海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン1第2話では、モニカとレイチェルの部屋に、モニカとロスの両親が訪ねてきます。母ジュディと父ジャックの言葉には、軽い感想やほめ言葉の形をとりながら、別の意味が読み取れる一言がいくつも混じります。
はっきり責められたわけではないとき、どう受け止めて返せばよいのか。問い返す、打ち消す、話題を振るという返し方を、モニカの受け答えから順に見ていきます。
「they don’t have to know that」と「That’s… easy」に込められた別の評価
母ジュディは、知り合いの娘が料理の道に進みたがっていて、モニカに連絡してくると話します。ジュディはその娘に、モニカがレストランを持っていると伝えていました。モニカが、持っているのではなく働いているのだと正すと、会話はこう続きます。
Mrs. Geller: Well, they don’t have to know that.
(あら、向こうはそんなこと知らなくていいのよ。)
Monica: Ross, could you come and help me with the spaghetti, please?
(ロス、スパゲティを手伝ってくれる?)
Mrs. Geller: Oh, we’re having spaghetti. That’s… easy.
(あら、スパゲティなのね。それは……簡単ね。)
Friends Season1 Episode2(The One with the Sonogram at the End)
they don’t have to know that は「向こうはそれを知らなくていい」という意味で、訂正を受け流す一言です。モニカの説明を否定はせず、問題にしないことで話を終わらせています。
モニカがロスをキッチンへ呼ぶと、ジュディは献立がスパゲティだと聞いて That’s… easy. と口にします。easy はふつうなら「手軽でいい」という感想にもなる語です。ただ、レストランで働く娘の献立について、… で一度言葉を切ってから言われると、手の込んでいない料理だという含みにも受け取れます。
このように、ほめ言葉や軽い感想の形をとりながら別の評価をにじませる言い方は、英語で backhanded compliment と呼ばれることがあります。直接の批判ではないぶん、言われた側はその場で反論しにくくなります。この場面で、モニカは言い返していません。
「What’s that supposed to mean?」で、言外の意味を問い返す
食事が進むと、話題はレイチェルの結婚式のことになります。ジュディは、レイチェルが結婚式で相手を置いて去ったことについて、こう言います。
Mrs. Geller: Well, at least she had the chance to leave a man at the altar.
(まあ、少なくともあの子には、男の人を祭壇に置き去りにする機会があったわけだし。)
Monica: What’s that supposed to mean?
(それ、どういう意味?)
Mrs. Geller: Nothing. It’s an expression.
(別に。ただの言い回しよ。)
Monica: No, it’s not.
(違うでしょ。)
Friends Season1 Episode2(The One with the Sonogram at the End)
at least は「少なくとも」と、良くない出来事の中から一つだけ良い点を拾う表現です。ここでは、レイチェルには少なくとも置き去りにできる相手がいた、という形をとっています。ジュディはモニカの名前を出していませんが、モニカはすぐにその意味を問い返します。
What’s that supposed to mean? は「それ、どういう意味?」と、相手の言葉に込められた意味を問いただす言い方です。be supposed to は「〜ということになっている」で、「その言葉は何を意味しているつもりなのか」と、言外の意味をはっきりさせるよう求めています。語調によっては、不快に思っている気持ちが強く出る問いでもあります。
ジュディは Nothing. It’s an expression. とかわします。It’s an expression は「ただの言い回しよ」と、深い意味はないと言い逃れるときの形です。モニカはそれを No, it’s not. と短く打ち消します。相手の言い分をそのまま否定形で返すだけの、もっとも短い切り返しと言えます。
「people like ~」の比較をかわし、「what’s going on with you?」で話題を振る
少し時間がたってから、父ジャックはロスと比べる形でこう話します。
Mr. Geller: Look, there are people like Ross who need to shoot for the stars with his museum and his papers getting published. Other people are satisfied with staying where they are.
(いいか、ロスみたいに、博物館だの論文の出版だので、高い目標を目指さずにいられない人間もいる。ほかの人たちは、今いるところで満足しているんだ。)
Friends Season1 Episode2(The One with the Sonogram at the End)
shoot for the stars は「星をねらう」、つまり大きな目標を目指すという意味の言い回しです。ジャックはロスをその例に挙げ、続けて Other people are satisfied with staying where they are. と言います。誰のことかは言っていませんが、people like ~ と other people を並べることで、比べられている相手がいることをにじませる構文になっています。
このあともしばらく両親の話が続いたところで、モニカは話題そのものをロスに振ります。
Monica: So, Ross, what’s going on with you? No news, no little anecdotes to share with the folks?
(それで、ロス、そっちはどうなの? 何か知らせとか、パパとママに話すちょっとした話とか、ないの?)
Ross: Okay, okay.
(わかった、わかったよ。)
Friends Season1 Episode2(The One with the Sonogram at the End)
So, ~, what’s going on with you? は「で、そっちはどうなの?」と、別の相手に近況を尋ねて話の中心を移す問いかけです。モニカは No news? と重ね、両親に話すことはないのかとロスに迫っています。the folks は「両親」「家族」をくだけて言う語です。自分に向けられた話題を別の人に振ってかわすのも、嫌味への返し方の一つです。ロスは Okay, okay. と応じ、自分の近況を話し始めます。
まとめ|言い返す以外の返し方
That’s… easy や at least のように形のやわらかい一言に対し、What’s that supposed to mean? で問い返し、No, it’s not. で打ち消し、what’s going on with you? で話題を振る返し方を見てきました。嫌味への返し方は、言い返すことだけではありません。
家族のやりとりを追っていくと、言葉の裏にある意味が少しずつ見えてきます。
同じ回のほかのコラムやフレーズ記事では、この回の別の場面の英語も扱っています。


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