海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
仕事でミスをしたり、規則通りにいかないことがあった時……正直に言うのがベストですが、時には「大人の調整」が必要なこともありますよね?
今回は、FBI捜査官ブースが見せる、組織の中でうまく立ち回りつつパートナーを助けるための「裏技的」英語表現をご紹介します。
実際にそのシーンを見てみよう!
管轄外の飛行機事故について調べたいブレナン。しかし、FBIが動くには正当な理由が必要です。
彼女はためらいながらも、ブースに「証拠品をFBIのラボで調べられるよう手配してほしい」と頼み込みます。
Brennan: Do you want to think about it? It’s a pretty big favor.
(少し考えたい? かなり大きな頼み事になるわよ。)Booth: You’d do it for me. …I guess I could uh you know fudge it with my boss…
(君なら俺のためにやってくれるだろ。……まあ、上司にうまいこと言ってごまかして……)Booth: …to make it look like it was attached to the Chinese plane crash thing.
(……中国機の墜落事故に関連しているように見せることはできるかな。)
BONES Season1 Episode14 (The Man on the Fairway)
ここで “Lie”(嘘をつく)と言わないのがブースの憎めないところであり、処世術です。
「君のためなら」という絶対的な信頼関係を前提に、組織の厳格なルールを少しだけ曲げる。「事実は変えられないが、書類上の見え方は変えられる」という、現場叩き上げの捜査官らしい柔軟さと、ブレナンへの甘さが垣間見えるシーンですね。
フレーズの意味とニュアンス
fudge it
意味:(数字や記録を)ごまかす、でっち上げる、適当に合わせる
甘いお菓子の「ファッジ(fudge)」が由来です。砂糖とバターを煮詰めて作るファッジは、キャンディのようにカチカチに固まらず、柔らかくて形を変えやすい(malleable)のが特徴です。
そこから転じて、事実や数字を「自分の都合の良い形に変形させる」ことを指すようになりました。
【ここがポイント!】
悪意のある「隠蔽」や「詐欺」ではありません。
「その場を丸く収めるために、ちょっと調整する」「厳密ではないけれど、なんとなく形にする」という、許容範囲内の(あるいはそう信じたい)「ごまかし」です。
ガチガチの事実(Hard fact)ではなく、手でこねて形を変えられるファッジのような「緩さ」が、この言葉の核心的ニュアンスです。
実際に使ってみよう!
The numbers didn’t quite add up, so I had to fudge them a little.
(計算が合わなかったから、数字を少し操作して帳尻を合わせたよ。)
解説:経理など厳密さが求められる場ではNGですが、内々の調整や見積もり段階ではよく聞く表現です。「微調整して合わせた」という響きです。
I didn’t know the answer, so I just fudged it.
(答えがわからなかったから、適当にそれっぽいことを言っておいた。)
解説:面接や試験などで、知識不足を話術でカバーしたような状況です。「嘘をついた」というより、「それらしい答えをひねり出した(こねくり回した)」という感覚です。
We can fudge the schedule to squeeze in a lunch break.
(スケジュールを少しいじって、昼休憩をねじ込めるよ。)
解説:こちらは「柔軟に調整する」というポジティブな意味合いで使えます。枠を少し押し広げてスペースを作るイメージです。
『BONES』流・覚え方のコツ
「ブースの報告書はキャラメル」で覚えましょう。
お菓子のファッジのように、ガチガチに固い「FBIの規則」を、ブースが熱(情熱や愛嬌)で溶かして、自分の都合の良い形にこね直すイメージです。
「これは嘘じゃないよ、ちょっと形を変えただけさ」……そんなブースの言い訳が聞こえてきそうです。
似た表現・関連表現
似た意味を持つ表現との違いを押さえておきましょう。
cook the books
(意味:粉飾決算をする、帳簿をごまかす)
解説:こちらは明確な犯罪行為です。”Fudge” よりもはるかに深刻で計画的な悪意があり、逮捕されるレベルの不正を指します。
bend the truth
(意味:事実を曲げる)
解説:”Fudge” と非常に近いですが、こちらは「事実(棒のようなもの)」をポキっと折らずに、ぐにゃりと曲げるイメージ。真実そのものへの改変に焦点が当たります。
white lie
(意味:罪のない嘘)
解説:相手を傷つけないための優しい嘘(例:「その髪型似合ってるよ」)。”Fudge” は自分の保身や便宜のために、記録や数字を操作するニュアンスが強い点で異なります。
深掘り知識:「Fudge」という感嘆詞
“Oh, fudge!” と叫んでいる人を見たことはありませんか?
これは “Oh, f*ck!” と言いたいけれど、子供の前などで汚い言葉を使えない時に使う代用表現(Euphemism)です。響きが似ているため、とっさに口をついて出ることがあります。
ブースが使う動詞の “fudge” とは文脈が違いますが、「本質(Fワードや真実)をちょっと濁してマイルドにする」という点では共通していますね。
まとめ|清濁併せ吞む大人の語彙
社会に出ると、教科書通りの “Truth” だけでは回らないこともあります。
そんな時、ブースのようにニカッと笑って “I can fudge it.” と言える柔軟さと、それを許される信頼関係こそが、仕事をスムーズにする秘訣かもしれません。(もちろん、悪用は厳禁ですよ!)


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