「I’d like to throw a little memorial for Shel.」に見る、アメリカの家庭でペットを見送る簡単な追悼式の文化|『モダンファミリー』S01E17で学ぶ英会話

『Modern Family』コラム: 「I'd like to throw a little memorial for Shel.」に見る、アメリカの家庭でペットを見送る簡単な追悼式の文化|『モダンファミリー』S01E17で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

『モダンファミリー』のシーズン1、第17話では、飼っていたカメを見送るために、家族が簡単な追悼式を開き、身内の一人が弔辞を読み上げる場面が描かれます。宗教的な儀礼というよりも、家族で集まって気持ちに区切りをつけるための、くだけた集まりとして描かれているのが特徴です。今回は、この場面を起点に、アメリカの家庭でペットを見送るときの簡単な儀式の文化を紹介します。

家族の一員として見送る場面の言葉を見ていきましょう。

目次

質問を終わらせるための「a little closure」という提案

ジェイは、マニーが次々と質問を重ねてくる様子を見て、ある提案を持ち出します。

Jay: You know, Manny, I think the only thing that’s gonna get you to stop asking all these questions is for you to have a little closure.
(なあマニー、お前がこうやって質問し続けるのを止められる唯一の方法は、お前にちょっとした区切りをつけてやることだと思うんだ。)

Manny: What do you mean?
(どういうことでしょうか?)

Jay: Well, I’d like to throw a little memorial for Shel.
(実はな、Shelのためにささやかな追悼式をしようと思ってるんだ。)

Jay: It’ll be good for all of us.
(それは俺たち皆のためになるはずだ。)

Jay: That way we get our grief out, and then we never have to talk about this ever, ever again.
(そうすれば悲しみを吐き出せて、この話は二度としなくて済むようになる。)

Modern Family Season1 Episode17 (Truth Be Told)

ジェイが使う closure(区切り・けじめ)という言葉は、出来事に対して気持ちの整理をつけることを指します。アメリカの家庭では、ペットを失ったときにも、小規模でくだけた形の追悼式(memorial)を開いて、家族でその気持ちに区切りをつけるという発想がしばしば見られます。宗教的な儀礼ではなく、家族が集まって故人(この場合はペット)を偲ぶ場を持つこと自体に意味が置かれているのが特徴です。

ジェイはこの提案を、マニーのためだけでなく good for all of us(俺たち皆のためになる)と表現しています。ペットを失った悲しみは特定の一人だけのものではなく、家族全員で共有し、家族全員で区切りをつけるべきものだという考え方が、この一言に表れています。

ジェイの言う throw a little memorial(ささやかな追悼式を開く)という表現も、この文化を映しています。throw a party(パーティーを開く)と同じ throw の使い方で、儀式ばった行事というより、身内で気軽に開く集まりというニュアンスが込められています。

grief out(悲しみを外に出す)という言い方も、感情を内にため込まず言葉にして吐き出すことを大切にする発想が表れた一言です。ジェイは追悼式の目的を、悲しみを吐き出すことと、その話題を蒸し返さずに済ませることの2点で説明しており、儀式そのものよりも儀式の後にどう気持ちを切り替えるかに重きが置かれています。

こうした小規模な追悼式は、専門の式場や聖職者を頼らず、リビングなど身近な場所で家族だけで開かれることが多いと言われています。もっとも、こうした追悼式をどれくらいの規模や頻度で行うかは家庭や地域によって差が大きく、「アメリカでは必ずこうする」と一括りにできるものではありません。

「You were with him at the end.」に見る、書き手と読み手が分かれる弔辞の形

追悼式の当日、マニーは弔辞を用意していましたが、自分では読み上げられないと言います。

Manny: I don’t think I can do this without crying.
(僕、泣かずにこれをやり遂げる自信がありません。)

Manny: Maybe we should just get to the cold cuts.
(もう、コールドカットに進んだほうがいいんじゃないでしょうか。)

Modern Family Season1 Episode17 (Truth Be Told)

cold cuts(コールドカット)は、ハムやローストビーフなどの薄切り肉を指す言葉で、追悼式の後に用意される軽食の定番です。マニーのこの一言は、弔辞の朗読という一番つらい部分を飛ばして、その先の軽食の時間に進みたいという本音の表れと言えます。

それでも家族はやはり弔辞を聞きたいと言い、グロリアがジェイに読み手を託します。

Gloria: We wanna hear it.
(私たち、ちゃんと聞きたいのよ。)

Gloria: Jay, why don’t you read it? You were with him at the end.
(ジェイ、あなたが読んだら? 最期に一緒にいたのはあなたでしょ。)

Gloria: Remember?
(覚えてるでしょう?)

Modern Family Season1 Episode17 (Truth Be Told)

グロリアに促され、ジェイはマニーが書いた弔辞を代わりに読み上げます。書いた人と読む人が分かれるこの流れは、聖職者による決まった式次第ではなく、家族それぞれの役割分担で追悼式を成り立たせるという発想を映しています。誰か一人がすべてを担うのではなく、書く係と読む係を分けてでも式を続けようとするところに、身内だけで完結させる追悼式らしい柔軟さが表れています。

We wanna hear it.(ちゃんと聞きたい)という一言も見どころです。マニーが読むのをためらっても、その場を省略せず、誰かが代わりにでも読み上げてほしいと望む家族の姿勢が、この一言に表れています。You were with him at the end.(最期に一緒にいたのはあなたでしょ)は、一見すると代読を頼む理由づけですが、続く Remember?(覚えてるでしょう?)と合わせると、カメの最期にジェイが居合わせたことを踏まえた、グロリアのちくりとした当てこすりとしても響きます。頼みごとの形を借りて相手に一言刺す言い方として、英語らしいユーモアが感じられる場面です。

まとめ|身内の言葉で見送るという発想

小規模でくだけた memorial を開き、家族の誰かが書いた eulogy を、別の家族が代わりに読み上げるという流れは、宗教的な儀礼よりも身内の気持ちの整理を大切にする発想が表れた場面と言えます。もっとも、こうした追悼の形は家庭や地域によって大きく異なるため、一つの型として決めつけないことも大切です。

次回も『モダンファミリー』と一緒に英語表現を見ていきましょう。

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