「hold water」の意味と使い方|『メンタリスト』S02E11で学ぶ英会話

「hold water」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

熱心に説明されているのに、聞いているうちに「今の話、さっきと合っていないな」と気づいてしまったことはありませんか。勢いはあるのに、どこかから中身が漏れている感覚です。

そんな状態を言い当てるのが「hold water」で、主張が筋を通せているかどうかを表します。『メンタリスト』シーズン2第11話の中盤、ジェーンが滞在先のホテルで、副知事候補ナイランドの弁明を評する場面に登場します。どのように使われているのか、一緒に見ていきましょう。

目次

「hold water」の意味とニュアンス

hold water
意味:(主張や説明が)筋が通る、検証に耐える

直訳すると「水を保つ」。穴の空いていない容器が水を漏らさないように、話に破れ目がなく、最後まで矛盾しない状態を指します。逆に言えば、どこか一か所でも辻褄が合わなければ、その主張は水を保てません。

実際の会話では、否定形で使われる場面が圧倒的に多い表現です。doesn’t hold water、won’t hold water、hold no water といった形で、「その理屈は通らない」と切り返すために登場します。肯定形は if the alibi holds water のように、条件節や仮定の中に置かれることが多くなります。

主語には、argument、theory、excuse、alibi、explanation など、検証の対象になる言葉が入ります。人を主語にはしない点に注意しましょう。批判の対象はあくまで話の中身であって、話し手の人格ではありません。相手を責めずに、主張だけを否定できる。そこがこの表現の持ち味です。

【ここがポイント!】

  • 核は「穴の空いていない容器が水を漏らさない」という状態のイメージ
  • doesn’t hold water の否定形で使われることが圧倒的に多い一言
  • 主語は argument や excuse など話の中身で、人を主語にしないのがコツ

『メンタリスト』S02E11のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

同窓会で再会した副知事候補ゲイブ・ナイランドの滞在先を、ジェーンとリズボンが訪ねます。部屋に人を置いていた理由を問われたナイランドは、報道被害を避けるためだったと熱を込めて語ります。その弁明を、ジェーンは中身ではなく話し方のほうから評してみせます。

Nyland: I had to. Media people follow me everywhere I go now. If I open that door and it’s some guerrilla photographer, our faces end up on the Internet, both of our lives are ruined.
(そうするしかなかった。今はどこへ行ってもマスコミがついてくる。あのドアを開けて張り込みのカメラマンがいたら、顔がネットに出て、二人とも人生が終わる)

Jane: You’re very good at this — selling a case with passion, even though it holds no water. Explains why you’re such a successful D.A.
(うまいものだね。筋の通らない主張を、熱意で売り込むのが。だから検事として成功したわけだ)

Nyland: It’s the truth.
(本当のことだ)

Jane: Well, that should be easy to confirm.
(なら、確かめるのは簡単だ)

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シーン解説と心理考察

ナイランドは州の要職を目指す元検事で、人前で話すことを仕事にしてきた人物です。この場面でも、質問に答えるというより、聞き手を納得させにいく話し方をしています。理由を並べ、最悪の結末を描き、こちらの反論を先回りして封じる。法廷で鍛えた技術が、そのまま出ています。

ジェーンが突いているのは、その中身ではなく技術のほうです。熱意で押し切れる人だと指摘することで、うまさそのものを弱点に変えてしまいます。褒め言葉の形をとりながら、実際には「中身は空だ」と言っている。ジェーンらしい切り返しと言えます。

それに対するナイランドの返しは、ごく短い一文だけです。並べていた理屈が使えなくなり、事実だと言い張るしかなくなった状態が、この短さによく表れています。ジェーンはそこを逃さず、確かめれば済む話だと受け、場の主導権を握ります。長い弁明が短い一言で崩れていく流れが見どころです。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

底に小さな穴の空いたバケツを思い浮かべてください。見た目は立派で、注いだ瞬間はなみなみと満ちています。ところが少し待つと、横から水が伝い落ちていく。主張も同じで、聞いているうちに「さっきの話と合わない」という漏れ口が見つかることがあります。

