「that’s the spirit」の意味と使い方|『フレンズ』S04E06で学ぶ英会話

「that's the spirit」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

尻込みしている友人の背中を押したいとき、「そうこなくちゃ!」と勢いよく声をかけて、その気にさせてあげたくなること、ありますよね。

そんなときにぴったりの「that’s the spirit」を、『フレンズ』シーズン4第6話の序盤、ケータリングの仕事に踏み出せずにいるモニカを、フィービーが強引に焚きつけるシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「that’s the spirit」の意味とニュアンス

that’s the spirit
意味:その意気だ、いいぞ、その調子

相手が前向きな姿勢や意欲を見せた瞬間に、「それでこそ!」とすかさず後押しする、定番の励まし表現です。日本語の「その調子!」「そうこなくちゃ!」にあたります。

鍵になるのは spirit の意味です。ここでの spirit は「幽霊」ではなく「気持ち・意気込み・気概」を指します。team spirit(チーム精神)や fighting spirit(闘志)の spirit と同じ仲間で、人の内側にある前向きな気力のことを表しています。冠詞が the で特定されているのもポイントで、「(まさに求めていた)その心意気」と、相手が見せた姿勢を指さすニュアンスになります。

基本は素直な励ましの言葉ですが、使い方次第で表情が変わります。相手が乗り気でない返事をしたところに、あえて明るくかぶせると、「まあその意気ってことにしておこう」という、強引でおどけた後押しにもなります。トーン一つで、まっすぐな応援にも、軽い茶化しにもなる表現です。

【ここがポイント!】

  • 核は「その心意気こそ正解!」と相手の前向きさを後押しする一言
  • spirit は「幽霊」ではなく「意気・気概」、team spirit の spirit と同じ仲間
  • 乗り気でない返事にあえてかぶせると、強引でおどけた励ましにもなる

『フレンズ』S04E06のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

モニカは、大人数のケータリングを「お金も機材もないから無理」と断ってしまったばかりです。3年間もこの仕事を本気でやるか迷い続けている彼女を、フィービーが問い詰めます。ところがモニカの返事は煮え切りません。その返事に、フィービーがどうかぶせるかにこのフレーズが登場します。

Monica: Because I don’t have the money or the equipment to handle something that big on such short notice. I mean there’s no way.
(だってそんな急に、大人数分をこなすお金も機材もないもの。無理に決まってる。)

Phoebe: You have been playing around with this catering thing for over three years. Do you want to be a caterer or not?
(あなた、ケータリングを3年以上もダラダラ続けてるじゃない。ケータラーになりたいの、なりたくないの?)

Monica: I don’t know.
(……わからない。)

Phoebe: There you go, that’s the spirit! Now, if you need money, I will lend you money, but just get moving!
(はい出た、その意気よ! お金が要るなら貸してあげる、とにかく動きなさい!)

Friends Season4 Episode6(The One with the Dirty Girl)

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シーン解説と心理考察

このやりとりの妙味は、モニカが前向きな返事をしていないところにあります。「なりたいの、なりたくないの?」と迫られて、モニカが返したのは「わからない」という、およそ意欲的とは言えない一言です。本来なら「よし、やる!」と決意した相手にかける言葉であるはずの that’s the spirit を、フィービーはこの煮え切らない返事に平然とかぶせています。

そこに表れているのが、勢いで相手を巻き込んでいくフィービーらしさです。相手の迷いを正面から解きほぐすのではなく、明るく強引に「その意気!」と決めつけて、そのまま「お金は貸すから動きなさい」と話を前に進めてしまう。返事の中身と励ましの言葉がかみ合っていない、そのズレがこの場面の可笑しさを生んでいます。励ましの定型句が、フィービーの手にかかると強引な背中押しに変わる様子がにじむ場面です。

『フレンズ』流・覚え方のコツ

that’s the spirit を覚えるときは、前を向いた相手の胸のあたりを、指でトンと指さすイメージを思い浮かべてみてください。「今のあなたのその気持ち、それが正解!」と、相手の内側にある意気込みをまっすぐ指し示す。冠詞の the が「まさにその心意気」と一点を特定している感覚が、この指さす動作と重なります。

