「break a leg」の意味と使い方|『メンタリスト』S02E11で学ぶ英会話

「break a leg」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

発表の順番を待っている人に、何と声をかければいいか迷ったことはありませんか。「頑張って」では軽すぎる気がして、かといって重い励ましも場違いに感じる。そんな数秒があります。

英語圏でその場面に使われるのが「break a leg」で、直訳とは正反対に、成功を祈る決まり文句として定着しています。『メンタリスト』シーズン2第11話の終盤、ジェーンが人前に出ることを渋るリグスビーを送り出す場面に登場します。どのように使われているのか、一緒に見ていきましょう。

目次

「break a leg」の意味とニュアンス

break a leg
意味:頑張って、うまくいきますように

直訳は「脚を折れ」。物騒に見えますが、実際は本番に向かう人へ贈る、ごくあたたかい励ましの言葉です。もともとは舞台に上がる俳優にかける決まり文句で、そこから発表や面接、試合など「人前で何かをする直前」に広く使われるようになりました。

使いどころは、時間的にかなり限定されます。舞台袖に立っている、会場のドアの前にいる、名前を呼ばれる寸前。これから始まる本番を目前にした人に投げる一言なので、数日先の予定に向けて言うと少し不自然になります。その場合は good luck のほうが自然です。

不定冠詞にも決まりがあり、break your leg でも break the leg でもなく、break a leg と言います。丸ごとひとつの決まり文句として身につけるのが早道です。相手が複数でも形は変わらず、出演者全員に向けて break a leg, everyone のように使えます。

【ここがポイント!】

  • 直訳と意味が正反対になる、舞台生まれの決まり文句
  • 使えるのは本番の直前だけ。数日先の予定には good luck が合う
  • break a leg の形で固定。冠詞を変えずに丸ごと覚えるのがコツ

『メンタリスト』S02E11のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

事件の核心に迫るため、ジェーンは同窓会の会場である仕掛けを用意します。その中心を任されたのがリグスビーで、彼は大勢の前に立つ役目に尻込みしています。断ろうとするたびに逃げ道をふさがれ、そうこうするうちに、司会のウィラが次の進行を告げてしまいます。

Jane: You ready for phase two?
(第二段階の準備はいいかい)

Rigsby: I can’t.
(無理です)

Jane: Think of it this way — you mess up, we blow the case, and I tell Lisbon.
(こう考えるといい。君がしくじれば事件は台無しで、私はリズボンに話す)

Willa: Now is the part of the evening you’ve all been waiting for — the achievement awards!
(さあ、みなさんお待ちかねの時間です。アチーブメント・アワードです)

Jane: Break a leg.
(しっかりな)

Rigsby: Yeah.
(……ええ)

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シーン解説と心理考察

リグスビーは、荒事には慣れていても人前で演じるのは苦手なタイプです。無理だと二度繰り返しているところに、その苦手意識がよく出ています。それを承知のうえでジェーンは押し切ります。しかも説得ではなく、断ったときに困るのは君のほうだ、という形で退路を断つ言い方を選びます。

そこへ司会の声がかぶさり、間が完全になくなります。この重なりが、場面の呼吸をつくっています。考える時間があれば、リグスビーはまだ抵抗できたかもしれません。時間が消えた瞬間に投げられるのが break a leg です。

励ましの形をとってはいますが、直前のやり取りと並ぶことで、これは送り出しというより出撃の合図に近くなります。返事の Yeah も、同意というより覚悟を決めた者の返事です。舞台に上がる人へ贈る定番の一言が、ここでは役を演じさせる合図として働いている。言葉が置かれる位置で表情を変える、その好例と言えます。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

暗い舞台袖に立ち、幕の向こうから客席のざわめきが聞こえてくる。手のひらは汗ばんで、名前が呼ばれる寸前。その背中を、誰かが軽く叩いて「脚を折れ」と言う。この場違いなほどの不吉さこそが、記憶のフックになります。

