海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は人気法医学サスペンス『BONES』シーズン2第3話から、我が道を行く人を表すオシャレなイディオム「march to the beat of a different drummer」をご紹介します。
少し長めのフレーズですが、ネイティブの日常会話や文学作品などでもよく登場する教養あふれる表現です。
ブレナンらしい強烈な使い方と一緒に、さっそく見ていきましょう!
実際にそのシーンを見てみよう!
被害者の少年が握っていた「バラの花」の出所を探るため、ラボで証拠を整理しているシーンです。
カミールとアンジェラが「初恋の相手」の話題ですっかりロマンチックな世界に入り込んでしまう中、仕事モード全開のブレナンがたまらず会話に割って入ります。
Angela: Oh, God. Lewis Cole. Mmm. He was a drummer. He had this hair. It was-
(ああ、ルイス・コール。んー。彼はドラマーだったの。こんな髪をしてて。それは…)Brennan: Wait, excuse me? Marching to the beat of a different drummer here. I’d like Hodgins to identity the species of rose found in Dylan Crane’s hand.
(ちょっと、失礼? ここでは我が道を行かせてもらうわ。ホッジンズにディラン・クレインの手にあったバラの品種を特定してほしいの。)Cam: What can that possibly tell us?
(それが一体何を教えてくれるっていうの?)
BONES Season 2 Episode 3 (The Boy in the Shroud)
シーン解説と心理考察
アンジェラがうっとりと語る「彼、ドラマーだったの」という言葉尻(drummer)をすかさず捉え、ブレナンが「私は違うドラマーのビートで歩いてるから(=あなた達の恋バナには乗らないわよ)」と見事な言葉遊びで話を強制終了させる、非常にコミカルなシーンです。
他人の感情や空気に一切同調せず、ひたすら論理と証拠だけを追求するブレナンの「空気を読まない性格」が、このフレーズひとつで鮮やかに表現されていますね。
フレーズの意味とニュアンス
「march to the beat of a different drummer」は、直訳すると「違うドラマーの叩くビートに合わせて行進する」となります。
周囲の人々が同じリズム(常識や流行)に合わせて歩いている中で、自分だけは頭の中で鳴っている「別のドラムの音」に従って歩いている、という情景から、「個性的であること」や「我が道を行くこと」を表すイディオムです。
【ここがポイント!】
ネイティブがこのフレーズを使う際のコアイメージは、「周囲に流されない確固たる信念とマイペースさ」です。
単なる「わがまま」や「空気が読めない」というネガティブな意味合いよりも、「他人がどう言おうと、自分の価値観や信念に従って行動する」という自立した姿勢を称賛したり、少し面白がったりする時によく使われます。
「march to a different tune」など少し形を変えて使われることもありますよ。
実際に使ってみよう!
それでは、具体的な例文で使い方を確認してみましょう。
A: He quit his corporate job to become an artist in the mountains.
(彼、会社を辞めて山でアーティストになるんだって。)
B: Well, he always marches to the beat of a different drummer.
(まあ、彼は昔から我が道を行くタイプだからね。)
個性的な生き方を選んだ友人について、納得感を持って語り合う時の自然な会話表現です。
She doesn’t follow trends; she marches to the beat of her own drummer.
(彼女は流行を追わず、我が道を行く人です。)
「a different drummer」の部分を「her own drummer(彼女自身のドラマー)」に変えることで、「自分だけの信念を持っている」というニュアンスをさらに強調できます。
I like that he marches to the beat of a different drummer.
(彼の型にはまらないところが好きなの。)
人と違う個性を「魅力」としてポジティブに褒める際によく使われる表現です。
『BONES』流・覚え方のコツ
アンジェラたちのキャピキャピとした「恋バナのリズム」の中で、一人だけ白衣を着て「骨と証拠のリズム」でズンズンと行進(march)していくブレナンの姿をイメージしてみてください。
他人のロマンチックなムードをダジャレで容赦なくぶった斬る彼女の強烈なマイペースさと結びつけると、長いフレーズも楽しく記憶に定着しますよ。
似た表現・関連表現
我が道を行くスタイルを表す関連表現も一緒に覚えて、表現の幅を広げましょう!
go one’s own way
(自分の道を行く、我が道を行く)
最もシンプルで一般的な表現です。文学的な響きはありませんが、日常会話で「他人に頼らず独立して物事を進める」と言いたい時にストレートに伝わります。
stand out from the crowd
(群衆から際立つ、一線を画す)
周りと同じ行動をしないという点では今回のフレーズと似ていますが、こちらは「他よりも優れている、目立っている」という客観的な評価や結果に焦点が当たります。
swim against the tide
(時代の風潮に逆らう、時流に逆らう)
「流れ(tide)に逆らって泳ぐ」という直訳の通り、世間の一般的な意見やトレンドにあえて反抗する表現です。今回のフレーズがマイペースなのに対し、こちらは困難に立ち向かうニュアンスが含まれます。
深掘り知識:アメリカの魂!名著が生んだ言葉とブレナンのユーモア
この非常に詩的で美しいイディオムは、19世紀のアメリカの思想家、ヘンリー・デイヴィッド・ソローが著した名作『ウォールデン 森の生活』の一節に由来しています。
ソローは森での自給自足の生活の中で、「もし人が仲間と足並みを揃えないのなら、それは彼が別のドラマーの音を聞いているからだろう(hears a different drummer)」という言葉を遺しました。
個人の自由と独立心を何よりも重んじるアメリカの国民性に深く響き、現代でも「我が道を行く尊さ」を表す定番のイディオムとなっています。
面白いのは、こんなにも崇高で哲学的な名言を、ブレナンが「他人の恋バナを終わらせるためのダジャレ(アンジェラのdrummer発言への被せ)」として容赦なく使っている点です。
アメリカ文学の美しいルーツと、ブレナンの身も蓋もない合理主義。
この見事なギャップに気づくことができるのも、海外ドラマで英語を学ぶ大きな醍醐味ですね。
まとめ|自分だけのリズムを大切にするポジティブな英語表現
今回は、アメリカ文学のルーツを持ち、個性を肯定する素敵なイディオム「march to the beat of a different drummer」をご紹介しました。
単語数が多くて少し長く感じるかもしれませんが、一度成り立ちを知ればとても覚えやすく、会話の中でサラッと使えると知的な印象を与えられるフレーズです。
ブレナンのように、周りに流されない「自分だけのビート」を大切にしながら、楽しく英語学習を進めていきましょう!


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