海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『BONES』シーズン2第3話から、ちょっとしたユーモアや皮肉を交えて使われるユニークなイディオム「damsel in distress」をご紹介します。
映画や物語のシチュエーションがそのまま日常会話で使われる、英語ならではの面白い表現ですね。
さっそく見ていきましょう!
実際にそのシーンを見てみよう!
被害者の少年ディランが、なぜ恋人ケリーの事件に深く関わってしまったのか。FBIの車内でブースが運転しながら、少年ならではの動機について熱く語っているシーンです。
複雑な家庭環境で苦しむケリーを不憫に思い、彼女を守ろうとした少年のヒロイックな心理を、助手席のブレナンに分かりやすく説明しようとしていますが…。
Booth: He wanted to protect her.
(彼は彼女を守りたかったんだ。)Brennan: Savior complex?
(救世主コンプレックス?)Booth: Yeah, teenage boys love nothing more than the idea of saving the damsel in distress.
(ああ、10代の男の子は「窮地に陥った乙女」を救い出すってシチュエーションが何よりも大好きなのさ。)Brennan: How do you know?
(どうしてわかるの?)
BONES Season 2 Episode 3 (The Boy in the Shroud)
シーン解説と心理考察
「10代の男心」を感覚で語るブースに対し、論理的なブレナンが「救世主コンプレックスという心理学の用語ね?」と学術的に返す、『BONES』らしい微笑ましいやり取りですね。
虐待を受けていた少女ケリーを「damsel in distress(窮地の乙女)」に見立て、彼女を救いたいという少年の心理を的確に表現しています。
ブースの人間味あふれる温かい視点と、それを純粋な知識として学ぼうとするブレナンの関係性がよく伝わってきます。
フレーズの意味とニュアンス
「damsel(ダムゼル)」は「未婚の若い女性、乙女」を意味する少し古い言葉で、「distress」は「苦悩、困難、窮地」を表します。
直訳すると「困難の中にある乙女」となり、もともとはおとぎ話や中世の騎士道物語に登場する、悪のドラゴンにさらわれてヒーローの助けを待つお姫様のようなキャラクターを指す言葉でした。
【ここがポイント!】
現代のネイティブがこのフレーズを使う際のコアイメージは、「少し皮肉やユーモアを交えた、古典的なヒロイン像」です。
現代において文字通り「囚われのお姫様」がいるわけではありませんが、日常会話では「か弱いふりをして男性の助けを待っている女性」を少しからかって表現する際によく使われます。
逆に女性自身が「誰か助けて〜!」とおどけて言う時などにも使われ、会話にユーモアを添えるスパイスになりますよ。
実際に使ってみよう!
それでは、具体的な例文で使い方を確認してみましょう。
I’m not a damsel in distress. I can fix this flat tire by myself.
(私はか弱い乙女じゃないわ。パンクくらい自分で直せるもの。)
女性が自立心を示す時に、「男の人の助けなんて必要ないわ」というニュアンスで好んで使われる定番のフレーズです。
A: Why is he always helping her with her work?
(なんで彼、いつも彼女の仕事を手伝ってるの?)
B: He just loves playing the hero for a damsel in distress.
(彼は窮地の乙女を救うヒーローを気取るのが好きなだけよ。)
困っている女性を見ると放っておけない男性心理を、第三者が少し皮肉っぽく客観的に表現する場面で使われます。
My computer crashed right before the deadline. I was a total damsel in distress!
(締め切り直前にパソコンがフリーズしちゃって。私、完全に助けを求める乙女状態だったわ!)
女性自身が自分のパニック状態や、誰かに助けてほしかった状況を、ユーモアたっぷりに自虐的に語る時に便利です。
『BONES』流・覚え方のコツ
もしもブレナンが「damsel in distress」の状況に置かれたらどうなるでしょうか?
彼女は絶対に王子様の助けなど待たず、持ち前の骨の知識や格闘技で自力でピンチを脱出するはずです。
「絶対に窮地の乙女にならない無敵のヒロイン=ブレナン」のたくましさと、ブースが語る「守ってあげたい古典的な乙女」の強烈なギャップを想像してみてください。
ドラマのキャラクターの顔を思い浮かべることで、フレーズの輪郭がくっきりと記憶に定着しますよ。
似た表現・関連表現
「damsel in distress」と関連する表現も一緒に覚えて、さらに語彙力を高めていきましょう!
knight in shining armor
(輝く鎧を着た騎士、白馬の騎士)
絶体絶命のピンチに颯爽と現れて自分を救ってくれる男性を指し、「damsel in distress」を助けに来るヒーロー側の表現です。「彼は白馬の騎士気取りだ」と皮肉で使われることもあります。
play the victim
(被害者ぶる、悲劇のヒロインを演じる)
「damsel in distress」が本当に困っている(あるいはユーモアで困っている)のに対し、こちらは「自分の非を認めず、わざと自分が被害者であるかのように振る舞う」というかなりネガティブな表現です。
save the day
(窮地を救う、大活躍する)
キャラクターを指す名詞ではなく、「ピンチを救って見事に解決する」というアクションを表す動詞フレーズです。「彼のおかげで助かった!」というように、日常のトラブル解決時によく使われる非常にポジティブな表現です。
深掘り知識:語源がもたらす「大げさな響き」の秘密
「damsel in distress」という少し古めかしい響きを持つ言葉のルーツは、中世ヨーロッパの「騎士道物語(chivalric romance)」にまで遡ります。
「damsel」の語源は古フランス語の「dameisele(若い貴族の女性)」で、さらに辿るとラテン語の「domina(女性の主人)」に由来します。
一方の「distress」も古フランス語から来ており、「極度の苦悩」を意味します。
当時の物語では、悪のドラゴンや魔法使いに囚われた美しい娘を、勇敢な騎士が命がけで救出するというのが大定番の展開でした。
この劇的なシチュエーションがそのままイディオムとして定着したため、現代の日常会話にこの表現をポンっと放り込むと、「まるで騎士道物語のお姫様みたいに」という大げさでユーモラスなニュアンスを生み出すことができるのです。
言葉の成り立ちを知ると、ネイティブがなぜこのフレーズでちょっとからかうような笑いを取れるのかがよくわかりますね。
まとめ|古典的な表現で、会話に知的なユーモアを!
今回は、物語の世界から日常会話へと飛び出してきたユニークな表現「damsel in distress」をご紹介しました。
単なる「困っている女性」ではなく、おとぎ話のバックグラウンドがあるからこそ、会話にちょっとしたユーモアや皮肉をプラスできるのが魅力です。
ブレナンのような自立した強さを持ちつつも、いざという時は冗談めかしてこのフレーズを使ってみるなど、大人の遊び心としてぜひ表現の引き出しに加えてみてくださいね。


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