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だれかの秘密を守るために、その場しのぎの嘘を重ねているうちに、自分ばかりが変な役回りを背負ってしまった――そんな経験はありませんか。
そんな状況にぴったりの「cover for someone」を、『フレンズ』シーズン5第9話の冒頭、モニカとチャンドラーの秘密の交際を隠し続けてきたジョーイが、とうとう不満を爆発させるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「cover for someone」の意味とニュアンス
cover for someone
意味:(人)をかばう、(人)の代わりを務める
「cover for someone」は、ある人の不在・失敗・秘密を、別の人が肩代わりして取り繕うことを表します。cover には「覆う・隠す」という基本の意味があり、そこから「都合の悪い部分を覆い隠して守る」というニュアンスが生まれています。
使われる場面は大きく二つあります。一つは、職場などで「(休んだ同僚の)代わりに仕事を引き受ける」という肩代わり。もう一つは、「(人の秘密や失敗を)嘘や口裏合わせで隠してかばう」という擁護です。どちらも「本来その人が引き受けるべきものを、代わりに引き受けている」という共通のイメージでつながっています。
前置詞 for が「だれのために」を示すため、cover for you なら「あなたのためにかばう」、cover for the boss なら「上司の代わりを務める」となります。
【ここがポイント!】
- 「cover for someone」の核は、相手の代わりに引き受けて覆い隠すイメージ
- 「仕事の肩代わり」と「秘密を守る擁護」の両方で使える幅のある表現
- for のあとに「だれのために」がくる、方向を意識すると訳を取りやすい一言
『フレンズ』S05E09のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
モニカとチャンドラーの秘密の関係を隠すため、ジョーイは自分の下着や剃刀を「自分のもの」だと引き受け続けてきました。もう限界だと感じたジョーイが、二人をアパートに呼び出して直談判する場面です。ここで「これ以上かばうのはうんざりだ」という一言に、このフレーズが登場します。
Joey: That’s it. I’m tired of covering for you two. This has got to stop. And tighty-whiteys? What are you, eight?
(もう限界だよ。おまえら二人をかばうのはうんざりなんだ。いい加減にしてくれよ。しかもこの白ブリーフ、なんだよ、八歳児かよ?)Monica: Thank you, Joey. Thank you so much.
(ありがとう、ジョーイ。本当にありがとう。)Joey: Well, hey, no, you’re not welcome, okay? Look, I hate this. You guys keep embarrassing me.
(いや、どういたしまして、じゃないだろ。もう嫌なんだよ。おまえらのせいで恥かかされてばっかりだ。)Friends Season5 Episode9 (The One with Ross’s Sandwich)
シーン解説と心理考察
「I’m tired of covering for you two」という一言には、ジョーイの疲労と苛立ちがにじむ場面です。cover for という表現が、単に「かばう」だけでなく「本来自分がやらなくていいことを、二人のために背負い続けてきた」という負担感まで含んでいることが、この文脈からよく伝わってきます。
直後に下着を投げつけながら「八歳児かよ」と毒づくところに、我慢が限界に達したことが表れています。それでも通報するとまでは言わず、結局は巻き込まれ続けるのがジョーイらしさで、このあとも彼の「かばう」役回りは続いていきます。優しさとお人好しが同居したキャラクターの本質が、この cover for という言葉に重なっています。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
cover for someone は、だれかの前に立って傘を広げ、その人に降りかかるものを自分が代わりに受け止めているような姿をイメージすると覚えやすくなります。ジョーイが二人の秘密という「雨」を、自分の体で覆い隠している構図です。
傘の下にいるのは cover for のあとにくる人(you two=モニカとチャンドラー)、傘を差しているのが主語のジョーイ。この「だれが、だれのために覆っているのか」という位置関係を思い浮かべると、for のあとに人がくる形が自然に頭に入ってきます。
例文で覚える「cover for someone」
肩代わりと擁護、二つの顔を持つ cover for someone。実際の会話でどう使われるのか、三つの場面で見ていきましょう。
Can you cover for me at the meeting? I have a doctor’s appointment.
(会議、代わりに出てくれない?病院の予約があるんだ。)
職場で同僚に仕事の肩代わりを頼む場面です。この場合は「代役を務める」という実務的な意味で使われています。
She lied to the teacher to cover for her friend.
(彼女は友達をかばうために先生に嘘をついた。)
だれかの失敗や事情を、嘘をついてまで隠して守る場面です。cover for が「擁護・かばう」の意味で使われる典型的な形です。
A: Where’s Mark? The boss is looking for him.
B: He stepped out. I’ll cover for him until he’s back.
(A:マークどこ?上司が探してるよ。)
(B:ちょっと出てる。戻るまで僕がかばっておくよ。)
同僚の不在をとっさに取り繕う会話です。「戻るまで代わりに対応しておく」という、肩代わりと擁護の両方がにじむ使い方です。
あわせて覚えたい関連表現
fill in for someone
(〜の代わりを務める)
不在の人の代役を一時的に務める表現です。cover for が「かばう・取り繕う」も含むのに対し、fill in for は純粋に「穴を埋める代役」に絞られます。
stand up for someone
(〜を擁護する、〜の味方をする)
不当な扱いを受けている人のために立ち上がって守る表現です。cover for が「隠して守る」なら、stand up for は「表に立って守る」という、守り方の方向が対照的です。
take the fall for someone
(〜の身代わりに罪や責めを負う)
本来は他人の失敗の責任を、代わりに引き受ける表現です。cover for よりも「自分が損を被る」度合いが強く、かばうことの代償が大きい場面で使われます。
Note|職場の cover for、友達の cover for
cover for someone は、職場とプライベートで少し違う顔を見せる表現です。どちらの場面で使われるかによって、同じ一言の聞こえ方が変わります。
職場で Can you cover for me? と言えば、多くの場合「シフトや会議、当番を代わってもらえないか」という実務的な代行の依頼です。ここに後ろめたさはなく、業務の調整として日常的に交わされます。同僚が休暇のあいだ電話対応を引き受ける、会議に代理で出席する――そうした「穴埋め」が cover の中心にあります。一方、友人や家族のあいだで I covered for you と言えば、ニュアンスは変わります。遅刻の言い訳に口裏を合わせてあげた、内緒の計画を知らないふりをして通した――そこにあるのは「秘密や失敗を隠してあげた」という、少し共犯めいた響きです。同じ動詞でも、職場では堂々とした調整、私的な場面ではこっそりとした庇護。場面が変わると、cover の「覆い」が隠している中身も変わるわけです。
ジョーイの cover for は後者の典型です。彼が覆い隠していたのは業務の穴ではなく、モニカとチャンドラーの秘密そのもの。だからこそ、あの一言に「うんざりだ」という感情がこもっていたのです。
同じ一言でも、覆っているものの中身しだいで、言葉の温度が変わります。
まとめ|ジョーイの空回りから学ぶ「かばう」
cover for someone は、だれかの代わりに引き受けて覆い隠す、盾のような守り方を表す表現です。仕事の肩代わりから、秘密を守る擁護まで、幅広い場面で活躍します。
この一言を知っていると、「代わりに対応しておくよ」「あの人をかばってあげて」といった、日常でも職場でもよく起こるやり取りが、ぐっと言いやすくなります。for のあとに「だれのために」を置くだけで、方向のはっきりした表現になります。
ジョーイのように背負いすぎるのは考えものですが、だれかをそっと支える場面で、会話のレパートリーに加えてみてください。


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