劇中のジェーンは、目の前で語られる弁明を受け止めながら、その水がどこから漏れているかを聞き取ってしまった人の顔をしています。バケツと水の絵を一度作っておけば、doesn’t hold water が自然に口をつくようになります。相手の人格ではなく容器の状態を見ている、という距離感も、この絵のまま覚えられます。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「hold water」

理屈の通らなさを指摘する場面から、逆に妥当性を認める場面まで。使い方の幅がわかる3つの例文を見ていきましょう。

His explanation for being late doesn’t hold water.
(彼の遅刻の言い訳は筋が通っていない)
同僚の説明に納得がいかず、別の同僚と話している場面です。最も基本の否定形で、日常のちょっとした場面にそのまま使えます。

That theory simply does not hold water when you look at the data.
(その説は、データを見ればまるで成り立たない)
会議で他部署の分析に異を唱える場面です。when 節で根拠を添えると、感情ではなく事実で否定していることが伝わります。

A: He says he never got the email.
B: That doesn’t hold water — I have the read receipt.
(A:メールは届いていないと言っています)
(B:それは通りません。開封記録がありますから)
事実関係を確かめ合うやり取りです。短い反論として差し込めるので、会話のテンポを崩さずに済みます。

あわせて覚えたい関連表現

add up
(つじつまが合う)
数字や事実の整合に焦点があり、計算が合うかどうかの感覚です。hold water が論全体の耐久性を問うのに対して、こちらは部分同士の一致を問います。

stand up to scrutiny
(精査に耐える)
第三者が厳しく調べる場面を前提にした硬い言い方で、報道や研究の文脈でよく使われます。hold water より公式な響きになります。

make sense
(理にかなう、納得できる)
最も広く使える一般語です。hold water が持つ「どこにも穴がない」という検証の含みはなく、聞いて腑に落ちるかどうかを言います。

Note|英語が「筋の通り方」を容器で測る理由

日本語では、話の正しさを「筋が通る」と言います。一本の線が最初から最後までまっすぐ伸びているかどうか、という捉え方です。ところが英語は、同じことを容器と液体で表現します。

hold water のほかにも、この発想の言い回しは並んでいます。すきのない完璧な議論は watertight argument(水も漏らさぬ論)と呼ばれ、契約書の穴は loophole(のぞき穴)、情報の流出は leak(漏れ)です。理屈の弱い部分を指して there’s a hole in your argument と言うこともできます。いずれも、話を平面の線ではなく、中身を抱えた立体物として扱っています。

この違いは、そのまま議論の進め方の違いにもつながります。線として見るなら、確かめるのは「順番が正しいか」です。容器として見るなら、確かめるのは「どこかから漏れていないか」になります。前者は話の流れを追いますが、後者は圧力をかけて弱いところを探す作業です。相手の主張を検証するとき、英語話者が細部の一点を突いてくることがあるのは、この見方が背景にあるとも考えられます。

劇中のジェーンも、ナイランドの説明の順序ではなく、漏れている一点だけを見ていました。hold water を「筋が通る」と覚えるだけでなく、水を張って漏れを探す絵と一緒に覚えておくと、この表現が持つ検証の手触りまで自分のものになります。

言葉の背後には、その言語の物の見方が隠れています。

まとめ|漏れのない容器という物差し

hold water は、水を漏らさない容器のように、話に破れ目がないことを表す表現でした。doesn’t hold water の形で相手の主張を否定するのが基本の使い方で、批判の矛先が人ではなく中身に向く点が特徴です。

この一言を持っていると、「それは違う」としか言えなかった場面で、何がどう違うのかを一段はっきり示せるようになります。感情的にならずに反論できるので、仕事の議論でも使いやすい表現です。

熱意だけで押し切ろうとした弁明を、ジェーンは短い一言で止めました。その切れ味とセットで、表現の引き出しに加えてみてください。

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