海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『BONES』シーズン8第1話から、リスクを承知の上で一歩踏み出す時に使われる「take one’s chances」の意味と使い方を紹介します。
どう転ぶかわからない状況でも、あえて前に進む覚悟を英語でどう表現するのか、シーンと一緒に確認していきましょう。
実際にそのシーンを見てみよう!
第1話の終盤、ブレナンの無罪が証明されジェファソニアンに帰還できることになった祝いのパーティーシーンです。
フリン捜査官がメジャークライムユニットをブースに返還する挨拶をした直後、個性派ぞろいの研究員たち(スクインツ)にすっかり疲弊した本音をユーモアたっぷりに語ります。
Flynn: All right, anyway, not that I have not enjoyed working with you squints, but, um, I’m gonna take my chances with domestic terrorism.
(よし、とにかく、君たち「変わり者」との仕事が楽しくなかったわけじゃないが、国内テロの方で一か八かやってみるよ。)Sweets: Uh, less prickly type of personality over there.
(あっちの方が、トゲトゲしい性格の人が少ないですからね。)Booth: That’s not true.
(それは違う。)Sweets: He’s being hyperbolic, I think.
(大げさに言ってるんだと思いますよ。)BONES Season8 Episode1(The Future in the Past)
シーン解説と心理考察
ブレナンの帰還を祝うパーティーという晴れやかな場面での一言ですが、フリンの言葉にはこれまでの苦労がにじんでいます。
ジェファソニアンの天才的だが一癖も二癖もある研究員たちと、ブースからの容赦ない疑いの目に、かなり参っていた様子。
「国内テロの捜査」という一見すると極めて危険な任務の方が、気難しい天才たちの相手をするよりまだマシだ、というアメリカ特有の皮肉とユーモアがたっぷり込められています。
スイーツもすかさず「テロリストの方が性格が丸い」とジョークで返し、祝いの場らしい和やかな笑いが生まれる。
キャラクターたちの関係性がよく表れた、味わい深いやり取りです。
「take one’s chances」の意味とニュアンス
take one’s chances
意味:一か八かやってみる、運に任せる、リスクを承知で進む
「chance」という単語には、日本語で使う「チャンス(好機)」以外に、「偶然」「確率」「リスク」といった意味があります。
複数形の「chances」になることで「成功する見込み・確率」というニュアンスが強くなります。
「take one’s chances」は、どう転ぶかわからない状況の中で、あえて自分の運や確率を信じてリスクを引き受けるという強い意思表示です。
完全に安全な道が保証されていない場面で、それでも前に進むことを選ぶ際によく使われます。
【ここがポイント!】
単に「挑戦する(try)」とは少し違います。
「失敗するリスクがあると十分わかった上で、それでも結果を運に委ねて飛び込む」という覚悟や思い切りが核心的なニュアンスです。
安全な選択肢と不確実な選択肢がある時に、あえて後者を選ぶ心境を的確に表しています。
実際に使ってみよう!
It’s raining heavily, but I’ll take my chances and ride my bike to the station.
(ひどい雨ですが、一か八か自転車で駅まで行ってみます。)
濡れるリスクを承知でその手段を選ぶ、日常の小さな決断を表しています。遅刻できない朝などに使えそうな表現です。
I know this investment is risky, but I’m willing to take my chances.
(リスクが高いとわかっていますが、あえて運に任せてみるつもりです。)
不確実な要素が多い状況でも、自分の意思でリスクを取るという強い響きがあります。ビジネスシーンでの覚悟を伝える際に役立ちます。
There was no reservation, so we just went to the restaurant and took our chances.
(予約はしていませんでしたが、ダメ元でそのまま行ってみました。)
日常のちょっとした行動を「一か八か」で試してみる、という気軽なニュアンスでもよく使われます。
『BONES』流・覚え方のコツ
フリン捜査官にとって、個性派の天才たち(スクインツ)とこれ以上関わることは、凶悪な「国内テロ」の捜査に身を投じるよりリスクが高いと感じられた。
そんな強烈な皮肉の対比を思い浮かべてみてください。
「テロリストを相手にする方がマシ」という極端な選択を通して、「リスクを天秤にかけた上での思い切った決断」というイメージが自然と定着します。
似た表現・関連表現
take a risk
(リスクを冒す、危険を承知で進む)
「take one’s chances」と非常に近い表現ですが、こちらは「危険(risk)を引き受ける」ことに焦点が当たっています。結果を運に任せるというより、客観的な危険をしっかり認識した上での行動を指します。
roll the dice
(サイコロを振る、運任せにする)
完全に運任せの行動を表す比喩表現です。「take one’s chances」よりもギャンブル性が高く、結果が全く予測できない状況で使われます。
leave it to chance
(運に任せる、流れに委ねる)
自分でコントロールしようとせず、成り行きに丸投げする状態です。「take one’s chances」が「自らリスクに飛び込む」積極性を持つのに対し、こちらはやや受け身な響きがあります。
深掘り知識:「chance=チャンス」だけじゃない、語源から知る本当のニュアンス
日本語で「チャンス」と言うと「絶好の機会(opportunity)」というポジティブな意味がほとんどですが、英語の「chance」の語源はラテン語の「落ちる(cadere)」に由来し、「サイコロが落ちて出た目」つまり「偶然の出来事」を意味していました。
そこから派生して、英語の「chance」には「好機」だけでなく「確率(chances)」「偶然(by chance)」「リスク(take a chance)」といった、カタカナ語とは異なる幅広い意味があります。
今回の「take one’s chances」も、ポジティブな機会をつかむというより「どう転ぶかわからないサイコロの目を引き受ける」という語源のイメージが色濃く反映されています。
知っているつもりのカタカナ英語こそ、一度英語本来のイメージに立ち返ってみると、表現の幅が大きく広がります。
まとめ|不確実な状況で前に進む言葉を持つ
『BONES』シーズン8第1話の終盤、ユーモアあふれるパーティーシーンから「take one’s chances」を紹介しました。
日常の小さな選択から人生の大きな決断まで、結果が読めない場面は誰にでもあるもの。
そんな時にこのフレーズを使えると、「やってみます」という一歩の重さと覚悟が自然と言葉に乗り、英語での自己表現の幅がぐっと広がります。
「chance」の語源にあるサイコロのイメージを頭に置きながら、ドラマの中でこの表現が使われるシーンを探してみてください。


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