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『メンタリスト』シーズン2第5話では、幽霊が出ると噂される洋館を舞台に、捜査官たちが不可解な現象の謎に迫っていきます。今回は、屋敷の元の持ち主にまつわる心霊術への傾倒と、劇中でジェーンが解き明かす「ペッパーズ・ゴースト」という仕掛けを起点に、アメリカの交霊会文化の一端を紹介します。
超常現象が実在するかどうかを裁くのではなく、作中で示される事実に沿って見ていきます。
心霊術(spiritualism)への傾倒という設定
ジェーンが郷土史家から得た情報を仲間に電話で伝える場面では、屋敷を建てた人物であるベックワースについて、次のように語られます。
Apparently, Beckworth was deeply involved in spiritualism.
(どうやらベックワースは、心霊術にかなり入れ込んでいたようだ。)The Mentalist Season2 Episode5 (Red Scare)
spiritualism(心霊術) は、19世紀半ばのアメリカで広まったとされる、死者の霊と交信できるという考え方に基づく思想・実践の総称です。交霊会(セアンス)を開いて霊の声を聞こうとする集まりが、当時の上流階級を含む幅広い層に流行したとされています。降霊術を専門に行う霊媒師が各地に現れ、新聞や雑誌でも話題になったとされる時期です。19世紀末から20世紀初頭にかけては、こうした心霊現象の一部が仕掛けによる演出だったことが明らかになり、次第に懐疑的な見方も広がっていったとされています。作中でジェーンが持つ「霊は存在せず、種を明かせる現象である」という立場も、こうした歴史的な議論の延長線上にある考え方の一つといえます。信じる立場と疑う立場のどちらが正しいかを断定するものではなく、当時の社会に広く根を下ろしていた一つの文化現象として捉えられています。本作の舞台となる屋敷の元の持ち主が、こうした心霊術に深く関わっていたという設定は、屋敷そのものに歴史的な背景を与える要素になっています。作中でこの人物の信仰の当否が語られることはなく、あくまで屋敷にまつわる過去の一面として描かれています。
「ペッパーズ・ゴースト」という仕掛けの正体
屋敷の中で「幽霊」らしき物音を追っていたジェーンは、一時姿を消したあと再び現れ、種明かしを始めます。
It’s easy.
(簡単なことさ。)The Mentalist Season2 Episode5 (Red Scare)
壁の中の配管を使って音を伝える仕掛けを実演したあと、ジェーンはガラス板を使ったもう一つの仕掛けを紹介します。
Pepper’s ghost. It’s an old conjurer’s trick– a simple optical illusion. All you need is a sheet of glass that slides out of the wall…
(ペッパーズ・ゴーストだよ。昔からある手品の仕掛けでね、ただの目の錯覚さ。壁からせり出すガラス板が一枚あればいい……)The Mentalist Season2 Episode5 (Red Scare)
ペッパーズ・ゴースト(Pepper’s Ghost) は、19世紀のイギリスで考案されたとされる舞台演出の仕掛けです。斜めに設置したガラス板に光を反射させることで、舞台上に半透明の人影を浮かび上がらせる手法で、当時の劇場や見世物興行で幽霊の出現を演出するために使われたとされています。名称は、この仕掛けを広めた人物の名にちなむとされ、後年には遊園地のアトラクションや博物館の展示にも応用されるようになったといわれています。交霊会が流行した時代背景とも重なり、こうした光学的な仕掛けが、実際に存在しない霊の姿を「見せる」ための手段として活用されていたと考えられています。原理そのものはシンプルなガラス反射の応用でありながら、暗い部屋・角度・光の当て方を工夫することで説得力のある視覚効果を生み出せる点が、長く使われ続けてきた理由の一つとされています。作中では、この古典的な仕掛けが屋敷の壁の中に組み込まれ、来客を驚かせる演出として使われていたことが明かされます。
まとめ|仕掛けの向こうにある文化的背景
心霊術への傾倒という設定と、ペッパーズ・ゴーストという光学的な仕掛け。どちらも、19世紀の欧米で実際に広まっていたとされる文化的背景を持つ要素です。作中の謎解きの奥に、こうした歴史の一端が垣間見えます。
『メンタリスト』の世界を通して、事件の背景にある文化的な要素にもこれからも目を向けていきます。
このエピソードの英語表現は、フレーズ記事やエピソードまとめでも扱っています。


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