海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン2第23話では、アレックスの卒業式の日の朝、キャメロンが小さなプールに落ちた一件が家族の話題になります。ミッチェルは後の場面で笑ってしまったことを謝り、2人の間では「笑う・笑われる」をめぐる言葉が行き交います。
今回は、人の失敗を笑ったときや笑われたときのやり取りに出てくる英語表現を、朝から卒業式までの場面の順に見ていきます。
laugh at your expense と a character flaw
朝の場面では、ミッチェルの反応にキャメロンがこう返します。
Mitchell: Oh, my God. Oh, my God. I’m sorry.
(うそだろ。うそだろ。ごめん。)Cameron: Really, Mitchell? I could have just died.
(ちょっと、ミッチェル? 僕、死んでたかもしれないんだよ。)Modern Family Season2 Episode23 (See You Next Fall)
I could have just died. は、could have + 過去分詞で「(実際にはそうならなかったが)〜していたかもしれない」と言う形です。ここでは大げさに危険を訴えて、相手の反応をとがめる一言になっています。その前の Really? も、ここでは相手の名前を添えて「本気でそれ?」と態度を問いただす使い方になっています。
その後、家族が集まった場で、クレアがルークに注意すると、キャメロンが口をはさみます。
Claire: Luke, stop pushing that ball around. You’re gonna fall in.
(ルーク、そのボールを押して回るのはやめなさい。落ちるわよ。)Cameron: Oh, yes, and then your Uncle Mitchell will laugh at your expense. I’m just saying. It’s a character flaw.
(そうそう、そしたらミッチェルおじさんが君を笑いものにするよ。言ってみただけだけどね。性格の欠点なんだよ。)Modern Family Season2 Episode23 (See You Next Fall)
laugh at someone’s expense の expense は「費用」ですが、at someone’s expense で「〜を犠牲にして」という意味になります。そこから「人をネタにして笑う」という表現になっています。キャメロンはルークに話しかける形をとりながら、ミッチェルを当てこする言い方をしています。
I’m just saying. は「言ってみただけ」と、言ったことの角を少し丸めて添える一言です。a character flaw は「性格上の欠点」で、ここではミッチェルの反応をその場の家族に向けて指摘する形になっています。
You’re so full of it と He’ll be here all week
ミッチェルは家族に「ちょっと聞いて」と切り出し、朝の出来事を話します。家族からは気づかう声が上がります。
Claire: There’s nothing worse than a tailbone injury.
(尾てい骨のけがほどつらいものはないわよ。)Mitchell: Seriously? No, no, no. You’re so full of it. You know this is funny. Picture this falling into a tiny pool.
(本気で言ってる? いやいやいや。いい子ぶっちゃって。これがおかしいって分かってるだろ。想像してみてよ、ちっちゃいプールに落ちるところを。)Cameron: He’ll be here all week, folks literally, because you’re not coming home with me.
(彼は今週いっぱいここに出てますよ、皆さん。文字どおりね。僕と一緒には帰らないんだから。)Modern Family Season2 Episode23 (See You Next Fall)
There’s nothing worse than ~ は「〜ほどひどいものはない」と、比較の形で強調する言い回しです。
You’re so full of it. の it は「でたらめ」を指し、「言っていることが本心じゃない」と相手の建前を突く、くだけた一言です。続く You know this is funny. で「本当はおかしいと思っているはず」と念を押しています。Picture this は「想像してみて」と、聞き手に場面を思い描かせるときの切り出しです。
キャメロンの He’ll be here all week, folks は、舞台のコメディアンが出番の最後に言う決まり文句として知られる言い回しです。そこに literally(文字どおり)を足して、「ミッチェルは本当にここに泊まることになる」という意味に落としています。
I’m sorry I laughed と lost all credibility
卒業式の場で、ミッチェルがキャメロンに謝ります。
Mitchell: I’m sorry I laughed.
(笑ってごめん。)Cameron: I don’t need an apology but I will say your behavior today has been very eye-opening. No offense, Jay.
(謝ってほしいわけじゃないけど、今日の君の振る舞いにはいろいろ気づかされたって言っておくよ。悪く思わないでね、ジェイ。)Jay: None taken.
(気にしてねえよ。)Modern Family Season2 Episode23 (See You Next Fall)
I’m sorry I laughed. は、I’m sorry のあとに過去形の文を続けて、何について謝っているのかをはっきりさせる形です。キャメロンの I don’t need an apology but I will say ~ は、謝罪を受け流しつつ「ただ、これは言わせてもらう」と一言添える言い方です。I will say の will は「言わせてもらう」という話し手の意志を表し、but のあとに本音を置く流れを作っています。eye-opening は「目を開かせる」から「気づかされる、新しい発見のある」という意味になります。
最後の No offense と None taken の組み合わせは、フレーズ記事で詳しく取り上げています。
Mitchell: Cam, you have lost all credibility.
(キャム、もう説得力ゼロだよ。)Cameron: It’s completely different.
(全然違うんだよ。)Mitchell: How?
(どこが?)Cameron: It’s the juxtaposition of absurdist comedy against the backdrop of a formal setting.
(格式ある場を背景にした、不条理なコメディの対比なんだよ。)Modern Family Season2 Episode23 (See You Next Fall)
lose all credibility は「信用・説得力をすっかり失う」という意味です。It’s completely different. は、同じだと言われたことにすぐ反論するときの返し方で、ミッチェルの How? は一語で根拠を問い返す形です。juxtaposition は「並べて置くこと、対比」、absurdist は「不条理な」という意味です。日常会話ではあまり出てこない語をあえて並べて言い返すのが面白いところです。
まとめ|笑った側と笑われた側の英語
laugh at someone’s expense や You’re so full of it. は人の失敗を笑う場面の言い方で、I’m sorry I laughed. や lose all credibility はその後のやり取りで使われています。笑った側と笑われた側の両方の言葉が見えてくるのが、この回の会話の特徴です。
次回も『モダンファミリー』と一緒に英語を学んでいきましょう。
同じ回のほかのコラムやフレーズ記事もあわせて読むと、この一日の会話がさらに立体的に見えてきます。


コメント