海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン10第17話では、ジェイのバードウォッチングについてきたミッチェル、キャメロン、フィルが、ジェイと一緒に山小屋に泊まります。静かな小屋で、フィルは自分がしゃべり続けてしまう理由を打ち明けます。
考えごとが止まらず、悪いほうへ膨らんでいく状態は、英語ではどう言い表すのでしょうか。不安を言葉にする表現と、そこから抜け出すための助言を、4人の会話から見ていきます。
「alone with my own thoughts」不安が膨らむ状態を言う英語
火を前にしたフィルは、炎の色をひとつずつ挙げていきます。黙っていられない様子に、ジェイが問いかけます。
Jay: What is this yammering with you?! Seriously!
(なんでそんなにしゃべり続けるんだ?! まったく!)
Phil: I don’t know.
(分からない。)
Phil: I guess I just don’t like being alone with my own thoughts.
(たぶん、自分の考えごとと二人きりになるのが苦手なんだよ。)
Phil: Maybe it’s because I have a couple of grandkids on the way, but now, if if things get too quiet, my mind goes to a dark place fast.
(孫が生まれる予定だからかもしれないけど、今は静かになりすぎると、あっという間に頭が暗いほうへ行っちゃうんだ。)
Phil: I start to worry about the people that I love and all the bad things that could happen to them.
(大好きな人たちのことや、その人たちに起こるかもしれない悪いことを、あれこれ心配し始めちゃう。)
Phil: I suppose talking pushes those thoughts out and helps me feel okay.
(しゃべってると、そういう考えを追い出せて、気持ちが落ち着くんだと思う。)
Modern Family Season10 Episode17 (The Wild)
yammering は「くどくどしゃべり続けること」を表すくだけた語で、ジェイの問いには少しいらだちが混じっています。それに対するフィルの答えは、ふざけた調子ではなく本音の打ち明けです。
be alone with one’s own thoughts は「自分の考えと二人きりになる」、つまり周りが静かで、考えごとしか相手がいない状態を言い表します。my mind goes to a dark place は「頭が暗いほうへ行く」で、悪い想像に引き寄せられていく様子を場所のたとえで表す言い方です。fast を付けると、その速さまで伝わります。
フィルはさらに、心配の中身を worry about ~ and all the bad things that could happen to them と具体的に言い、しゃべることで push those thoughts out(そういう考えを追い出す)のだと説明します。状態、中身、自分なりの対処を順に並べる流れは、不安を打ち明けるときの組み立てとして参考にできます。
「We can all spiral.」話すより、考えて抜け出す
フィルの打ち明けを聞いたジェイは、こう返します。
Jay: I get it.
(分かるよ。)
Jay: We can all spiral.
(誰だって、考えが悪いほうへぐるぐる回ることはある。)
Jay: But you can’t talk your way out of it.
(でも、しゃべってそこから抜け出すことはできない。)
Jay: You got to think your way out of it.
(考えて抜け出すんだ。)
Jay: You know, find a happy place.
(ほら、楽しい場所を思い浮かべるんだよ。)
Jay: Try this.
(やってみろ。)
Jay: 30 seconds, no talking.
(30秒、しゃべるな。)
Jay: Go.
(はい、始め。)
Modern Family Season10 Episode17 (The Wild)
spiral はもともと「らせん」や「らせん状に動く」を表す語です。口語では、気持ちや考えが悪いほうへぐるぐると回りながら膨らんでいく様子を、動詞として言うことがあります。We can all spiral. の can は「〜することがある」という可能性の用法で、「誰にでも起こること」と相手を孤立させない言い方になっています。冒頭の I get it. も、相手の気持ちを受け止める短い一言です。
続く2文は、talk your way out of it と think your way out of it の対比です。動詞+one’s way out of ~ は「〜しながらそこから抜け出す」という形で、talk なら「しゃべって切り抜ける」、think なら「考えて切り抜ける」になります。フィルの「しゃべって追い出す」という対処に、ジェイは同じ形で別の方法を差し出しています。
find a happy place は、心が落ち着く場面や場所を思い浮かべることを指す口語として、よく使われるとされます。ジェイはそのうえで 30 seconds, no talking. と、すぐに試せる具体的な形に落としています。
「What’s your bear?」怖いものを熊にたとえる
一行が歩いた森では、熊の目撃情報が伝えられていました。キャメロンはその熊を、別の意味で持ち出します。
Cameron: You know, I think we can learn a lot from this guy, because it’s not the the bears out there that we’re afraid of.
(ほら、この人から学べることは多いと思うんだ。だって僕たちが怖いのは、外にいる熊じゃない。)
Cameron: It’s the bears in our lives the fear that keeps us up at night.
(自分の人生の中にいる熊、つまり夜も眠れなくなるような不安なんだよ。)
Modern Family Season10 Episode17 (The Wild)
the bears out there は「外にいる熊」、the bears in our lives は「自分の人生の中にいる熊」で、out there と in our lives を対にして、本物の熊とたとえの熊を言い分けています。keep ~ up at night は「〜を夜眠らせない」で、the fear that keeps us up at night は「眠れなくなるほどの不安」を表します。ここから「bear」は、それぞれが抱える怖いものを指す言葉として会話に残ります。このたとえを使って、フィルがジェイに尋ねる場面があります。
Phil: Those are all good things in your life, Jay, but what’s your “bear”?
(ジェイ、どれも人生のいいものだね。でも、ジェイにとっての「熊」は何?)
Jay: I don’t have one.
(俺にはそんなものはない。)
Mitchell: Oh, come on! We all told you ours.
(ちょっと、それはないよ! みんな自分のを話したじゃないか。)
Modern Family Season10 Episode17 (The Wild)
What’s your ~? は相手自身のものを短く尋ねる形で、ここでの「bear」はキャメロンのたとえをそのまま受けた使い方です。ミッチェルの We all told you ours. の ours は our bears を指し、「こちらは話したのだから」と相手にも話すよう促す言い方になっています。促されたジェイは、言葉を重ねたあと、こう続けます。
Jay: But, if I’m being honest, that hike gets tougher for me every year.
(でも正直に言うと、あのハイキングは年々きつくなってる。)
Jay: And I was relieved that I didn’t have to do it alone.
(それに、一人でやらなくて済んで、ほっとしたんだ。)
Modern Family Season10 Episode17 (The Wild)
if I’m being honest は「正直に言うと」で、それまでの強がりから本音へ切り替える合図になります。I was relieved that ~ は「〜でほっとした」と、安心した気持ちを that 以下で具体的に言う形です。「怖いものはない」と言っていたジェイの口から、一人ではなかったことへの安堵が語られる流れになっています。
まとめ|不安を言葉にして、抜け出す英語
alone with my own thoughts や my mind goes to a dark place で不安が膨らむ状態を言い、We can all spiral. で受け止め、think your way out of it で抜け出し方を示す流れを見てきました。怖いものを「bear」にたとえて尋ね合う言い方もそろっています。
4人の本音を追いながら、次回も『モダンファミリー』と一緒に英語を学んでいきましょう。
同じ回のほかのコラムでは、家族への愛情を言葉にする英語や、バードウォッチングの文化も取り上げています。


コメント