海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン3 第2話に登場する、愚痴っぽい修辞疑問の英語表現です。昆虫学部を訪ねたシェルドンたちを迎えるクローリー教授が、研究室の予算を打ち切られ大学を去ることになった不満を、答えを求めない疑問文にぶつけていく場面が描かれています。
肩書きを皮肉に持ち出す言い方から、修辞疑問を茶化して返す言い方まで見ていきます。
肩書きを皮肉に持ち出して愚痴る言い方
ノックもせずに部屋へ入ってきたシェルドンたちを、クローリー教授は皮肉たっぷりに迎えます。
Prof Crawley: Don’t knock. Just walk in. Why be polite to the world’s leading expert on the dung beetle?
(ノックなんかいらない。そのまま入ってくればいい。世界一のフンコロガシの専門家に、礼儀なんて必要ないだろう?)TBBT Season3 Episode2 (The Jiminy Conjecture)
Why be polite to …? は、「〜に礼儀を尽くす必要があるのか?」と、答えを求めない形で不満をぶつける修辞疑問です。ここでは自分の肩書き(世界一のフンコロガシの専門家)を皮肉交じりに持ち出すことで、丁寧に扱われていないという苛立ちを強調しています。
修辞疑問を投げかけ、茶化されて返される言い方
用件を切り出そうとするシェルドンたちを教授が遮り、自分の愚痴を先に差し込みます。
Prof Crawley: Let me ask you one first. What’s a world renowned entomologist with a doctorate and 20 years of experience to do with his life when the university cuts off the funding for his lab, huh?
(まず僕から一つ聞かせてくれ。博士号を持ち、20年の経験を積んだ世界的な昆虫学者は、大学に研究室の予算を打ち切られたら、この先どう生きていけばいいんだ、え?)Raj: Ask rhetorical questions that make people uncomfortable?
(人を居心地悪くさせる修辞疑問を投げかける、とか?)TBBT Season3 Episode2 (The Jiminy Conjecture)
Let me ask you one first. は、相手の質問を遮って、自分の疑問を先に差し込む言い方です。続く What’s a world renowned entomologist … to do with his life when the university cuts off the funding for his lab, huh? は、自分の肩書きと境遇を並べ立てながら、答えを求めない長い修辞疑問文で不満・やるせなさを表しています。文末の huh? は、相手に同意や共感を暗に求める、ぼやきの締めくくりの一言です。
これに対するラージの Ask rhetorical questions that make people uncomfortable? は、教授の修辞疑問をそのまま茶化し、「修辞疑問を投げかける、とか?」と “rhetorical question” という表現そのものを言語化して返す切り返しです。愚痴の型をそのまま逆手に取った受け答えと言えます。
その後、シェルドンたちがコオロギの正体を確かめてほしいと頼むと、教授はこう答えます。
Prof Crawley: Of course I can. I can identify every insect and arachnid on the planet. Not that that’s going to keep me from having to move in with my daughter in Oxnard.
(もちろんできるとも。この惑星のあらゆる昆虫とクモ類を見分けられる。だからといって、娘の家があるオックスナードに転がり込まずに済むわけじゃないがね。)TBBT Season3 Episode2 (The Jiminy Conjecture)
Not that that’s going to keep me from having to … は、直前で示した自分の能力や実力を認めつつも、「だからといって状況が変わるわけではない」という諦めを表す譲歩構文です。専門家としての自負と、境遇への愚痴が一つの文の中に同居しているのが見どころです。
まとめ|愚痴っぽい修辞疑問にも、型がある
Why be polite to …?、Let me ask you one first.、huh?、Ask rhetorical questions that make people uncomfortable?、Not that that’s going to keep me from having to …。答えを求めない疑問文で不満をぶつける言い方と、それを茶化して切り返す言い方の両方を見てきました。愚痴っぽさを出したいときにも、そのやり取りを軽く笑いに変えたいときにも使える型です。
次回も『ビッグバン★セオリー』の会話を通して、英語表現の型を見ていきましょう。
このエピソードで交わされる別の言い争いの行方は、他のコラム記事でも取り上げています。


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