海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン8第2話では、モノ(伝染性単核球症)にかかったアレックスが大学を休み、実家で過ごしています。家族はそれぞれ、そんなアレックスを自分の都合に合わせて頼りにしていきますが、本人もやがてその思惑に気づき始めます。
自分が都合よく使われていると気づいたとき、英語ではどう言い当てるのでしょうか。この回には、use を使った二つの形と、相手の目的を指摘する言い方がまとまって登場します。
「so you can」で相手の目的を言い当てる
荷造りを済ませたはずのノートパソコンが廊下のテーブルに置かれていることに、アレックスが気づく場面です。
Alex: I thought I already packed my laptop.
(パソコンはもう荷物に入れたと思ってたんだけど。)Alex: Why is it on the hallway table?
(なんで廊下のテーブルにあるの?)Luke: Uh, why is anything anywhere? Why aren’t our feet at the end of our arms?
(えっと、物ってなんでそこにあるんだろうね? なんで足は腕の先についてないんだろう?)Alex: Who opened my 12th-grade Grapes of Wrath essay?
(高3のときの『怒りの葡萄』のレポート、誰が開いたの?)Luke: Uh
(えっと)Alex: Oh, my God.
(うそでしょ。)Alex: You just want me to stay here so you can steal all of my old homework.
(私の昔の宿題を全部盗みたいから、ここにいてほしいだけなんでしょ。)Modern Family Season8 Episode2 (A Stereotypical Day)
I thought I already ~ は「もう〜したと思っていたのに」と、記憶と目の前の状況が食い違っていることを示す形です。アレックスはここから、パソコンの置き場所、開かれたレポートと、気づいたことを順に問いただしていきます。
ルークの why is anything anywhere? は「物ってどうしてそこにあるの?」という、問いに問いで返すはぐらかしです。答えになっていない返事を重ねることで、かえって怪しさが増していく流れが読み取れます。
決め手になるのが、アレックスの最後の一文です。want 人 to do は「人に〜してほしい」、その後ろの so (that) you can ~ は「あなたが〜できるように」という目的を表します。つまり「ここにいてほしいのは、宿題を盗むため」と、相手の頼みの裏にある目的をつなげて言い当てている形です。
さらに just が入ることで、「ただ〜のためだけに」という響きが加わり、引き止めの言葉が親切ではなかったことへの不満が伝わってきます。日常でも、You just want me to come early so you can leave early.(自分が早く帰りたいから、私に早く来てほしいだけでしょ。)のように、頼みの理由を見抜いたときに使える組み立てです。
「use you to」は手段として使うこと
問い詰められたルークは、自分より母親のほうがひどいと言い返します。
Luke: Hey, it’s better than what Mom’s doing.
(ねえ、ママがやってることよりはマシだよ。)Luke: She’s just using you to yell at us.
(ママは僕らを怒鳴るのに、姉ちゃんを使ってるだけじゃん。)Claire: I would nip that back talk in the bud.
(私なら、その口答えは早いうちにやめさせるけどね。)Alex: I can’t believe it.
(信じられない。)Alex: He’s right!
(ルークの言うとおりじゃない!)Modern Family Season8 Episode2 (A Stereotypical Day)
use A to do は「A を使って〜する」で、A は目的を果たすための手段です。ルークの言葉は「ママは自分で叱る代わりに、アレックスを通して僕たちを叱っている」という指摘で、yell at us の矛先がルークたちである点がポイントです。ここでも just が「それだけのために」を強めています。
it’s better than what Mom’s doing は、「自分のしたことは、ママのしていることよりまし」と比べて身をかわす言い方です。比べる相手を what 人 is doing(人がしていること)で表すと、具体的な行動を名指ししなくても話が通じます。
続くクレアの I would ~ は「私なら〜する」という仮定の形で、助言のように聞こえます。nip ~ in the bud は「つぼみのうちに摘む」が元の意味で、問題を小さいうちに止めることを表します。このひと言がちょうどアレックスに口答えを叱るよう促す形になっていて、アレックスは He’s right! と声を上げます。ルークの指摘が、その場で裏づけられてしまう場面です。
「use me as」は代わりの役にすること
なだめようとするフィルにも、アレックスは同じように気づきます。
Phil: Honey, you’re getting upset again.
(ほら、また気が立ってきてるぞ。)Phil: Come on.
(さあ。)Phil: Let’s go get a treat.
(おやつを買いに行こう。)Alex: Stop with the petting and and the walks.
(なでたり、散歩に連れ出したりするのはやめて。)Alex: You’re using me as a therapy dog.
(私をセラピー犬の代わりにしてるでしょ。)Phil: That’s ridiculi– Am I? Well what about what Luke’s doing?
(そんなばかげ…してるか? でも、ルークがやってることはどうなんだ?)Alex: We just dealt with him.
(ルークの話はもう済んだでしょ。)Modern Family Season8 Episode2 (A Stereotypical Day)
use A as B は「A を B として使う」で、B には役割や代わりのものが入ります。アレックスは、なでる、散歩に連れ出すといった扱いを並べたうえで、自分が a therapy dog の役をさせられていると言い当てます。Stop with the ~ は「〜はもうやめて」と、繰り返される行動をまとめて止めるくだけた言い回しです。
the petting and the walks のように名詞を並べると、気になっていた扱いを一つずつ挙げて抗議できます。フィルの you’re getting upset again の get upset は「気が立つ、動揺する」で、again が付くと「また始まった」という含みが出ます。
二つの形を並べると、違いがはっきりします。
| 形 | 意味の向き | 劇中の例 |
|---|---|---|
| use A to do | A を手段にして〜する | using you to yell at us |
| use A as B | A に B の役をさせる | using me as a therapy dog |
フィルは否定しかけて Am I?(してるか?)と自分に問い直し、すぐに what about ~? で話をルークへそらします。アレックスの We just dealt with him. は「その件はもう片づいた」と、そらしを受け流す一言です。指摘する側とかわす側の英語が、短いやりとりの中で入れ替わっていくのが面白いところです。
まとめ|use の後ろの形で「使われている」を言い当てる
use you to は何かをさせる手段に、use me as は代わりの役に、と use の後ろの形で意味の向きが変わります。want me to ~ so you can ~ とあわせて押さえると、相手の頼みの裏にある目的を落ち着いて言葉にできます。
家族の思惑が次々に明らかになるこの場面を観ながら、use の使い分けを耳で確かめていく楽しみが広がります。
イライラして言いすぎたときの言い方や、子どもの思いつきへの返し方は、同じ回のほかのコラムで、個々の表現の意味はフレーズ記事で取り上げています。


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