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新しいことに踏み出す前に、「どうせ最悪でも、たいしたことにはならないよね」と自分に言い聞かせたことはありませんか。
そんなときにぴったりの「What’s the worst that could happen?」を、『モダンファミリー』シーズン10第17話の前半、キャメロンとフィルとミッチェルが、ある人を一人で泊まらせるかどうかを話すシーンから、一緒に見ていきましょう。
「What’s the worst that could happen?」の意味とニュアンス
What’s the worst that could happen?
意味:最悪でも何が起きるっていうの?(「たいしたことにはならない」と打ち消す言い方)
What’s the worst that could happenは、直訳すると「起こりうる最悪のことは何か」という疑問文です。worstは「最悪の」、could happenは「起こりうる」という意味で、起こりうることの中から最悪のものを挙げてみる、という形をしています。ただし、実際に答えを求めているわけではありません。「最悪の場合を考えても、たいしたことにはならない」と言いたいときに使う、答えを期待しない問いかけです。
使い方は大きく2つに分かれます。ひとつは、迷っている相手や自分自身の背中を押す使い方で、「やってみて、最悪の結果になっても知れている」という軽さが出ます。もうひとつは、悪い展開がすでに頭に浮かんでいるのに、あえて軽く言ってみせる使い方で、「どうせ何か起きるだろう」という含みを帯びます。どちらの意味になるかは、前後の話の流れと話し手の口調で決まります。
文の組み立ては、What’s(= What is)が主語の位置にあり、the worst that could happenが「起こりうる最悪のこと」というひとまとまりになっています。thatはthe worstを後ろから説明する働きで、worstの前のtheは「最悪のもの」をひとつに絞る役目です。
見出しの形はWhat’s the worst that could happen?ですが、作中のミッチェルの発言ではWhatが重なって出てきます。これは言いかけて言い直した形で、意味は見出しの形と同じです。
【ここがポイント!】
- 「What’s the worst that could happen?」の核は、答えを求めずに「たいしたことにはならない」と打ち消す問いかけ
- 励ましにも、悪い予感をあえて軽く言う冗談にもなる、表情の幅がある表現
- 本気の「平気だよ」か、冗談めかした一言かは、口調と前後の流れで決まる
『モダンファミリー』S10E17のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
キャメロンが「彼を一人で泊まらせるわけにはいかない」と言い、グロリアに伝えた約束を理由に挙げます。フィルがそれに加わると、ミッチェルも同調したうえで、映画の定番の展開を持ち出して冗談めかした一言を添えます。フレーズは、ミッチェルが言いよどみながら口にする一言の中に出てきます。
Cameron: We can’t let him stay by himself. We told Gloria we’d keep him safe.
(彼を一人で泊まらせるわけにはいかないよ。グロリアに、彼の安全は僕たちが守るって言ったじゃないか。)Phil: Yeah, if he’s staying, we’re staying.
(ああ、彼が泊まるなら、俺たちも泊まる。)Mitchell: Yeah. Yeah. What What’s the worst that could happen? I mean, in the movies, when city folk stay overnight in abandoned cabins, things usually pan out okay.
(うん。うん。な、何が起きるっていうんだ? ほら、映画だと、都会の連中が人のいない山小屋に泊まっても、たいていは何とかなるだろ。)Modern Family Season10 Episode17 (The Wild)
シーン解説と心理考察
キャメロンの言葉には、ひとりで泊まる人を放っておけない気持ちと、グロリアに約束したことへの意識が重なっています。フィルの「彼が泊まるなら、俺たちも泊まる」は、条件を受けて同じ行動を取ると表明する一言で、話の向きを短い言葉で決めています。
そこへミッチェルが「何が起きるっていうんだ?」と続けます。この一言は、本気の「平気だよ」というより、冗談めかした言い方として響きます。直後に挙げているのが、「映画だと、都会の連中が人のいない山小屋に泊まっても、たいていは何とかなる」という例だからです。映画でよく見るのは、むしろ逆の展開です。分かりきった定番をあえて逆に言うことで、泊まることへの不安を冗談に包んで口にしています。
言いかけて言い直す形で出てくる点も、この場の温度を表しています。かしこまった主張ではなく、気軽に口をついて出た一言として聞こえるため、前の二人の真剣なやり取りとの落差が、会話の温度を変えています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
起こりうる最悪のことを手のひらにのせて、重さを確かめる場面を思い描いてみましょう。のせてみたら思ったより軽かった、という流れが、このフレーズの芯にあります。worst(最悪)と口に出すことで、かえって「その程度か」と気持ちが軽くなる、という順序です。
ミッチェルの一言も、泊まる話の最悪の展開を、ありそうもない楽観でわざと軽く言ってみせる使い方でした。最悪を並べているのに口調は軽い、という落差を頭に置いておくと、答えを求めない問いかけだと見分けられます。
例文で覚える「What’s the worst that could happen?」
背中を押す場面と、冗談で包む場面。What’s the worst that could happen?の使い道を、3つの例文で比べます。
You should ask for a raise. What’s the worst that could happen?