劇中でも、リグスビーはまさにその位置に立たされていました。会場の照明、司会の声、逃げ場のない数秒。舞台袖という場所とセットで覚えておくと、good luck では軽すぎる場面がきたときに、この一言が自然に浮かんできます。逆に、その舞台袖の絵が浮かばない場面なら、break a leg の出番ではないという判断もできます。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「break a leg」

舞台の外へ広がった使われ方も含めて、幅がわかる3つの例文を見ていきましょう。

Break a leg tonight — I know you’ll be great.
(今夜は頑張って。きっとうまくいくよ)
出演を控えた友人にメッセージを送る場面です。一言添えると、決まり文句のままで終わらず、気持ちのこもった励ましになります。

You’ve got the interview at three, right? Break a leg.
(3時から面接だよね。頑張って)
同僚を送り出す場面です。舞台以外にも広く使われるようになったことが、この例からよく分かります。

A: I’m up next.
B: Break a leg!
(A:次、私の番だ)
(B:頑張って)
発表の順番を待ちながら交わす短いやり取りです。直前の一往復として、これ以上ないほど自然に収まります。

あわせて覚えたい関連表現

good luck
(幸運を、頑張って)
場面を選ばず使える一般的な言い方です。break a leg が本番直前に限られるのに対して、こちらは数日先の予定にも使えます。

knock ‘em dead
(客をうならせてこい)
同じく本番前の激励ですが、聴衆を圧倒しろという攻めの色が強く出ます。break a leg より威勢のいい響きになります。

you’ve got this
(あなたならできる)
運ではなく相手の力への信頼を伝える言い方です。緊張をほぐしたいときには、break a leg よりこちらのほうが届く場面もあります。

Note|劇場が「幸運」を口にしなくなった理由

なぜ舞台の世界では、素直に「幸運を」と言わないのでしょうか。break a leg の背景には、劇場に積み重ねられてきた縁起の習わしがあります。

英語圏の劇場には、今も守られている禁忌がいくつも残っています。舞台上で口笛を吹いてはいけない、劇場内で特定の悲劇作品の題名を口にしてはいけない、本番前に完璧な通し稽古をしてはいけない。いずれも、うまくいくことを望みすぎると裏返される、という考え方に支えられています。幸運を願う言葉もその一つに数えられ、口にすれば逆の結果を招くと信じられてきました。だからこそ、あえて不吉な言葉を選んで送り出す習慣が生まれた。break a leg はその流れの中にある言い方だとされています。

由来については複数の説が語られてきました。舞台に呼び戻されて何度も礼をすると膝が折れ曲がる、その姿を指すという説。客が投げ入れる硬貨を拾うために脚を曲げるという説。ドイツ語圏の演劇人が使う Hals- und Beinbruch(首と脚の骨折を)という言い回しが英語圏に持ち込まれたという説。舞台の脇にある仕切りを leg と呼び、そこを越えて出番を得ることを指したという説もあります。どれも決め手に欠けており、定説と呼べるものは今のところありません。確かなのは、二十世紀に入ってから英語圏の劇場で広く使われるようになった、という点にとどまります。

つまり break a leg は、意味を理解して使う言葉ではなく、その場の作法として受け継がれてきた言葉です。だから直訳しても意味が取れませんし、逆に言えば、直訳を気にせず丸ごと覚えてしまってかまいません。劇中でジェーンが舞台袖でこの一言を選んだのも、その作法をなぞったからにほかなりません。

言葉には、意味より先に場所が宿ることがあります。

まとめ|舞台袖で交わされる、逆さまの励まし

break a leg は、直訳の物騒さとは正反対に、本番へ向かう人の背中を押す言葉でした。舞台の縁起をかつぐ習わしから生まれ、今では発表や面接など、人前に出るあらゆる場面に広がっています。

この一言が使えるようになると、good luck だけでは足りない数秒に、ちょうどいい温度の励ましを置けるようになります。決まり文句だからこそ、気負わずに口にできるのも利点です。

逃げ場をふさがれ、覚悟を決めて歩き出したリグスビー。その背中に投げられた一言は、励ましであると同時に合図でもありました。誰かの本番に立ち会う日のために、表現の引き出しに加えてみてください。

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