旅行の前、面接の前、新しい話題に触れる前 ―― 何かに備えて事前に調べておく場面は多いですね。そんな「下調べ」をひとことで表すのが read up on という句動詞です。「〜について集中的に調べる・読み込む」という意味を持ちます。『ビッグバン★セオリー』シーズン7エピソード2では、思わぬ事情でホルモン剤の影響に悩むハワードが、副作用を念入りに調べた、と語る場面でこの表現を使います。read と up の組み合わせが持つ「調べ込む」感覚を、しくみから理解しておきましょう。
「read up on」の意味とニュアンス
read up on は「(あるテーマについて)必要な情報を集中的に読み込む・調べる」という意味です。ただ漫然と読む read about より、「目的を持ってまとまった情報を仕入れる」という意図がはっきりしています。
ニュアンスの中心は「下調べ・予習」です。旅行前にその土地について調べる、面接前に会社について調べる、新しい分野に取り組む前に基礎を仕込む ―― そうした「これから何かをするための準備」として知識を集める場面で使われます。on のあとに調べる対象を続けて、read up on the topic(その話題について調べる)のように使うのが基本の形です。
【ここがポイント!】
read up on = 〜について調べ込む。ただ読む read about との違いは「目的を持って・しっかり」の度合い。on のあとに調べる対象を続けます。
シーンで見てみよう
母親に塗っていたクリームが実はホルモン剤だったと判明し、それを素手で扱ったハワードが、自分への影響を心配しています。副作用を調べ上げたうえで、ラージに真剣に相談を持ちかけます。
Howard: I’ve been reading up on all the side effects you can get from oestrogen, and I need you to be honest with me. Do my boobs look bigger to you?
(エストロゲンの副作用について全部調べてたんだけど、正直に答えてほしい。俺の胸、大きく見える?)
Raj: Well, it’s kind of hard to tell.
(うーん、ちょっと判断しづらいな。)
Howard: Come on, Raj, it’s a yes or no question.
(頼むよラージ、イエスかノーで答えられる質問だろ。)
The Big Bang Theory Season7 Episode2 (The Deception Verification)
シーン解説と心理考察
ここでの reading up on は、ただ「読んでいた」のではなく「不安に駆られて副作用情報を読み漁った」というニュアンスを帯びています。read up on という句動詞ひとつで、ハワードが念入りに、集中的に調べ込んだ様子が伝わってくるのが見どころです。
深刻に悩むハワードと、答えに困って言葉を濁すラージのやりとりが、このシーンの可笑しみと言えます。本人にとっては切実な相談なのに、聞かれたほうは正直に答えるわけにもいかず、当たり障りのない返事でかわそうとする。その温度差が笑いを生んでいます。ハワードが集めた知識(read up on の成果)を踏まえて大真面目に質問するからこそ、ラージの困惑がいっそう際立つ場面です。
覚え方のコツ
カギは up が持つ「やりきる・徹底する」感覚です。eat up(食べきる)、clean up(きれいに片づける)、finish up(すっかり終える)のように、up には「十分なレベルまで仕上げる」という働きがあります。read にこの up が付くと、「読んで、必要な知識レベルまで自分を引き上げる」イメージになります。本を何冊も積み上げて(up)、一気に読み込む姿を思い浮かべると、read up on の「調べ込む」感じが記憶に残ります。劇中のハワードが不安で情報を読み漁る様子と重ねると、さらに定着します。
例文で覚える
「何かに備えて事前に調べる」場面で活躍します。on のあとに対象を続けるのを忘れないのがコツです。
I read up on the company before my job interview.
(面接の前に、その会社について調べておいた。)
She’s been reading up on Japan for her trip next month.
(彼女は来月の旅行に向けて、日本について調べているところだ。)
A: Can you give me your opinion on this new policy right now?(この新しい方針について、今すぐ意見をもらえる?)
B: Let me read up on it first, and I’ll get back to you.(まずちゃんと調べてから、改めて返事するよ。)
面接準備、旅行の下調べ、即答を保留して調べ直す場面まで、「備えのための予習」として幅広く使えます。
あわせて覚えたい関連表現
read about
(〜について読む)
単に「読む」だけで、目的意識や集中度までは含みません。read up on は「備えて調べ込む」点で、より準備のニュアンスが強くなります。
brush up on
(〜を復習する/磨き直す)
一度学んだことを「やり直す・取り戻す」ニュアンスです。read up on が新しい話題も含めて「調べ込む」のに対し、brush up on は既習内容のメンテナンスに使います。
look into
(〜を調べる/調査する)
問題や案件を「調査する・検討する」意味。read up on が「読んで知識を仕込む」のに対し、look into は原因究明や検討まで含む、より行動的な調べ方です。
Note|句動詞の「up」が運ぶ「やりきる」感覚 ―― eat up から read up まで
read up on の up。この小さな一語が、句動詞に独特の「徹底感」を加えています。
英語の句動詞では、up がしばしば「完了・徹底・十分なレベルまで」という意味を添えます。たとえば eat up は単に「食べる」ではなく「食べきる」。clean up は「きれいに片づけ上げる」。finish up は「すっかり終える」。drink up は「飲み干す」。これらに共通するのは、もとの動詞に「最後まで・しっかり・やりきる」という方向づけを与えている点です。
read up on の up も、この仲間です。read(読む)に up が付くことで、「読んで、必要なレベルまで知識を仕上げる」という意味合いが生まれます。だから read up on は、ぱらぱらと目を通す read about とは違い、「下調べを完了させる・予習をやりきる」というニュアンスを帯びるわけです。
この up の感覚をつかむと、初めて見る句動詞でも意味を推測しやすくなります。stock up(買いだめする=十分なレベルまで蓄える)、wrap up(締めくくる=きれいに仕上げる)、warm up(温める・準備運動する=十分な状態まで持っていく)。どれも「足りない状態から、十分な状態へ」という up の方向性が効いています。
ハワードが副作用を read up on したのも、ただ読んだのではなく「不安が消えるまで調べ尽くそうとした」から。この up 一語に、彼の必死さがにじんでいるとも読み取れます。句動詞の up は、動作に「やりきる」という熱量を添える小さなスイッチと言えます。
まとめ|「下調べ」をスマートに言える句動詞
read up on は「〜について集中的に調べる・読み込む」を表す句動詞です。ただ読む read about との違いは、「目的を持って・しっかり調べる」という度合いにあります。on のあとに調べる対象を続けて read up on 〜 とするのが基本の形と言えます。
up が持つ「やりきる・十分なレベルまで」の感覚をつかめば、意味は自然に腑に落ちます。read about、brush up on、look into との使い分けも押さえておくと、「調べる」の表現がぐっと豊かになります。ハワードのように何かが気になって仕方ないとき、まずは read up on ―― そんな一語です。


コメント