて進むため、船首側は常に風下になりにくく、においや汚れが船全体に回りにくい。さらに船首は波しぶきが頻繁に打ち込む場所で、自然に洗い流される効果も期待できた、と説明されることが多いようです。

こうして「用を足す場所=船首(the head)」という結びつきが船乗りの間に定着し、やがて場所を限定せず「トイレ」一般を指すスラングとして広がっていきました。現代でも海軍や船舶の世界では the head が日常語として生きており、そこから映画やドラマを通じて一般のくだけた会話にも染み出しています。

軍隊や海事の現場用語が、武骨でかっこいい響きをまとって日常英語に流れ込む。hit the head は、その流れを映す小さな見本のような表現と言えます。劇中のレナードがこの一語に「海の男らしさ」を込めたのも、言葉に染みついたこの歴史があればこそです。

※由来には諸説あり、ここで紹介したのは広く知られている説明の一つです。

まとめ|head が「頭」じゃない瞬間

hit the head は「トイレに行く」を表す、船・海軍由来のくだけた俗語です。head を「頭」と訳すと意味が通らなくなる、その引っかかりこそがこの表現を覚えるきっかけになります。帆船の船首にあった用足し場という来歴を知れば、一見ふしぎなこの言い回しもすっと腑に落ちます。

標準的な go to the bathroom と、武骨な hit the head。同じ「トイレに行く」でも、選ぶ言葉でキャラクターの背景や気分まで伝わるのが、英語表現のおもしろいところです。レナードのように、ちょっと気取って使ってみたくなる一語です。

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