そしてフィービーのシーンを思い出せば、この表現のもう一つの顔も一緒に覚えられます。乗り気でない「わからない」という返事にも、明るくトンと指を突きつけて「その意気!」と決めつけてしまう。まっすぐな応援にも、強引な茶化しにもなる、その振れ幅ごと記憶に刻んでみてください。

例文で覚える「that’s the spirit」

that’s the spirit は、相手がやる気や前向きな姿勢を見せた瞬間に、すかさず後押しする場面で活躍します。短いフレーズながら、応援の気持ちをしっかり届けられます。

“I’ll give the presentation a try.” “That’s the spirit!”
(“プレゼン、やってみるよ” “その意気だ!”)
尻込みしていた同僚が挑戦を決めた場面です。相手の決意に、間髪入れず後押しを返すもっとも王道の使い方になります。

“Let’s not give up — we can still win this.” “Now that’s the spirit.”
(“まだあきらめるな、まだ勝てる” “そうこなくちゃ”)
チームで劣勢をはね返そうとする場面です。now を頭に付けると、「そう、それを待ってた」という勢いが加わります。

A: Fine, I’ll run the marathon with you.
B: That’s the spirit, sort of.
(A:わかったよ、一緒にマラソン走る。)
(B:その意気だ……一応ね。)
しぶしぶ同意した相手を、からかい半分で励ます場面です。劇中のフィービーのように、乗り気でない返事にあえてかぶせる使い方になります。

あわせて覚えたい関連表現

way to go
(よくやった、いいぞ)
相手の行動や結果を褒める掛け声です。that’s the spirit が「これから挑む心構え」を後押しするのに対し、way to go は「やり遂げたこと」への称賛という違いがあります。

now you’re talking
(そうこなくちゃ)
相手が良い提案や前向きな発言をした瞬間に賛同する表現です。that’s the spirit が「心意気」を指すのに対し、こちらは「今のその発言!」と、言葉そのものに反応する点が異なります。

that’s more like it
(そのほうがいい、そうこなくちゃ)
直前より状況が良くなったことへの満足を表します。前後の比較が前提にある点で、姿勢そのものを後押しする that’s the spirit とは焦点がずれています。

Note|spirit が「意気・気概」を指すようになるまで

that’s the spirit の spirit は「幽霊」ではなく「意気・気概」を指す、と本文で触れました。では、なぜ一つの単語がこれほど離れた意味を持つのでしょうか。

spirit の語源をたどると、ラテン語の spiritus に行き着きます。これは「息・呼吸」を意味する言葉でした。古代の人々は、生きているものは息をし、死ぬと息が止まることから、「息」を「命そのもの」と結びつけて考えたと言われます。ここから spiritus は「命の息吹」を、さらに「目に見えないが確かに宿っている力」を指すようになりました。この流れが二方向に枝分かれします。一方は「肉体を離れた魂」、つまり「霊・幽霊」の意味へ。もう一方は「人の内に宿る生き生きとした力」、つまり「気力・意気・気概」の意味へと広がっていきました。team spirit、school spirit、fighting spirit といった複合語は、すべて後者の「宿る力」の系統です。that’s the spirit の spirit も、まさにこの「人の内に宿る前向きな気力」を指しています。

つまりこの表現は「今あなたに宿っている、その生き生きとした力こそが正解だ」と言っているわけです。語源を知ると、単なる掛け声だったフレーズが、相手の内なる力を指さす言葉として立ち上がってきます。

一つの息が、幽霊にも闘志にもなる。言葉の枝分かれは面白いものですね。

まとめ|フィービーの強引な後押しから学ぶ「その意気」

that’s the spirit は、相手の内に宿る前向きな気力を「それでこそ!」と指さして後押しする、定番の励まし表現です。素直な応援にも、強引な茶化しにもなる振れ幅が持ち味と言えます。

この一言が使えるようになると、挑戦しようとする相手や、迷いながらも一歩踏み出そうとする相手に、すかさず「その調子!」と声をかけられるようになります。フィービーがモニカを強引に焚きつけたように、時にはおどけた勢いで場を前に進めることもできるはずです。

誰かの背中をそっと押したくなった場面を思い浮かべながら、表現の引き出しに加えてみてください。

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