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今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン2 第18話で、ペニーが手作りの花柄バレッタを同僚や近所の店に売り始め、「これはビジネスだ」と宣言する場面です。趣味で作っていたアクセサリーが口コミで広がっていく様子から、趣味を副業として捉えるアメリカの発想を見ていきます。
I started a business. という一言から見ていきます。
「I started a business.」に見る、趣味を「ビジネス」と言い切る瞬間
配達物のサインを求めるシェルドンに気を取られていたペニーは、話をさえぎるようにして自分の近況を切り出します。
Penny: Yeah, yeah, yeah, yeah. Look, look, look! I started a business.
(もう、もう、もう、いいから! ねえ、聞いて、聞いて! 私、ビジネスを始めたのよ。)Sheldon: Obviously, not a cleaning business.
(明らかに、清掃業ではないようだが。)Penny: No, I’m making flower barrettes. See? I call them Penny Blossoms. I made one for myself, then all the girls at work wanted one. Then I showed some to this lady who runs a shop in Old Town. She sells cards and homemade jewellery. She said she wanted to sell them. I said okay, and in one week, I made a $156.
(違うわよ、お花のバレッタを作ってるの。ほら、これ。Penny Blossomsって名前をつけてるの。自分用に一個作ったら職場の女の子たちがみんな欲しがって、それでOld Townでお店をやってる人に見せたのよ。カードや手作りアクセサリーを売っている人なんだけど、うちの店に置きたいって言ってくれて。オーケーって答えたら、一週間で156ドルの売り上げになったの。)Sheldon: Good for you. Sign here.
(それはよかった。ここにサインを。)Penny: Sheldon, don’t you get it? If this takes off, I won’t have to be a waitress anymore.
(シェルドン、わかってないでしょ? これが軌道に乗ったら、私、もうウェイトレスをしなくて済むのよ。)TBBT Season2 Episode18 (The Work Song Nanocluster)
I started a business. というペニーの一言には、自分用に作った小さな手工芸品が、口コミで職場の同僚に広がり、さらに個人商店への委託販売にまでつながっていった経緯が凝縮されています。手作り品を人づてに売り歩き、次第に個人商店への委託販売へと広げていくやり方は、アメリカで昔からよく見られる小規模な副業の立ち上がり方の一つとして紹介されることがあります(店舗の形態や地域、時代によって事情は異なるため、一般的な傾向としての紹介にとどめます)。ペニーが I won’t have to be a waitress anymore. と口にする場面には、副業を本業から抜け出す選択肢として捉える感覚がにじみ出ています(こうした感覚の広まり方には個人差があり、断定はできません)。最初の一週間で156ドルを売り上げたという具体的な数字も、こうした小規模ビジネスの立ち上がり方をよく表していると言えます。
自分用に一つ作っただけのものが、周囲の反応をきっかけに小さな商いへと形を変えていく――ペニーの説明はその一連の流れを順を追ってたどっており、始まりが計画された起業ではなく、身近な人の「欲しい」という反応の積み重ねだったことも、この場面からうかがえます。シェルドンが即座に「清掃業ではない」と茶化す掛け合いも含めて、副業の始まりが日常会話の延長線上にあることが伝わってきます。
「You might be able to make this a viable business.」に見る、趣味を事業として捉え直す発想
物語が進むと、シェルドンはペニーの帳簿を検算し、趣味の延長ではまだ利益と呼べる状態ではないことを突きつけます。
Penny: That’s all?
(それだけ?)Sheldon: Before taxes.
(税引き前でだが。)Penny: Well, I don’t have to pay taxes on this stuff.
(でも、これって税金は払わなくていいものよね。)Sheldon: I believe the Internal Revenue Service would strongly disagree. But, if you took advantage of modern marketing techniques, and you optimized your manufacturing process, you might be able to make this a viable business.
(内国歳入庁はきっと強く異を唱えるだろうね。だが、現代的なマーケティング手法を活用し、製造工程を最適化すれば、これを成立するビジネスにできるかもしれない。)TBBT Season2 Episode18 (The Work Song Nanocluster)
Viable business は「採算の取れる、成立する事業」を指す言い方です。シェルドンは趣味の延長として始まった手作りアクセサリーを、マーケティングと製造工程という二つの観点から捉え直し、税金の話まで持ち出して「これは遊びではなく事業だ」という前提に引き戻しています。
趣味の延長で始めた小さな売り上げも、事業として扱えば申告や税務の対象になり得るという考え方は、アメリカで一般に紹介されることがあると言われます(税制の詳細は州や時期によって異なるため、本コラムでは断定を避けます)。マーケティング手法や製造効率を意識して趣味を事業へと引き上げていく発想は、アメリカの副業・起業文化でしばしば語られる考え方の一つとされています。ペニーの手作りアクセサリーが、会話を重ねるたびに「趣味」から「マーケティングと製造工程を持つビジネス」へと言い換えられていく過程そのものに、こうした発想の変化がよく表れています。
税金の話を茶化し半分で受け流そうとするペニーに対して、シェルドンはあくまで数字と制度の言葉で向き合おうとします。この温度差は、趣味として続けてきた感覚と、事業として捉え直された感覚のずれをそのまま表しているとも言えます。マーケティングと製造工程という二つの観点は、この後の物語でも繰り返し持ち出され、ペニーの小さな手仕事を規模の大きなビジネスへと後押ししていく軸になっていきます。
まとめ|趣味を「ビジネス」と呼ぶ瞬間
I started a business.、I won’t have to be a waitress anymore.、You might be able to make this a viable business.。個人の手仕事が口コミで広がり、事業として捉え直されていく一連の流れには、趣味を収益化して本業から独立するというアメリカの副業・起業文化の発想が表れていると言われます(文化的背景の一般化には個人差・時代差があり、断定はできません)。
趣味の延長がビジネスと呼ばれるようになる瞬間を意識してみると、こうした場面の見え方も変わってきます。
このエピソードで描かれる副業のはじまりは、フレーズ記事やエピソードまとめでも別の角度から扱っています。


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