海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン4 第22話に登場する、諜報活動になぞらえてご近所付き合いの探り合いを表す英語表現です。靴店でエイミーが立てる作戦の説明と、その作戦が電話越しに崩れていく場面を通して、スパイ小説めいた語彙が日常会話に転用される様子が描かれています。
「double agent」から「covering my heinie」まで、場面ごとに見ていきます。
「double agent」「ferret out」「feed ~ false information」に見る、諜報語彙の転用
場面は靴店です。バーナデットは、プリヤから自分とハワード、レナードとの4人で食事に誘われたと打ち明けます。エイミーはこれを一種の駆け引きだと決めつけ、バーナデットに一芝居打つよう持ちかけます。表現の解説にとどめ、探りを入れる行為そのものを勧める場面としては扱いません。
Amy: By accepting the invitation, Bernadette becomes a double agent inside the enemy camp. She could ferret out Priya’s tactics, identify her weaknesses and feed her false information.
(招待を受け入れることで、バーナデットは敵陣に送り込まれた二重スパイになる。プリヤの策略を探り出し、弱点を見極め、偽の情報を流すこともできるわ。)TBBT Season4 Episode22 (The Wildebeest Implementation)
double agent は本来、両陣営に仕えるふりをしながら情報を流す「二重スパイ」を指す語です。ここでは、友人同士の食事の誘いという日常的な出来事に、そのまま大げさに当てはめられています。ferret out は「(隠れた情報を)執拗に探り出す」という句動詞で、穴に潜む獲物を追い出すferret(フェレット)の習性に由来する言い方です。
feed ~ false information は「~に偽の情報を与える」という言い回しで、feedはここでは「食べ物を与える」意味から転じ、情報を相手に流し込む動作を表しています。
「on to me」「covering my heinie」に見る、作戦が崩れていく場面の英語
場面は電話越しのやり取りです。バーナデットはラージの部屋のトイレにこもり、ペニーの部屋にいるエイミーに電話で報告します。誘いに乗ってからさほど時間もたたないうちに、作戦はすでに綻び始めています。
Bernadette (in Raj’s bathroom): I think they’re on to me. The story’s starting to fall apart.
(みんな私に感づいている気がする。話のつじつまが合わなくなってきてる。)TBBT Season4 Episode22 (The Wildebeest Implementation)
on to me は be on to ~ で「~の正体や企みに気づいている」という意味になる言い回しで、ここでは「感づかれかけている」という切迫した状況を表しています。この後、二人が婚約するのかとペニーに尋ねられたバーナデットは、次のように答えます。
Bernadette: I don’t know. I was too busy covering my heinie on Amy’s stupid astronaut story!
(分からない。エイミーのばかげた宇宙飛行士設定のフォローに必死だったんだから!)TBBT Season4 Episode22 (The Wildebeest Implementation)
heinie は「お尻」を指すくだけた口語で、cover one’s heinie は「自分の失態や落ち度を取り繕う、責任を逃れる」という意味の定番表現です。ここでは、エイミーが仕込んだ別の作り話のつじつま合わせに追われていたことを、この一言で説明しています。
まとめ|スパイ小説の語彙が転用される面白さ
double agent、ferret out、feed ~ false information、on to me、covering my heinie。諜報活動を表す語彙が、友人同士の探り合いという日常的な場面にそのまま流用されている様子が見えてきます。
次回も『ビッグバン★セオリー』の会話を通して、英語表現の型を見ていきましょう。
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