(昇給をお願いしてみなよ。最悪でも断られるだけでしょ?)
迷っている同僚の背中を押す場面です。「断られるだけ」と答えが見えているので、励ましの意味になります。
A: I’m nervous about speaking in front of everyone.
B: What’s the worst that could happen? You’ll be fine.
(A:みんなの前で話すのが緊張するんだ。)
(B:最悪でも何が起きるっていうの? きっと大丈夫だよ。)
緊張している友人を励ます往復会話です。後ろにYou’ll be fine.を続けると、打ち消しの意味がはっきりします。
We left the lights on all night. What’s the worst that could happen? A big electric bill, I guess.
(一晩中電気をつけっぱなしにしたよ。最悪でも何が起きる? まあ、電気代が高くなるくらいかな。)
小さな失敗を笑い話にする場面です。問いかけに自分で小さな答えを返して、オチにしています。
あわせて覚えたい関連表現
What could possibly go wrong?
(何がうまくいかないっていうの?)
うまくいかない可能性を問う形です。悪い予感があるときに、皮肉として「どうせ何か起きるよ」と言う場面でも使われます。What’s the worst that could happen?は、最悪の場合でも大きな問題ではないという方向に寄る点が違いです。
What have you got to lose?
(失うものなんてないでしょ?)
「試してみても損はない」と背中を押す言い方です。What’s the worst that could happen?は、起こりうる最悪の結果を頭に置いたうえで「それでも平気」と言う点が違います。
What’s the harm in trying?
(試してみて何が悪いの?)
「試すこと自体に害はない」という主張です。What’s the worst that could happen?は、結果が悪かった場合まで見通したうえで気軽さを示します。
Note|疑問文なのに、答えを求めない言い方
What’s the worst that could happen?は疑問文の形をしていますが、返事を待つ言葉ではありません。この「形は疑問、中身は打ち消し」というずれが、日本語に訳すときの悩みどころになります。
「最悪で何が起きる?」と直訳したままだと、聞かれた側が本当に最悪の事態を答えようとしてしまいそうです。実際の意味は「どうってことないよ」「なんとかなるよ」に近いので、場面ごとに訳し方を選びます。背中を押す場面では「最悪でも断られるだけでしょ」「どうってことないよ」のように結果を小さく見せる訳が合い、冗談めかす場面では「最悪でも何が起きるっていうんだ」のように疑問の形を残した訳が合います。今回のミッチェルの一言は後者で、「何が起きるっていうんだ?」と訳すことで、答えを求めない軽い口調が伝わります。例文の3つ目のように、問いかけに自分で小さな答えを返して笑いに変える形もあります。
つまり、訳語を選ぶときの目安は、打ち消しを強く出したいのか、口調の軽さを残したいのかです。同じ英文でも、励ましの場面と冗談の場面で日本語の落としどころが変わります。
まとめ|最悪をのせても、軽い一言
What’s the worst that could happen?は、起こりうる最悪のことを挙げて、それでもたいしたことにはならないと打ち消す表現です。形は疑問文ですが、答えを求めない点が目印になります。
励ましの場面でも、冗談めかして口にする場面でも、口調の軽さが意味を決めます。ミッチェルのように、ありそうもない楽観をわざと添えれば、不安を冗談に変えて口にする言い方にもなります。
迷っている誰かの背中を押したいとき、小さな失敗を笑い話にしたいときの、会話の引き出しに加えてみてください。


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