海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン2 第22話のラスト、国際宇宙ステーションの乗組員とヒューストン管制がやり取りする無線交信の場面です。ハワードの宇宙トイレをめぐる一連の騒動の締めくくりとして描かれる短いシーンながら、呼びかけ方や不許可の伝え方に独特のリズムがあります。
“Houston, International Space Station.”という呼びかけから見ていきます。
呼びかけと状況報告から始まる交信の型
物語の最後、宇宙トイレの問題が解決したあとの場面です。国際宇宙ステーションの乗組員が、予定外の船外活動をしたいとヒューストン管制に無線で伝えます。
Voice: Houston, International Space Station. We have a little situation up here. We’d like to make an unscheduled space walk.
(ヒューストン、こちら国際宇宙ステーション。ちょっとした状況が発生しています。予定外の船外活動を行いたいのですが。)Houston: ISS, Houston. Which crew members would be involved in this E.V.A.?
(ISS、こちらヒューストン。今回のE.V.A.には、どの乗組員が関わる予定ですか?)ISS voice: Houston, we’d all like to step outside for a few minutes.
(ヒューストン、全員で少し外に出たいと思っています。)Houston: ISS, I’m afraid we can’t authorize that.
(ISS、残念ながらそれは許可できません。)ISS voice: Uh, Houston, this is more of an FYI call. We are basically out the door.
(ええと、ヒューストン、これはどちらかというと報告のための連絡です。もうほとんど扉の外にいますので。)TBBT Season2 Episode22 (The Classified Materials Turbulence)
呼びかけの冒頭で、話しかける相手の名前(Houston)と自分たちの立場(International Space Station)を先に名乗ってから用件に入る流れが繰り返されています。We have a little situation up here. のように、まず状況を簡潔に報告してから要望を伝える構成も一貫しており、このドラマの演出上、要件を手短に伝える交信スタイルとして描かれています。ただし、これはあくまで劇中の演出として描かれたやり取りであり、実際の宇宙飛行の無線交信手順がどこまで一般的にこの形に沿っているかは、本記事の範囲では確認できていません。
許可を求める体裁のまま、実質は事後報告にすり替える言い方
E.V.A.(Extra-Vehicular Activity、船外活動)を行いたいという要望に対して、管制官はまず Which crew members would be involved in this E.V.A.?(どの乗組員が関わるのか)と確認の質問を返します。そのうえで I’m afraid we can’t authorize that.(残念ながら許可できません)と、丁寧な言い回しながらもはっきりと不許可を伝えています。
これに対してISS側が返すのが、this is more of an FYI call. We are basically out the door.(これはどちらかというと報告のための連絡で、もうほぼ扉の外にいる)という一言です。FYI は “for your information”(参考までに)の略で、本来は許可を求めない一方的な報告に使う言葉です。許可を求める体裁を保ちながら、実際にはすでに決定済みであることを伝えてしまう、演出上のユーモラスなずらし方になっています。
I’m afraid we can’t authorize that. は、直接 “No.” と言い切らず、”I’m afraid” で前置きしてから断る、丁寧な不許可の型です。これに対してISS側はいったん引き下がるのではなく、”FYI call” という言葉で話の枠組みそのものを変えてしまう返し方をしています。許可を求める質問と、実質的な報告への切り替えが一続きの会話の中で起きている点が、このやり取りのユーモアの核になっています。この場面のやり取りが実際の運用にどこまで即しているかは確認できていないため、あくまで劇中の一場面として捉えておくのが安全です。
まとめ|許可を求める形と、実質的な事後報告のずれ
呼びかけから状況報告、確認の質問、そして不許可への切り返しまで、短いやり取りの中に交信らしいリズムと演出上のユーモアが同居している場面です。実際の交信手順との一致は確認できていませんが、劇中の一場面としての言葉のやり取りとして楽しめます。
『ビッグバン★セオリー』を観ながら、こうした場面のやり取りにも耳を傾けてみましょう。
この場面をめぐる英語表現は、同じエピソードの他のコラムでも扱っています。


コメント