海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン6第12話では、隣に住むロニーとアンバーのボートをめぐって、クレアとフィルが対応を話し合います。最初は穏便に済ませたかったフィルも、話し合いがこじれると、手段を一気に強めていきます。
揉めごとへの向き合い方は、英語でも「穏便に」と「思い切って」で選ぶ語彙が変わります。2人の方針が切り替わっていく流れに沿って、その言い分けを見ていきます。
「finesse」と「be nice about it」——角を立てずに片づけたいとき
家族が集まった場で、クレアは隣家のボートへの不満を切り出します。
Claire: Phil, we have got to do something about Amber and Ronnie’s boat.
(フィル、アンバーとロニーのボート、なんとかしなきゃ。)Claire: That thing is making it impossible to park in our driveway and it’s an eyesore.
(あれのせいでうちの私道に車を停められないし、見苦しいのよ。)Phil: On the other hand they’re our neighbors and we have to see ‘em every day.
(でも一方で、お隣さんだし、毎日顔を合わせなきゃいけないんだよ。)Modern Family Season6 Episode12 (The Big Guns)
we have got to do something about ~ は「〜をなんとかしないと」と、問題への対処を迫る切り出しです。eyesore は「目障りなもの」を指す名詞で、見た目への不満を一語で言い表せます。フィルの On the other hand は、相手の言い分を受けたうえで別の事情を差し出す前置きです。このあとフィルが波風を立てたくない気持ちを表す一言は、同じ回のフレーズ記事で取り上げています。
フィルもボートが気に障ること自体は認めつつ、進め方についてはこう続けます。
Phil: Yeah, it does, but we need to finesse this, be nice about it.
(ああ、確かにね。でも、ここはうまく立ち回らないと。穏便にさ。)Phil: The last thing we need is some huge feud with our crazy neighbors.
(いちばん避けたいのは、あのめちゃくちゃなお隣さんと大揉めすることだからね。)Modern Family Season6 Episode12 (The Big Guns)
動詞の finesse は「腕前や気配りでうまく処理する」という意味で、力ずくではなく、手際よく片づけたいという姿勢を表します。言い換えの be nice about it は「その件は感じよくやろう」と、やり方の柔らかさに焦点を当てています。
The last thing we need is ~ は直訳すると「必要なものの最後」で、「〜だけは避けたい」という強い否定になります。feud は長く尾を引く確執を指す語で、一度きりの口論より根の深い対立を思わせます。このあとクレアは規則を持ち出して市に連絡すると言い出しますが、フィルはその案にもすぐに反対します。
「drastic measures」——強硬策に切り替えるとき
フィルは誰かを通報する必要などないと請け合い、2人は隣人に話を持ちかけます。ところが話し合いはうまくいかず、その直後にクレアがフィルに問いかけます。
Claire: Hey, Phil!
(ちょっと、フィル!)Claire: Still think we need to be nice?
(まだ穏便にいくべきだと思う?)Phil: No.
(いや。)Phil: It’s time for more drastic measures.
(もっと思い切った手を打つときだ。)Modern Family Season6 Episode12 (The Big Guns)
Still think ~? は Do you still think ~? の頭を省いた口語的な問いで、「まだそう思ってるの?」と相手の考えを確かめる言い方です。クレアがここで be nice を使っているのは、先ほどのフィルの言葉を受けた問いかけだと読み取れます。
drastic measures は「思い切った手段」「強硬策」を表す組み合わせで、It’s time for ~ と合わせると「もう〜に出るべきときだ」という方針転換の宣言になります。more が付くことで、これまでの穏便なやり方より一段強める、という含みも加わります。
後の場面で、フィルは隣人への姿勢をこう言い表します。
Phil: But Ronnie and Amber don’t deserve Nice Phil.
(でも、ロニーとアンバーに「いい人のフィル」はもったいない。)Modern Family Season6 Episode12 (The Big Guns)
Nice Phil は、自分の「いい人モード」を名前のように呼んだ形です。deserve は「〜に値する」で、否定にすると「そんな扱いをする価値はない」と、相手への態度を改める理由を示せます。
| 穏便に進める | 強硬に出る |
|---|---|
| finesse this | take more drastic measures |
| be nice about it | call the city |
| The last thing we need is a feud. | They don’t deserve Nice Phil. |
「see ~ and raise you ~」——張り合いを一段上げる言い回し
フィルが呼び寄せたのは、父フランクたちの一団です。何台もの車を連ねて到着した一行を前に、ロニーとフィルはこう言葉を交わします。
Ronnie: What the hell is this?
(なんだ、こりゃ?)Phil: We see your driveway boat and raise you a convoy of retirees.
(そっちの私道のボートは受けて立とう。こっちは引退組の車列を上乗せだ。)Modern Family Season6 Episode12 (The Big Guns)
I see your ~ and raise you ~ は、ポーカーで相手の賭けに応じたうえで、さらに賭け金を上乗せするときの言い方から来ていると言われます。日常会話では「そっちがそう来るなら、こっちはもっと上を行く」と、張り合いを一段引き上げる冗談めいた返しとして使えます。
たとえば You brought cookies? I see your cookies and raise you a cake.(クッキーを持ってきたの? じゃあこっちはケーキで勝負するよ。)のように、持ち寄りの料理や小さな勝負ごとなど、身近な張り合いにも応用できます。フィルの返しでは、賭け金の代わりに「私道のボート」と「引退組の車列」が並べられ、ボートに対抗して何を持ち出したのかが一文で伝わります。
車を並べたあと、フィルは隣人にこう話しかけます。
Phil: I guess you guys convinced us.
(どうやら君たちに説得されちゃったみたいだ。)Phil: It’s awesome having giant recreational vehicles in your front yard.
(家の前に巨大なキャンピングカーがあるって最高だね。)— Mm-hmm.
(うんうん。)Amber: Oh, we see what you two are doing.
(あら、あんたたちの魂胆はお見通しよ。)Modern Family Season6 Episode12 (The Big Guns)
I guess you guys convinced us. は、言葉の上では相手に同意しながら、実際には逆の気持ちを込めた一言です。アンバーの we see what you two are doing は「何をしているか分かっている」、つまり相手のねらいを見抜いたと伝える言い方で、皮肉への切り返しとしてよく合う形です。表向きの言葉と本心がずれているときに、そのずれを指摘する一言として覚えておくと使いどころがあります。ロニーもこの作戦は効かないと言い切り、張り合いはまだ続いていきます。
まとめ|穏便策と強硬策の言い分け
finesse this や be nice about it で角を立てずに進める姿勢を、drastic measures で強硬策への切り替えを、see ~ and raise you ~ で張り合いの上乗せを表す流れを見てきました。選ぶ語彙ひとつで、揉めごとへの構えがはっきり変わることが分かります。
次回も『モダンファミリー』の家族と一緒に、場面に合った英語を拾っていきましょう。
リリーのピエロ修業をめぐる夫婦と親子の会話は同じ回のほかのコラムで、一つひとつの表現はフレーズ記事で取り上げています。


コメント