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今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン2 第9話に登場する、手土産の食べ物を差し出して訪問の口実を作るという場面です。シェルドンがペニーの家のドアをバナナブレッド片手にノックする場面と、後日ズッキーニブレッドを持って再訪する場面には、頼まれてもいない食べ物の差し入れが、そのまま入室の口実になるという発想が描かれています。
同じアパートの隣人同士でも、手ぶらでは踏み込みにくい会話に、食べ物という小道具がどう作用するのかを見ていきます。
頼まれていない食べ物の差し入れが、招待の呼び水になるという発想
ノックの音に応じてドアを開けたペニーに、シェルドンはまず食べ物を差し出します。
Sheldon: This is banana bread.
(これはバナナブレッドだよ。)Penny: This is a door knob.
(これはドアノブね。)Sheldon: It’s my understanding that an unsolicited gift of food can be a precursor to an impromptu invitation to come in and chat.
(僕の理解では、頼まれてもいない食べ物の差し入れというのは、急な”入って話していかない?”という誘いの前触れになり得るものなんだ。)Penny: Sheldon, would you like to come in?
(シェルドン、入ってく?)TBBT Season2 Episode9 (The White Asparagus Triangulation)
an unsolicited gift of food can be a precursor to an impromptu invitation to come in and chat. は、頼んでもいない食べ物の差し入れが、その場の思いつきの招待につながり得るという発想をそのまま説明した一文です。ペニーが皮肉交じりに This is a door knob. と切り返しながらも、結局は would you like to come in? と招き入れる流れには、手ぶらでは訪ねにくい相手の家でも、食べ物を差し出せば会話の糸口になるという考え方が表れています。断定はできないものの、こうした食べ物の差し入れを訪問のきっかけにする感覚は、アメリカの家庭やご近所付き合いの場面で語られることがある習慣のひとつです。
二度目の訪問は謝罪とセットに―手土産と駆け引きする訪問者
後日、シェルドンは別の焼き菓子を手に再びペニーの家を訪ねます。前回とは違い、今回はすぐには招き入れてもらえません。
Sheldon: Zucchini bread.
(ズッキーニブレッドだよ。)Penny: Oh, thank you.
(ああ、ありがとう。)Sheldon: May I come in?
(入ってもいい?)Penny: No.
(だめ。)Sheldon: I see. Apparently my earlier inquiry regarding you and Leonard crossed some sort of line. I apologize.
(なるほど。どうやら前回の、君とレナードについての僕の質問は、一線を越えてしまったようだね。謝るよ。)Penny: Well, thank you.
(まあ、ありがとう。)Sheldon: So, have you and I returned to a social equilibrium?
(それで、僕たちの関係は社会的な均衡を取り戻したということでいいかな?)TBBT Season2 Episode9 (The White Asparagus Triangulation)
1回目は手土産だけで would you like to come in? を引き出せたのに対し、2回目は Zucchini bread. を差し出しても May I come in? の答えは No. です。手土産と入室が自動的にセットになるわけではなく、その間に踏み込みすぎた話題への I apologize. が挟まって初めて、have you and I returned to a social equilibrium? という関係修復の確認に至ります。新しく越してきた隣人を食べ物で迎える側ではなく、訪ねる側が手土産を交渉の材料に使っているという構図が、この場面の見どころです。
まとめ|手土産は、招待を引き出すための交渉材料
banana bread、zucchini bread、social equilibrium。食べ物の差し入れを訪問の口実にし、時には謝罪と組み合わせて関係を立て直す駆け引きが、この2つの訪問には共通して描かれています。
手土産片手にドアをノックする姿は、この駆け引きを知ったうえで見返すと、また違った面白さを持って映ります。
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